夏の嵐

宝楓カチカ🌹

文字の大きさ
上 下
21 / 227
7年前

07.*

しおりを挟む
 死に物狂いでマットの上を這って逃げようとするも、難なく引きずり戻される。二の腕を掴んできた手を振り払おうにも、簡単にねじ伏せられた。

「ああ、橘。君すごく、いい匂いがする……」
「──ッ」

 ざっと血の気が引く。

「あまぁい匂い──美味しそう」

 うっとりとした顔で俺の首に鼻を擦り付けてくる姫宮は、もう正気じゃなかった。嫌がっているというのに、強引に服を脱がそうとしてくる。

(やばいだろ、これ……!)

「やっ……だ、やめろ!」
「暴れないで橘、静かにして。もっと君のいい匂い嗅がせてよ……」
「姫宮、ま、て……まって、先生呼んで、ひめ──姫宮ってば!」
「うるさい」
「っ……ぅ」

 しつこい抵抗に姫宮もいい加減煩わしくなったのか、あっという間に両手首をひとまめにされて支柱に括りつけられてしまった。拘束具として使われたのは、近くに落ちていた縄跳びだった。
 しかも綿ロープなので、プラスチックのように隙間が空かない。
 もがけばもがくほど、食い込んできて痛む。

「──やっ、はずせっ、はずせよぉっ、ひぁ……ッ」

 服の端を持ち上げられて、そのまま縦に引き裂かれて呼吸が止まった。

(うそ、だろ)

 唖然とする。確かに薄い半袖だったけれど、服なんて裂けるはずがないのに。

「はぁ……すごいね、乳首もふわふわだ。きれいな苺色」

 慄く俺など見えていないのか、姫宮はぺったんこの胸に顔を近づけてきて。

「うぁっ」

 ちゅるんと食まれた。ちゅぱちゅぱと、赤ん坊のように乳首に吸い付いてくる姫宮が信じられない。

「や、なめ、んなぁっ」
「ん……すごく美味しいよ」

 美味しいわけがあるか。

「お、おれ、おっぱい、でねぇよ……ッ」
「でもここ、吸ってほしいって言ってるよ?」
「バカ、ちくびがしゃべるかよ……ァ、くぅう、ん」

 姫宮がおかしくなってしまった。恐ろしいのに、くりくり舌で粒を転がされるたびせり上がってくる痛みとは違う奇妙な疼きに、爪先がぴんと伸びる。
 ふぁ……と、発情期のネコのような声も漏れてしまった。

「ふふ、女の子みたいな声だね。ひくひくしてる、気持ちよかったの?」
「ち、がぁ」
「へえ、これでも?」
「ぁ……ッ」

 下腹部に手を押し付けられ、やわやわと揉みこまれて驚愕した。見れば、自身の股が見たことも無いほどに膨らんでいた。

(なんで俺、こんな……)

「まだわからないの? 君、僕におっぱい舐められて興奮してるんだよ」
「ちっ……ちがう、してない!」
「そう、じゃあ中も確認してみようか」
「え──い、いい! いらない! や、やめろ、やっ……わぁあっ」

 ジィーとチャックを下ろされ、勢いよくズボンをずり下げられてさらに目をひん剥いた。

「ほら、染みてきてる」

 小さな折り畳み傘のように盛り上がっている、ブリーフ。
 一番膨らでいる部分からは、じんわりと黒染みが広がっていた。

「うそ……なんで俺、おもらしなんか……」

 もう6年生なのにと呟けば、突然唸った姫宮にズボンを剥ぎ取られた。

「うわぁ!」

 腿にほっそりとした指が食い込んできて、ぐいっと押し開かされた。その細い腕のどこにそんな力があるのかと思うほどがっちりと固定される。
 そこを凝視されるだけでも異様だというのに、あろうことか姫宮はパンツにずぼっと顔を埋めてきた。

「……ッ」

 突飛すぎる同級生の奇行に喉が引き攣る。姫宮は硬直している俺に気付いていないのか、それともどうでもいいのか、ぐりぐりと形のいい鼻先を濡れた股間に押し付けてくた。

「お、おま、おまえ、なに、やって」

 しかも、すぅー、はぁー……と、大きく息を吸い込む音まで聞こえてくる。

「や──やめろっ、かぐなぁ!」
「すごい、ここが一番君のにおいが濃いな。はぁ……」

 くんくんと鼻を鳴らす姫宮が信じられない。さらに信じられないことに、今度はあぐ、とウェストのゴムを噛まれ、そのまま歯でずり下げられた。

「うわぁっ」

 ぴるんっと、小ぶりな陰茎が零れる。












 ───────
【鳩屋歩様から、素敵なFAを頂きました!】
 セリフまで入れて頂きました✨
 獣となった姫宮、絶望し怯える橘、八重歯、縄跳び…全て揃っていて感激です。
 鳩屋さん、ありがとうございました。
しおりを挟む
【代表作】(BL)
・完結
「トイの青空」
・連載中
「月に泣く」
・番外編連載中
「ヤンデレ気味の金髪碧眼ハーフの美少年に懐かれた結果、立派なヤンデレ美青年へと成長した彼に迫られ食べられたが早まったかもしれない件について。」

更新情報&登場人物等の小話・未投稿作品(番外編など)情報はtwitter記載のプロフカードにて。
宝楓カチカ(twitter)
感想 141

あなたにおすすめの小説

イケメンがご乱心すぎてついていけません!

アキトワ(まなせ)
BL
「ねぇ、オレの事は悠って呼んで」  俺にだけ許された呼び名 「見つけたよ。お前がオレのΩだ」 普通にβとして過ごしてきた俺に告げられた言葉。 友達だと思って接してきたアイツに…性的な目で見られる戸惑い。 ■オメガバースの世界観を元にしたそんな二人の話  ゆるめ設定です。 ………………………………………………………………… イラスト:聖也様(@Wg3QO7dHrjLFH)

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話

ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。 βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。 そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。 イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。 3部構成のうち、1部まで公開予定です。 イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。 最新はTwitterに掲載しています。

美形な幼馴染のヤンデレ過ぎる執着愛

月夜の晩に
BL
愛が過ぎてヤンデレになった攻めくんの話。 ※ホラーです

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

中華マフィア若頭の寵愛が重すぎて頭を抱えています

橋本しら子
BL
あの時、あの場所に近づかなければ、変わらない日常の中にいることができたのかもしれない。居酒屋でアルバイトをしながら学費を稼ぐ苦学生の桃瀬朱兎(ももせあやと)は、バイト終わりに自宅近くの裏路地で怪我をしていた一人の男を助けた。その男こそ、朱龍会日本支部を取り仕切っている中華マフィアの若頭【鼬瓏(ゆうろん)】その人。彼に関わったことから事件に巻き込まれてしまい、気づけば闇オークションで人身売買に掛けられていた。偶然居合わせた鼬瓏に買われたことにより普通の日常から一変、非日常へ身を置くことになってしまったが…… 想像していたような酷い扱いなどなく、ただ鼬瓏に甘やかされながら何時も通りの生活を送っていた。 ※付きのお話は18指定になります。ご注意ください。 更新は不定期です。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

処理中です...