ヤンデレ気味の金髪碧眼ハーフの美少年に懐かれた結果、立派なヤンデレ美青年へと成長した彼に迫られ食べられたが早まったかもしれない件について。

宝楓カチカ🌹

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「て……提案があります」

 思わず敬語になってしまう。勢いに飲まれて恐る恐るうかがえば、埒が明かないと思ったのか言えと顎で促されたので恐々と発言権を行使した。

「お、オレが上ってのは……」
「は、上?」
「その……挿れる、方」

 年下のお願いを聞いてやるのが年上の役目だとは思うが、琉笑夢の特大サイズのそれよりも春人のそれを使用した方が安全なはずだ。
 春人のであれば琉笑夢の尻はきっと壊れないだろうが、琉笑夢のであれば春人の尻が壊れる、絶対、確実に痔になる。
 ちらりと琉笑夢の視線が春人の剥き出しの下半身に向けられた。

 数秒も経たぬ内に結論を出した琉笑夢に、ふんと鼻で笑われる。

「その粗品突っ込んで春がへこへこ腰振んの? 全力で笑い取りにくるじゃん」

 このクソガキが、言うに事を欠いて人の大事な部分を粗品だと。

「これでも身長170あんだぞ!」
「169の間違いだろ」

 秒で言い返された。なぜバレているのか、ではなくて。

「や、やかましい、四捨五入したら実質170なんだよ」

 心底バカなの? という目で見下された。
 高身長となった琉笑夢には20歳を過ぎても170を超えられなかった春人の苦しみなんて一生わからないに違いない。

「そんなこと言ったら俺も190になるから。はい時間切れ」
「第一なんでオレが下って決まってんだよ、ここは公平にじゃんけんだろ!」
「春が悪い、可愛いすぎるから」

 ぐ、と絆されそうになって慌てて頭を振りかぶる。

「……絆されねえからな!」
「騒ぐな、近所迷惑」
「まて、いったん話し合おうぜ、まてまてっ──」

 繰り返される同じような口論に焦れたのか、大きく舌打ちをした琉笑夢にぐっと腕を引き寄せられずぼっと腕の中に囲われる。
 離せと声を上げようとしたが唇を啄まれて、怒声は熱い口内に吸い込まれていった。

「ん──……」

 舌がなだれ込んでくる。後ろに添えられた指先にうなじを撫ぜられ、舌の裏をくすぐられれば力が抜けた。
 今日は本当にキスばっかりしているな。一つ一つ呼吸を縫うように口内を蠢く舌にちょうど内頬の柔らかい部分を弄られ、舌をゆっくりと引き抜かれ、そしてまたふさがれる。
 緩くまぶたをあげれば同じく目を開けている琉笑夢と目があった。自然とキスが深くなる。
 糸を引いて唇が離れた頃には体から力が抜けてしまっていた。

「……別に、ほだされてほしくて言ってるわけじゃねえから。春を抱きたいだけ」

 ささやかれたそれは思った以上に真摯な声色だった。

「春のこと、ずっとずっと抱きたかった。好きで好きで……好きで、監禁して閉じ込めて、裸に剥いて喘がせて、毎日犯して犯して犯しまくってぐちゃぐちゃにして俺無しじゃ生きられない体にしてやりたいって何度も思って……妄想して」
「琉笑夢……」

 静かに吐露され始めたどろどろと煮詰められていた13年分の想いには、言葉以上のものが込められている気がして途中で遮ることもできなかった。

「おまえ知らねえだろ。俺が、子どもの頃おまえと同じベッドで寝てる最中しょっちゅうトイレ行って抜いてたこと」
「えっ」

 それは初耳だ。

「トイレ近かったんじゃねえのか」
「……なわけあるか馬鹿」

 心外だ、と琉笑夢が顔をしかめた。
 そうだったのか、琉笑夢は夜のトイレが近い子なんだあと兄目線で思っていたのに。


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