31 / 202
勇敢な子豚
31.
しおりを挟む「……は」
数秒の沈黙の後、ソンリェンが一つ嘲笑を零し、堪えきれなかったのくつくつと喉を震わせ始めた。拒んでしまったことが恐くて、さらに顔を背けてしまう。
乱暴にぐいっと頭を引き寄せられ、髪をかき分けるように耳朶に唇がぴったりとくっつけられた。ふるふると震えるトイにソンリェンは荒く吐き捨てた。
「避けやがって」
「ご、ごめんな、さ」
「自惚れてんじゃねえ、誰がてめえにキスなんかするかよ」
「ひ……ぁッ……!」
人形のように抱え込まれ、激情のまま激しく下から突き上げられる。
「ぁっあ、こ、壊れ……こわれ、る……ぅッ……」
「は、壊れろ……死ね」
心の底から蔑む温度で囁かれ歯が噛み合わなくなる。このまま突き破られて殺されるかもしれない。
もしトイがこのまま死んだとしても、世界は何も変わらないのだろう。
悪魔なようなソンリェンも彼らも生き続けるだろうし、天使のように優しい育児院の子供たちも元気に暮らしていく。ふと、育児院で手に取った腕のほつれた人形を思い出した。あれは、トイだった。今頃シスターが、あの人形の腕を縫ってくれているのだろう。
「ぁ、あ゛ぁあ、あ、ぐ」
「泣け」
自然とソンリェンの肩にしがみついていた。縋りたいわけではないけれど、トイを救えるのは目の前のソンリェンしかいないのだ。
「や、ら、ぁああ、あ、ひんっ」
男根に狭い窄まりを押し広げられ、柔い奥の肉壁の至る所を突かれる。肉壁を吸い出すようにずるっと引き抜かれ、また入れられて、かき回されて、引き抜かれる。
延々とそれを繰り返される。重力に逆らうように中を荒らされ、快楽も何もない、ただ痛いだけの時間が過ぎていく。
「泣き叫べよ……てめえなんか」
「んっ、ぐ、んぅ」
「ただの、玩具だろうが」
ソンリェンの暴言がナイフのように心に傷を残していく。トイは彼の言う通り生きた玩具だった。スラム育ちで友達も家族もいない意味のない存在だ。
トイ、という名前はトイ自身が自分につけた。ゴミ捨て場でお金になる何かを漁っていた時、捨てられくたびれた人形から目が離せなくなった。
綺麗に巻かれた金色の髪も汚れ、かつては透き通るように綺麗だったであろう青い瞳も薄く濁り変色していた。売り物にもならなそうなそれは、手足も千切れ服もボロボロで無残な状態だった。
少年なのか少女を模したものなのかも判別がつかなくなっていたそれは、トイが生きていく上では確実に不必要なものだった。
けれどもなんとなく気になって、持ち帰ってしまったのだ。
人形の脚に何か文字が書かれてあった。まだ字が読めなかった頃だったので、通りすがりの女性に読んでもらった。
いかにも浮浪児の格好をしたトイに女性は顔をしかめたが、流石に哀れに思ったのか描かれた文字を教えてくれた。読み方は「トイ」だった。外国の文字らしい。
けれどもそれが何を差すものなのかはわからなくて、てっきりこの人形の名前が「トイ」なのだと思った。だから、自分にも同じ名前をつけたのだ。
トイの目は赤色で、移民の血が色濃く残る廃れた錆のような色だ。だから、今は汚らしいがかつてはとても綺麗な風体だったであろう外国の人形に対する憧れがあった。
その人形と、ソンリェンの目の色は一緒だった。だから、トイは──
「おい集中しろ」
「ぁッ……」
ずっずっずっと断続的に内壁を捲られ、どんどんと突き上げが早くなっていく。
摩擦で結合部が燃えてしまいそうだった。律動に合わせて体の中でソンリェンものが徐々に膨らみ始める。と同時に、ソンリェンに揺さぶられるたびに互いの密着した腹の間で擦られ続けたトイの男芯も、緩く起ち上がり冷たい蜜を零していた。
きっと接合部分は飛び散るような赤色とトイの体液にまみれ凄いことになっているのだろう。もう痛みの感覚すらも遠くなっていく気がする。トイはもう、意識を繋ぎとめるだけで精一杯だった。
「ぅ゛ッ……!」
最後に首筋に噛みつかれながら、がんっと身体が跳ね上がるほど奥を抉られ逃げられぬように強くかき抱かれる。
「ふ……やァ」
ソンリェンの大きな体がぶるりと震え、子宮の中でソンリェンの肉が弾けた。
じわじわと奥が冷たくなって、重力に従った体液がとろとろと零れていく。何度も小刻みに揺すられて、どくどくと残りの残液も余すことなく注がれる。
トイも断末魔のような悲鳴を上げたが、それはとてもか細いものでソンリェンの厚い肩に全て吸い込まれてしまった。
「くそ、玩具のくせに熱いんだよ……お前の体」
けほ、と咳き込みそのままソンリェンにしだれかかる。もう腕も足も動かない。ぬるりと濡れた腹部は、知らず知らずのうちに緩く吐き出してしまったトイの精液だったのか、互いの汗だったのか。
「ぃた、……」
汚いと引きはがされるかと思ったけど、拒まれることはなかった。それどころかより一層腕の中に閉じ込められて、密着した大きな身体から熱い体温を感じた。
ソンリェンは普段そこまで体温は高くないのに、とそこまで考えて違うと心の中で首を振る。服越しではあれど、彼の体温をこんなに近くに感じるほど彼の身体に触れたことがなかったのだ。
どくどくと激しく軋む心音に、ソンリェンも人間であったことを思い出す。同じ人間なのに、トイとは全てが違う。こんな風に惨めに犯されることしか出来ないトイとは。
最後にもう一度、痛い、と呟いてトイは目を閉じた。どろどろとした感覚に引きずられるように意識を手放す。
身体も心も、全てが痛かった。疲れ果てていた。
「トイ」
だから、最後に耳に囁かれた掠れたソンリェンの声も幻聴なのだと思った。
11
お気に入りに追加
667
あなたにおすすめの小説
僕が玩具になった理由
Me-ya
BL
🈲R指定🈯
「俺のペットにしてやるよ」
眞司は僕を見下ろしながらそう言った。
🈲R指定🔞
※この作品はフィクションです。
実在の人物、団体等とは一切関係ありません。
※この小説は他の場所で書いていましたが、携帯が壊れてスマホに替えた時、小説を書いていた場所が分からなくなってしまいました😨
ので、ここで新しく書き直します…。
(他の場所でも、1カ所書いていますが…)
変態村♂〜俺、やられます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
地図から消えた村。
そこに肝試しに行った翔馬たち男3人。
暗闇から聞こえる不気味な足音、遠くから聞こえる笑い声。
必死に逃げる翔馬たちを救った村人に案内され、ある村へたどり着く。
その村は男しかおらず、翔馬たちが異変に気づく頃には、すでに囚われの身になってしまう。
果たして翔馬たちは、抱かれてしまう前に、村から脱出できるのだろうか?
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
大親友に監禁される話
だいたい石田
BL
孝之が大親友の正人の家にお泊りにいくことになった。
目覚めるとそこは大型犬用の檻だった。
R描写はありません。
トイレでないところで小用をするシーンがあります。
※この作品はピクシブにて別名義にて投稿した小説を手直ししたものです。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる