107 / 227
姫宮 樹李
11.
しおりを挟む
しかし、緊張もあってかなかなか上手にイクことができない。
(足りない、たりないよ、もっと……)
橘が、足りない。
使用済みの靴下に思い切り噛み付けば、橘の匂いがより一層深まった──ああ、幸せだ。
橘を気にすることは、完全に僕にとっての不利益になるというのに。
彼の存在をぐっと近くに感じる行為が、こんなにも幸せだ。
ものの数分で、橘の靴下は僕の唾液でべちょべちょになってしまった。ずるりと口からそれを抜き取れば、靴下と一緒に口の中に含んでしまった黒髪が、唾液と共に垂れ、頬に張り付く。
靴下から視線は外さず、意識だけはちらりと周囲へと向ける。
学校の二階、しかも端の教室なので人影はない。時間的にここに教師が来ないことも把握済みだ。
ごくりと唾を飲み込んで、空気に触れてぷるぷる震える桃色の肉の割れ目に、それを被せる。
そのままずるっと横に動かせば、一気に腰が砕けた。
「……っ、は」
この世に、これほどの刺激があったなんて。
「橘……たちばな、たち、ばな……っ」
手が止まらない。彼の苗字を口にするだけで、口の中が甘くなる。
先端部分をごしごし擦りながら、橘の姿を想像する。
脳内の彼は、いつも淫らに僕を誘った。
でも、彼の下半身はズボンに覆われてしまっているので、惜しげもなく開かれた股の間はいつも白っぽく、ぼんやりしていた。
橘の骨盤は浮き出ているのかな。下の毛は、もう生えそろっているのかな。プールの授業で盗み見ようとしたけど、それはさすがに難しかった。
トイレだって彼はいつも友達と行くから、隣に並んで用を足すことだってできない。
橘のペニスは僕と同じ形をしているのかな。僕より大きいのかな、それとも小さいのかな。
だってプールで見た橘のおヘソは、こじんまりとしていて可愛らしかった。
ちょっと縦の線が長くて、へこんでいるカタチ。
彼のヘソは、一体どんな味がするんだろう。
手の動きに合わせて、見えない彼の下肢に自身を擦り付ける想像をする。
しんと静まり返った教室で、キシキシと橘の椅子が軋む。
もともとの知識として、セックスのやり方は知っていた。
どんなものだろうと興味が湧いて、3年生ぐらいの時に動画を見てみたのだ。
そして、随分と肩透かしを食らったものだ。
ハァハァ息を乱しながら腰を振る男に、アンアン喚きながら足を開く女。
突き入れられる男性器と受け入れる女性器。
響く淫猥な水音にも特別興奮しなかった。試しに女性同士や男性同士のセックスも確認してみたが、結果は同じ。不快もなければ快もない。
発情した者同士が繋がる生殖行為、ただそれだけ。
自分は、そういった欲が他人よりも希薄なのだと、その時は理解していた。
4年、5年生になっても、セックスへの関心は皆無だった。
しかし、橘が気になり始めてからはそんな考えも一変した。
橘のナカはどんな感じなんだろう。
男同士でどこを使うかは知っている。本来ならやっぱり出すところだから汚いのかな。
でも橘だったらそんなのも全く気にならないな。
きっと、彼のニオイであればどんな匂いだって好みになる。
橘の腹はふにふにしているから、やっぱり奥も柔らかいのかな。それともこりこりしていて、硬いのかな。
僕のこの小さな指はどこまで入るんだろう。付け根までかな、それとも手首まで入っちゃうのかな。橘は体が柔らかいから、どこまででも足が開きそうだ。
「たち、ばな……っ」
息が上がる。毎晩毎晩、そんなことばかり考えている。
(足りない、たりないよ、もっと……)
橘が、足りない。
使用済みの靴下に思い切り噛み付けば、橘の匂いがより一層深まった──ああ、幸せだ。
橘を気にすることは、完全に僕にとっての不利益になるというのに。
彼の存在をぐっと近くに感じる行為が、こんなにも幸せだ。
ものの数分で、橘の靴下は僕の唾液でべちょべちょになってしまった。ずるりと口からそれを抜き取れば、靴下と一緒に口の中に含んでしまった黒髪が、唾液と共に垂れ、頬に張り付く。
靴下から視線は外さず、意識だけはちらりと周囲へと向ける。
学校の二階、しかも端の教室なので人影はない。時間的にここに教師が来ないことも把握済みだ。
ごくりと唾を飲み込んで、空気に触れてぷるぷる震える桃色の肉の割れ目に、それを被せる。
そのままずるっと横に動かせば、一気に腰が砕けた。
「……っ、は」
この世に、これほどの刺激があったなんて。
「橘……たちばな、たち、ばな……っ」
手が止まらない。彼の苗字を口にするだけで、口の中が甘くなる。
先端部分をごしごし擦りながら、橘の姿を想像する。
脳内の彼は、いつも淫らに僕を誘った。
でも、彼の下半身はズボンに覆われてしまっているので、惜しげもなく開かれた股の間はいつも白っぽく、ぼんやりしていた。
橘の骨盤は浮き出ているのかな。下の毛は、もう生えそろっているのかな。プールの授業で盗み見ようとしたけど、それはさすがに難しかった。
トイレだって彼はいつも友達と行くから、隣に並んで用を足すことだってできない。
橘のペニスは僕と同じ形をしているのかな。僕より大きいのかな、それとも小さいのかな。
だってプールで見た橘のおヘソは、こじんまりとしていて可愛らしかった。
ちょっと縦の線が長くて、へこんでいるカタチ。
彼のヘソは、一体どんな味がするんだろう。
手の動きに合わせて、見えない彼の下肢に自身を擦り付ける想像をする。
しんと静まり返った教室で、キシキシと橘の椅子が軋む。
もともとの知識として、セックスのやり方は知っていた。
どんなものだろうと興味が湧いて、3年生ぐらいの時に動画を見てみたのだ。
そして、随分と肩透かしを食らったものだ。
ハァハァ息を乱しながら腰を振る男に、アンアン喚きながら足を開く女。
突き入れられる男性器と受け入れる女性器。
響く淫猥な水音にも特別興奮しなかった。試しに女性同士や男性同士のセックスも確認してみたが、結果は同じ。不快もなければ快もない。
発情した者同士が繋がる生殖行為、ただそれだけ。
自分は、そういった欲が他人よりも希薄なのだと、その時は理解していた。
4年、5年生になっても、セックスへの関心は皆無だった。
しかし、橘が気になり始めてからはそんな考えも一変した。
橘のナカはどんな感じなんだろう。
男同士でどこを使うかは知っている。本来ならやっぱり出すところだから汚いのかな。
でも橘だったらそんなのも全く気にならないな。
きっと、彼のニオイであればどんな匂いだって好みになる。
橘の腹はふにふにしているから、やっぱり奥も柔らかいのかな。それともこりこりしていて、硬いのかな。
僕のこの小さな指はどこまで入るんだろう。付け根までかな、それとも手首まで入っちゃうのかな。橘は体が柔らかいから、どこまででも足が開きそうだ。
「たち、ばな……っ」
息が上がる。毎晩毎晩、そんなことばかり考えている。
12
【代表作】(BL)
・完結
「トイの青空」
・連載中
「月に泣く」
・番外編連載中
「ヤンデレ気味の金髪碧眼ハーフの美少年に懐かれた結果、立派なヤンデレ美青年へと成長した彼に迫られ食べられたが早まったかもしれない件について。」
更新情報&登場人物等の小話・未投稿作品(番外編など)情報はtwitter記載のプロフカードにて。
宝楓カチカ(twitter)
・完結
「トイの青空」
・連載中
「月に泣く」
・番外編連載中
「ヤンデレ気味の金髪碧眼ハーフの美少年に懐かれた結果、立派なヤンデレ美青年へと成長した彼に迫られ食べられたが早まったかもしれない件について。」
更新情報&登場人物等の小話・未投稿作品(番外編など)情報はtwitter記載のプロフカードにて。
宝楓カチカ(twitter)
お気に入りに追加
1,329
あなたにおすすめの小説
イケメンがご乱心すぎてついていけません!
アキトワ(まなせ)
BL
「ねぇ、オレの事は悠って呼んで」
俺にだけ許された呼び名
「見つけたよ。お前がオレのΩだ」
普通にβとして過ごしてきた俺に告げられた言葉。
友達だと思って接してきたアイツに…性的な目で見られる戸惑い。
■オメガバースの世界観を元にしたそんな二人の話
ゆるめ設定です。
…………………………………………………………………
イラスト:聖也様(@Wg3QO7dHrjLFH)

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話
ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。
βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。
そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。
イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。
3部構成のうち、1部まで公開予定です。
イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。
最新はTwitterに掲載しています。


別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。
中華マフィア若頭の寵愛が重すぎて頭を抱えています
橋本しら子
BL
あの時、あの場所に近づかなければ、変わらない日常の中にいることができたのかもしれない。居酒屋でアルバイトをしながら学費を稼ぐ苦学生の桃瀬朱兎(ももせあやと)は、バイト終わりに自宅近くの裏路地で怪我をしていた一人の男を助けた。その男こそ、朱龍会日本支部を取り仕切っている中華マフィアの若頭【鼬瓏(ゆうろん)】その人。彼に関わったことから事件に巻き込まれてしまい、気づけば闇オークションで人身売買に掛けられていた。偶然居合わせた鼬瓏に買われたことにより普通の日常から一変、非日常へ身を置くことになってしまったが……
想像していたような酷い扱いなどなく、ただ鼬瓏に甘やかされながら何時も通りの生活を送っていた。
※付きのお話は18指定になります。ご注意ください。
更新は不定期です。
イケメン幼馴染に執着されるSub
ひな
BL
normalだと思ってた俺がまさかの…
支配されたくない 俺がSubなんかじゃない
逃げたい 愛されたくない
こんなの俺じゃない。
(作品名が長いのでイケしゅーって略していただいてOKです。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる