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亀裂
107.
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トイは、ソンリェンに体を暴かれる時いつも泣いていた。1年前も、そして今でも。
痛みを与えれば痛みに泣き、快感を与えれば快感に泣いた。怖いのか、嫌なのか、悲しいのか、憎いのか、恨みなのか。
結局のところ全てなのだろうなと理解しつつもソンリェンはトイを抱き続けることを止められなかった。
これしか、トイと繋がる術が見当たらない。
命令だから身体だけは従順に。しかし心の底からセックスという行為を拒んでいるトイはソンリェンを受け入れることはない。
受け入れられることがないとわかっていたからこそ、受け入れさせるために脅してもう一度支配下に置いた。現実は変わらず、いくら交わってもトイはソンリェンを拒み続ける。
それに苛立ってはトイに当たり、仕方のないことだと自身を納得させ、しかしまた苛立つ。
この数か月間はその繰り返しだった。
トイがソンリェンにと手渡したミサンガを、律儀にソンリェンは身に着けている。シャワーを浴びる時以外はずっと。
『ソンリェンにあげようと……思って』
掠れた声は震えていた。
トイの真意はわからない、少しでもソンリェンの機嫌を取ろうと思っていたのかもしれない。酷いことをされないようにと。
なんにせよ、トイが単純な善意や好意でソンリェンにこんなものを渡すわけがない。だが、トイの手首にも巻き付けられているそれを目にする度トイとの繋がりを少しでも感じられて外せなかった。
この紐が切れた時にトイは自分のものになるのだろうかなど、らしくもない願いを抱いている自分に苦く笑う。
ソンリェンはよくトイをバカだと罵るが、自分こそバカだという自覚はあった。
「挿れるぞ」
伺いを立てるためではなく、事実をトイに認識させるためだけに声をかけて腰を落としていく。たとえトイが嫌だと拒んだとしても、止める気はさらさらない。
「……ッぁ、あ!」
仰け反るトイの汗ばんだ身体を押さえつけて、容赦なく挿入していく。毎日のように犯しているため、ほころんだそこはうまくソンリェンの形に広がっていった。
それどころかトイの身体はこんなにも固く強張っているというのに突き挿れたそこは柔らかく、もっと奥へと誘うように蠢いている。
トイがソンリェンを欲していると、ソンリェンに錯覚させるには十分だった。
一気に奥まで押し込んで、うまく嵌るように腰をずらしさらに突き入れる。ぴたりと、望む場所へと埋め込むことができてほうっと息を吐く。
それに対してトイは、過呼吸のように喉を戦慄かせて衝撃に耐えていた。
「──ッひ、ぁ、あ…ふ」
「力を抜け」
「ゃ、ふか、ふかいぃ……」
「力抜け、ほら……」
言いながら腰を穿ち始める。もうソンリェン自身が耐えられそうになかったことと、トイの理性をさっさと吹き飛ばしてやりたかったからだ。
まともな状態のトイと会話をすることは極力避けたい。
朝までトイと同じベッドで眠るようになってから──というよりも強制的にソンリェンが寝ていくようになってから、トイとは少しばかり会話ができるようになっていた。
いつもはソンリェンの前だと怯え吃りまともに話すこともできないトイが、ソンリェンの言葉にしっかりと頷き発言する。それは望んでいたことではあったのだが、弊害も出て来た。
元来のトイはしっかりと自分の意思を発言するタイプだ。
つまり、少しまともな会話ができるようになったということは、普段はトイが恐怖やらのため心の奥底に抑え込んでいる感情が如実にソンリェンに対して出てきてしまうというわけで。
先ほどもトイの買い物に無理矢理ついて行ったが、苛立ったトイに鋭い力で腕を弾き飛ばされた。
やってしまったとトイは自身の行動に呆けていたが、まさしくその一瞬の抵抗がトイの本心なのだ。
触れ合いたくない、ソンリェンとこんなことはしたくないと、トイの身体の隅から隅までがソンリェンを否定している。
そしてそれを理解すると、ソンリェンの方も優しくしたいという感情が一気に怒りへと変わり乱暴に扱ってしまう。
そして手を上げればトイはソンリェンに怯え、今までの威勢はどこへやら直ぐにまた怯える口調へと戻ってしまう。
これもまた、堂々巡りだった。快感に理性を崩させてしまったほうが楽だ。
ソンリェンがトイに苛立つことも、トイが怯えることもない。
「あ、あ、ぁ」
華奢な身体の上に覆いかぶさり腰を振る。
柔らかく沈む内壁に遠慮はいらない。ねちゃねちゃと結合部から淫猥な音が響き、聴覚が煽られさらにペースが速くなる。穿ちに合わせてトイのそそり立つ幼い肉の茎を擦り上げれば腰がくねった。
赤く染まる褐色の体。快楽に喘ぐ肢体。例えそれが生理的な現象だったとしても、トイがソンリェンの手で反応を示すのが嬉しくてソンリェンはトイを毎日貪ることを止められないでいた。
「い、や、ぁ……も、ゆっくり、し、てぇ……っ!」
「るせえな……」
「ゆっ、くり、おねが……ァあ!」
中指と親指で上下に扱き、鈴口に指先を添え抉るように掻き回せば直ぐに溢れんばかりの蜜を垂らすトイの肉欲。今日はまだ一度も射精させていない。もちろんわざとだ。
痛みを与えれば痛みに泣き、快感を与えれば快感に泣いた。怖いのか、嫌なのか、悲しいのか、憎いのか、恨みなのか。
結局のところ全てなのだろうなと理解しつつもソンリェンはトイを抱き続けることを止められなかった。
これしか、トイと繋がる術が見当たらない。
命令だから身体だけは従順に。しかし心の底からセックスという行為を拒んでいるトイはソンリェンを受け入れることはない。
受け入れられることがないとわかっていたからこそ、受け入れさせるために脅してもう一度支配下に置いた。現実は変わらず、いくら交わってもトイはソンリェンを拒み続ける。
それに苛立ってはトイに当たり、仕方のないことだと自身を納得させ、しかしまた苛立つ。
この数か月間はその繰り返しだった。
トイがソンリェンにと手渡したミサンガを、律儀にソンリェンは身に着けている。シャワーを浴びる時以外はずっと。
『ソンリェンにあげようと……思って』
掠れた声は震えていた。
トイの真意はわからない、少しでもソンリェンの機嫌を取ろうと思っていたのかもしれない。酷いことをされないようにと。
なんにせよ、トイが単純な善意や好意でソンリェンにこんなものを渡すわけがない。だが、トイの手首にも巻き付けられているそれを目にする度トイとの繋がりを少しでも感じられて外せなかった。
この紐が切れた時にトイは自分のものになるのだろうかなど、らしくもない願いを抱いている自分に苦く笑う。
ソンリェンはよくトイをバカだと罵るが、自分こそバカだという自覚はあった。
「挿れるぞ」
伺いを立てるためではなく、事実をトイに認識させるためだけに声をかけて腰を落としていく。たとえトイが嫌だと拒んだとしても、止める気はさらさらない。
「……ッぁ、あ!」
仰け反るトイの汗ばんだ身体を押さえつけて、容赦なく挿入していく。毎日のように犯しているため、ほころんだそこはうまくソンリェンの形に広がっていった。
それどころかトイの身体はこんなにも固く強張っているというのに突き挿れたそこは柔らかく、もっと奥へと誘うように蠢いている。
トイがソンリェンを欲していると、ソンリェンに錯覚させるには十分だった。
一気に奥まで押し込んで、うまく嵌るように腰をずらしさらに突き入れる。ぴたりと、望む場所へと埋め込むことができてほうっと息を吐く。
それに対してトイは、過呼吸のように喉を戦慄かせて衝撃に耐えていた。
「──ッひ、ぁ、あ…ふ」
「力を抜け」
「ゃ、ふか、ふかいぃ……」
「力抜け、ほら……」
言いながら腰を穿ち始める。もうソンリェン自身が耐えられそうになかったことと、トイの理性をさっさと吹き飛ばしてやりたかったからだ。
まともな状態のトイと会話をすることは極力避けたい。
朝までトイと同じベッドで眠るようになってから──というよりも強制的にソンリェンが寝ていくようになってから、トイとは少しばかり会話ができるようになっていた。
いつもはソンリェンの前だと怯え吃りまともに話すこともできないトイが、ソンリェンの言葉にしっかりと頷き発言する。それは望んでいたことではあったのだが、弊害も出て来た。
元来のトイはしっかりと自分の意思を発言するタイプだ。
つまり、少しまともな会話ができるようになったということは、普段はトイが恐怖やらのため心の奥底に抑え込んでいる感情が如実にソンリェンに対して出てきてしまうというわけで。
先ほどもトイの買い物に無理矢理ついて行ったが、苛立ったトイに鋭い力で腕を弾き飛ばされた。
やってしまったとトイは自身の行動に呆けていたが、まさしくその一瞬の抵抗がトイの本心なのだ。
触れ合いたくない、ソンリェンとこんなことはしたくないと、トイの身体の隅から隅までがソンリェンを否定している。
そしてそれを理解すると、ソンリェンの方も優しくしたいという感情が一気に怒りへと変わり乱暴に扱ってしまう。
そして手を上げればトイはソンリェンに怯え、今までの威勢はどこへやら直ぐにまた怯える口調へと戻ってしまう。
これもまた、堂々巡りだった。快感に理性を崩させてしまったほうが楽だ。
ソンリェンがトイに苛立つことも、トイが怯えることもない。
「あ、あ、ぁ」
華奢な身体の上に覆いかぶさり腰を振る。
柔らかく沈む内壁に遠慮はいらない。ねちゃねちゃと結合部から淫猥な音が響き、聴覚が煽られさらにペースが速くなる。穿ちに合わせてトイのそそり立つ幼い肉の茎を擦り上げれば腰がくねった。
赤く染まる褐色の体。快楽に喘ぐ肢体。例えそれが生理的な現象だったとしても、トイがソンリェンの手で反応を示すのが嬉しくてソンリェンはトイを毎日貪ることを止められないでいた。
「い、や、ぁ……も、ゆっくり、し、てぇ……っ!」
「るせえな……」
「ゆっ、くり、おねが……ァあ!」
中指と親指で上下に扱き、鈴口に指先を添え抉るように掻き回せば直ぐに溢れんばかりの蜜を垂らすトイの肉欲。今日はまだ一度も射精させていない。もちろんわざとだ。
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