ヤンデレ気味の金髪碧眼ハーフの美少年に懐かれた結果、立派なヤンデレ美青年へと成長した彼に迫られ食べられたが早まったかもしれない件について。

宝楓カチカ🌹

文字の大きさ
上 下
25 / 40

初心者マーク──25

しおりを挟む


 顔を背けても追いかけられて唇をふさがれる。狭い可動範囲で脚をバタバタと動かしても全く効果がなかった。びくともしない。
 再び始まった嵐のようなキスに翻弄される。休憩させろと何度か頼み込んだものの聞き入れてはもらえなかった。
 部屋に響く濡れた音と時を刻む時計の針の音だけが響く中、さすがにもう限界だと琉笑夢の後ろ頭をかなり強く引っ張ったことでやっと離れた。
 けほ、と喉の奥に流れて来た唾液を飲み下す。口の周りは溢れた雫でべたべたになっていた。
 力の入らない腕で濡れた唇を擦ろうとしたのだが、強引に引き剥がされた。

「手ぇ邪魔」

 不機嫌極まりないといった声にイラっとした。
 コイツ、さっきまではあんな殊勝な態度だったくせにちゅーしただけで調子戻しやがって。

「あのなぁ! 手加減しろよ、こっちは階段駆け上がっても結構……息切れすんだぞ」
「じじいかよ」
「なんだって?」

 ひょいひょい日本中を飛び回っている19歳と日々デスクワークが基本の27歳を同じにしないでほしい。
 25を過ぎると徹夜も厳しくなるし、そもそも体力も経験値も違うのだから。

「って、おい」

 だというのに、さも当然のことのように服の隙間から不埒な手が侵入してきた。

 しかもそれだけでは飽き足らないのか、剥き出しの素肌をねっとりとまさぐられ刺激するようにゆるく揉まれる。

「な……んだよ、この手は」
「なにって、春が俺を好きで俺も春が好きってことは晴れて恋人同士になったってことだろ、つまりはそういうことだろ」

 どういうことだ。食い気味に言われて首を捻る。
 つまるところそうなのだろうが、琉笑夢と春人が恋人同士だなんてなんだか馴染みのない言葉だ。

「まあ、そう、なんのかな?」
「そうなるんだよ。なら恋人同士がベッドの上でやることなんて一つだろーが」
「や、やることって言うのは」

 聞かなくとも答えなんてわかり切っているのにあえて声に出してしまうのは、否定してほしいからに他ならない。

「──セックス。正確にはアナルセックスだけど」

 だが微かな希望も虚しく、きっぱりと断言されてしまった。

「え、っと……」

 男同士ではそこを使うということは知っているのだが、心を通じ合わせてまだ数分しか経っていないのだ。
 まだ心が追い付かない。

「さっさとやるぞ」
「まっ、まて、まてまて」
「無理、散々待った。さっさとケツ出せ」
「ケツって、おまえ情緒とかねえのかよ!」
「春に情緒がどうのとか言われたくねえし」
「あのだからちょっとまってくれって、オレもう27歳だけどさ……初めてなんだよ」
「──は?」
「だ、だから……本当はオレ、誰ともそういうことしたことなくて」

 だぁん、と顔の横に拳を叩きつけられて硬直する。

「あのさぁ、なに言ってんの?」

 たらりと額から汗が垂れてしまったのは、シングルだがそれなりに質のいいはずのベッドが今の一撃でかなり浮き上がったからだ。
 ぎりぎりと耳元で、握りしめられた琉笑夢の拳の音が聞こえる。

「それ当たり前だから。おまえが誰かに突っ込んだり突っ込まれてたりしてたら春の目の前で相手殺して春も殺して俺も死ぬ」

 いやどこにキレてんだよ。血走らせた目でかくんと首を傾けた琉笑夢の姿はまさにホラーだった。
 前に琉笑夢と、美貌の殺人鬼が嫉妬のあまり恋い焦がれた主人公の恋人を主人公の目の前で斬殺した海外のパニック映画を一緒に観たのだが、そのワンシーンが今の琉笑夢と被った。
 ついでに春人を抱き締めながら、気持ちわかるなあとぽそりと呟いていた琉笑夢も思い出してしまって、きゅっと臀部に力が入る。
 じわりと汗が噴き出しはじめる。

「俺以外に手ぇだしても手ぇ出されても許さない」

 確か映画の中で殺人鬼も似たようなことを言っていたような。そしてコイツならやりかねん……じゃなくて。
 一瞬にして光を失った瞳に盛大にびびりながらも、懸命に言い募る。

「そうじゃなくて! こ、こーいうのは順序ってもんがあるだろ、な? ほら、オレたちって今日が交際初日だろ? 初めてだし、ゆっくりやってほしいっつーか、合わせてほしいっつーかさ……」
「なんだそんなことかよ。安心しろって、俺も童貞だから」
「……へ?」

 今、とんでもない爆弾を落とされたような。
 眼前の麗しい青年の言葉が信じられなくて耳を疑った。

「初めて?」
「そう、初めて。前も後ろも」
「………………琉笑夢が?」
「当たり前だろ、俺のこれはおまえのケツに挿れるためだけに存在してんだよ」
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました

ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。 「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」 ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m ・洸sideも投稿させて頂く予定です

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。

山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。 お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。 サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談?本気?二人の結末は? 美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。 ※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。

白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。 最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。 (同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!) (勘違いだよな? そうに決まってる!) 気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。

ヤンデレBL作品集

みるきぃ
BL
主にヤンデレ攻めを中心としたBL作品集となっています。

美形な幼馴染のヤンデレ過ぎる執着愛

月夜の晩に
BL
愛が過ぎてヤンデレになった攻めくんの話。 ※ホラーです

処理中です...