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7年前
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「……ッ!」
呼吸は4秒ほど喉に張り付いて、一気に溢れた。
「え? え、ぇ……え」
なんだこれ、一体何が起こってるんだ。
目を見開き、激痛の発生源を虚ろに探る。蛙のように開かされた両脚の間で、何かがずぼっと尻の穴に突き刺さっていた。
え、と、ただ繰り返す。それが本気で何かわからなかった。
「ン……狭い、ね、ぎゅうぎゅうだ。先端しか入らない」
姫宮の顔を見て、それを見た。
刺さった異物は太くて、浮き出ている血管は赤くて、ドクドクと脈打っていた。そこらへんの美少女よりは可愛らしい姫宮の顔には、不釣り合いなほどの、凶器。
その下の、ふんわりとした根元の下生え。
俺の視線に気付いた姫宮が、照れたように笑った。
「生えてるっていったろ?」
ホントに、生えてた。
「……いたい」
姫宮がさらにのしかかってきて、ミチミチと引き裂かれるような痛みが増した。
「いたい、いたい……いたい!」
「痛い?」
「いた、い……ッ」
しかし姫宮は、「そっか」と興味なさげに俺を一瞥すると、硬直している俺の足を抱えなおしてさらに腰を進めてきた。
「……あ──ッ、かは──ぁう」
圧迫された肺から空気が抜ける。苦しい。
「うまく、……っ、入らないな」
当たり前だ。人の尻穴にそのでかいちんこを突っ込もうだなんて、正気の沙汰じゃない。
「やぁっ、むり、むりッ……いれん、な……抜いて、──ぬけ、よぅっ」
「どうして?」
どうしてって。
「は、いんないぃ」
「入るよ」
「はいらない! そ、そんな、お、オトナみたいなの、入んない……ッ!」
「ふふ、オトナって。僕はまだ子どもだよ?」
「ぁ、あ、やだぁあっ……!」
子どもはこんなことしない!
「それに、入れないとセックスできないんだよ?」
「せ、……」
せっくすは、知ってる。男と女のエッチな行為。でも、それを俺と姫宮でする意味がわからない。だって俺は男なのに──あ、違う、俺Ωだ。
Ωはαと、せっくすできるんだ。だからΩはαに酷いことされて、赤ん坊が生まれたり、しゃかい問題になっていて……はっとする。そうだ赤ちゃん。
「……せっくす、しなくていい」
「なんで」
「だってせっくすしたら、あ、赤ちゃんできちまうだろ……」
「うん、そうだね」
ぽかん。口が半開きになる。
「橘」
姫宮が舌なめずりをした。今にも唾液が零れそうなほど、その唇は濡れている。そしてその唇と目尻が、ゆっくりと弧を描いて。
「僕と赤ちゃん、作ろうね?」
あまりにも禍々しい笑みに、ぞっとした。
目の前の少年は、知らない生き物だった。爛々と光る双眸は、鋭い牙みたいだった。まるで、獲物を仕留めんとしている獣みたいな。
これが、αか。
今から俺は、こんなαにめちゃくちゃに食い荒らされるのか。
「あ……ぁあァああ! 透貴ッ」
見ないようにしていた恐怖がついに爆発した。
貫かれている痛みも忘れて、がむしゃらに暴れる。
「いやだぁあ、助けて透貴、ときぃ──ッァ゛」
まずは右頬で弾けた破裂音に、視界がぐわんぐわんと震える。
「ねえ、透貴って誰?」
「……、ひ……う゛ッ」
え、俺いま殴られた?
姫宮に殴られた?
呼吸は4秒ほど喉に張り付いて、一気に溢れた。
「え? え、ぇ……え」
なんだこれ、一体何が起こってるんだ。
目を見開き、激痛の発生源を虚ろに探る。蛙のように開かされた両脚の間で、何かがずぼっと尻の穴に突き刺さっていた。
え、と、ただ繰り返す。それが本気で何かわからなかった。
「ン……狭い、ね、ぎゅうぎゅうだ。先端しか入らない」
姫宮の顔を見て、それを見た。
刺さった異物は太くて、浮き出ている血管は赤くて、ドクドクと脈打っていた。そこらへんの美少女よりは可愛らしい姫宮の顔には、不釣り合いなほどの、凶器。
その下の、ふんわりとした根元の下生え。
俺の視線に気付いた姫宮が、照れたように笑った。
「生えてるっていったろ?」
ホントに、生えてた。
「……いたい」
姫宮がさらにのしかかってきて、ミチミチと引き裂かれるような痛みが増した。
「いたい、いたい……いたい!」
「痛い?」
「いた、い……ッ」
しかし姫宮は、「そっか」と興味なさげに俺を一瞥すると、硬直している俺の足を抱えなおしてさらに腰を進めてきた。
「……あ──ッ、かは──ぁう」
圧迫された肺から空気が抜ける。苦しい。
「うまく、……っ、入らないな」
当たり前だ。人の尻穴にそのでかいちんこを突っ込もうだなんて、正気の沙汰じゃない。
「やぁっ、むり、むりッ……いれん、な……抜いて、──ぬけ、よぅっ」
「どうして?」
どうしてって。
「は、いんないぃ」
「入るよ」
「はいらない! そ、そんな、お、オトナみたいなの、入んない……ッ!」
「ふふ、オトナって。僕はまだ子どもだよ?」
「ぁ、あ、やだぁあっ……!」
子どもはこんなことしない!
「それに、入れないとセックスできないんだよ?」
「せ、……」
せっくすは、知ってる。男と女のエッチな行為。でも、それを俺と姫宮でする意味がわからない。だって俺は男なのに──あ、違う、俺Ωだ。
Ωはαと、せっくすできるんだ。だからΩはαに酷いことされて、赤ん坊が生まれたり、しゃかい問題になっていて……はっとする。そうだ赤ちゃん。
「……せっくす、しなくていい」
「なんで」
「だってせっくすしたら、あ、赤ちゃんできちまうだろ……」
「うん、そうだね」
ぽかん。口が半開きになる。
「橘」
姫宮が舌なめずりをした。今にも唾液が零れそうなほど、その唇は濡れている。そしてその唇と目尻が、ゆっくりと弧を描いて。
「僕と赤ちゃん、作ろうね?」
あまりにも禍々しい笑みに、ぞっとした。
目の前の少年は、知らない生き物だった。爛々と光る双眸は、鋭い牙みたいだった。まるで、獲物を仕留めんとしている獣みたいな。
これが、αか。
今から俺は、こんなαにめちゃくちゃに食い荒らされるのか。
「あ……ぁあァああ! 透貴ッ」
見ないようにしていた恐怖がついに爆発した。
貫かれている痛みも忘れて、がむしゃらに暴れる。
「いやだぁあ、助けて透貴、ときぃ──ッァ゛」
まずは右頬で弾けた破裂音に、視界がぐわんぐわんと震える。
「ねえ、透貴って誰?」
「……、ひ……う゛ッ」
え、俺いま殴られた?
姫宮に殴られた?
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