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第12話:女、スレに、聞く

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自宅に、戻った男は、検定の勉強を始めた。


一方、女は、自宅に入りベッドにダイブすると、「もっといたかったなぁ」と呟く。明日は休みだし、朝までいられるもんだと思っていたから。


しばらくすると、女は、ベッドから起き上がり、SNSのスレッドで新しいスレッドを立て始めた。

「10年位振りに好きだった幼なじみ(中学までの一緒)に再会した。付き合いたいけど、向こうが鈍感っぽいから、攻略法教えて。」

直ぐに反応があった。

「イッチの性別と相手の性別は?」

「ごめん。自分は女で相手は男。」

「向こうのイッチのイメージは?」

「イメージは殆んどないと思う。中学、中1の一学期でドロップアウトして自宅警備してたから。」

「自宅警備は今も?」

「今は違う。中学時代で脱出出来た。今は、外出て働いている。」

女が、そう呟くとそれまで数多あったViewの数が一気に一桁まで減った。

「何これ?どういうこと?」

誰かがスレッドの去り際に呟いた「ヨウジンは自分で解決汁!」の呟きに次々と良いねを押して去っていく。しばらくして、落ち着いた頃、別の呟きがきた。

「このスレから抜けた人は、自宅警備の年数の少なさに嫉妬しただけだから、気にしないで。」

「ヨウジンは、陽キャな人のこと。ここのスレにいる人、自宅警備の経験少ない人は、全部、ヨウジンって言って、門前払いするんだけど、気にしないで。」

その呟きを見た女は、安心して、胸を撫で下ろした。

「良かった。取り合ってくれるみたいだ。」

「イッチさん。その幼なじみとは、どんな感じなの。」

「連絡は、ゲット出来て、今日、会うこと出来たんだけど。」

「だけど、?」

「映画見て、夕ご飯一緒に食べて終わった。」

「充分じゃないの?イッチさんは何を求めて?」

「朝までとは言わないけど、もうちょっと長く一緒にいたかった。日付跨ぐとか。」

「それは、イッチさん。相手に求め過ぎだと思うよ。未だ付き合ってないんでしょ。」

「うん、未だ付き合ってない。でも、幼なじみだからいけるかなって。」

「付き合う前から日付跨いで一緒に過ごすのは、ハードルが高いんじゃないかな。」

「そうなの?」

女はスレのコメントを見ながらそんなことを思った。


スレのコメントは続く。

「付き合う前に、相手のシラフの時とお酒で酔ってる時の素性を知っておくのは、大事かな。」

「確かに~。シラフ優しいけど酔うと自己中KY王子がいたりするもんね。」

「その振り幅は、森杉(笑)でも、シラフと酔ってるのでキャラ違う人は、少なからずいるからね。シラフはポジティブなのに、酔うと、ネガティブみたいな人もいるしね。」


「メモしなきゃ」

女は、鞄の中にある手帳を取り出して、メモした。

スレのコメントは続いている。

「あと、車の運転してる時としてない時。運転ニキって意外に多いよね。特に「こち亀本田族」は要注意!」

「ごめん、こち亀本田族って、なに?」

「イッチさんは、「こちら葛飾区亀有公園前派出所」って見てなかった?」

「こち亀は、知ってるよ。」

「それに出てくる本田ってキャラがいるんだけど、このキャラ、普段ナヨナヨしてて、バイクに乗るとオラオラになる人。」

「言われたら分かった。でも、なんで?」

「ギャップがあるのは良いことなんだけど、車やバイクみたいな凶器にもなり得るものに関しては、注意が必要ってこと。」

「なるほど。メモしよう。」

女は、メモしながら、男の運転姿を思い出した。

「そういや、今日、その人の車、乗せてもらったよ。」

「どうだった?」

「安全運転で快適だったよ。特に顔が変わるようなこと無かったし、運転中も優しく接していたよ。」

「イッチさん、助手席乗れたんだ。運転以外にギャップがあるとこ、あった?」

「特にないかな。基本、優しくて穏やかだから安心感があるの。困っている人がいたら助けるし、ゆとり運転なの。」

女のコメントでスレにいた人が直ぐに反応した。

「イッチさん、その人、離しちゃダメよ。」

そのコメントに何人もの人がイイねをしていた。

女はそのコメントをした人に聞いてみた。

「離さないようにするには、どうしたらいい?」

「多分だけど、その人は、イッチさんから誘うと嬉しいと思うから、イッチさん主導で会うと良いんじゃないかな。向こうのルーティンとかも尊重しながら楽しめたら、向こうも安心するんじゃないかな。」

「なるほど。了解です。みなさん、アドバイスありがとう。また連絡します。」

そう呟いて、スレを閉じた。

-続く-

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