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中学時代③
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中3の秋。
いつものように宏樹と直己と待ち合わせて3人で登校していた時のこと。ドーム横の空っぽの用水路に何やら影を見つけて覗いてみる。
「あれは、何?」
私が先にその物陰に気づいて、直己が空っぽの用水路に入ってその物陰に近づいていく。
「子犬だ。多分、柴犬。」
そこにはダンボールに入れられて捨てられた子犬がいた。
「一旦、上げるよ。」
直己がそう言って上げると宏樹が受け取り足元に置いた。
「浩之、タオルある?」
「うん、あるよ。、、、はい。」
私は、犬猫が苦手で直己と宏樹みたいにお世話が出来ない。持っているものを二人に渡して見守ることで精一杯だった。
「これで、よしっ!」
子犬の体を拭き終わると登校時間が迫っていた。
「やばっ!時間が無い!」
「急ご。」
「うん。」
私たち3人は、早足で学校へと歩き出した。
すると、さっきの子犬が私たちの後を付いてくる。子犬は、私の方にくっ付いて離れない様子。
「なんか、この犬僕に付いてくるんだけど。」私は少し困ったように直己と宏樹に行った。
「時間が無いから、このまま連れて行こう。学校着いたら先生に話してみれば良い。」
直己の言葉に私と宏樹は「分かった」と言ってそのままその犬を連れて学校に向かった。
学校に着くと、校門の前にいた生徒指導の植田先生に声をかけられた。
「新川、杉矢、佐山。その犬はどうした?」
「来る途中に捨てられてるのを見て助けたら付いてきちゃいました。」
「そっか。」
植田先生は、暫く考えて言った。
「とりあえず、君たちは教室に行きなさい。もうすぐ朝礼も始まる。その犬は、校長に話をしてから保健所に連絡する。」
「分かりました。」
そう言うと私たちはそれぞれの教室に入って行った。
2時間目が終わった業間の時間に放送で私たち3人の名前が呼ばれ、校長室に来るように言われ、校長室に向かった。
校長室には、来間校長と植田先生の姿があった。植田先生が、結果を教えてくれた。
「保健所に連絡したんだが、保健所の方で収容する場所が今ないとの事で、学校の方で飼い主が見つかるまで保護してくれとの事らしい。校長先生も期限付きならと許可が出た。」
「新川くん、杉矢くん、佐山くん。この犬を保護してくれたのは君たち何だってね。」
「はい。」
「先ずは、この犬を保護してくれて礼を言うよ。ありがとう。しかし、ここは学校だから、長くはこの犬は置いてやれない。保健所の収容が空くのが2ヶ月後らしいので、その間だけ学校で保護する事にした。保健所からも飼い主がいないか広報やFMラジオで声掛けしてみると言っている。もちろん、学校の先生たちにも私の方から声かけてみる。学校で保護している間は、君たち3人が主となってこの犬のお世話をして欲しい。」
「分かりました。」
「名前が無いとお世話も出来ないと思うから一応名前を付けるんだけど、どんなが良い?」
私はふと浮かんだ名前を言ってみた。
「三中だから、サンっていうのは、どうでしょう。」
私が「サン」と言うと、子犬は尻尾を振って「ワン」と鳴いた。
「犬もその名前が気に入ったみたいだね。」
植田先生がそう言うと、来間校長も
「じゃあ決まりだね。この犬はサンと呼ぶことにしよう。君たちに主として3年生でお世話をお願いするが、大人の監視もいるだろうから、保健室の猪飼先生にお願いしよう。猪飼先生。」
来間校長の声掛けに扉の外からノックの音がすると未鈴先生が入ってきた。
「来間校長、お呼びですか。」
「猪飼先生、犬は好きか?」
「はい。実家でも飼ってます。」
「それは、ちょうど良かった。この子たちが、今朝、登校中に捨て犬を保護したんだけど、保健所に収容できなくてしばらくの間、学校で保護することになった。主として3年生が面倒を見るんだが、猪飼先生も手伝ってくれないか?」
「分かりました。ですが、保健室の中では難しいので、中庭に犬小屋を設置してそこでやりたいと思います。」
「そうだな。それでお願いしよう。」
話が終わると、休み時間終わりのチャイムが鳴った。
「休み時間使い切って申し訳なかったね。授業が始まるから教室戻って良いよ。この事は、給食の放送の時間で皆に知らせるから。」
「分かりました。失礼します。」
そう言って、私たちはそれぞれの教室に戻っていった。
給食の時間になった。食べていると放送が流れた。そこでまた私と宏樹、直己が呼ばれて放送室に行った。行くと、私たちからサンの事を伝えて欲しいと言われた。私は緊張で喋ることが出来なかったが、直己が率先して話をしてくれた。
「突然にお邪魔します。3年1組杉矢直己、4組新川浩之、5組佐山宏樹です。今日、私たちが登校中に保護した子犬をしばらく学校で保護することになりました。お世話は3年生が主となって行いますが、名前はサンです。みなさん仲良くしてあげてください。保健室前の中庭にいます。よろしくお願いします。」
給食での放送終了後、保健室に行くとさっきまで無かった「サンの家」と書かれた犬小屋が出来ていた。
「未鈴先生、この犬小屋はどうしたんですか?」
「これはね、事務の水さんが作ってくれたんだよ。散歩なんかも手伝ってくれるって。」
「そうなんですか!?有難い!」
サンは水さんの作った犬小屋を気に入り、喜んでいる。私たち、3年生も散歩したり遊んだりするものの、時間は限られているのを、水さんと未鈴先生がカバーしてくれていたお陰で皆でお世話することが出来た。
サンが学校で過ごすようになって1ヶ月。保健所から連絡があったからと校長室に呼ばれた私たち3人と未鈴先生。来間校長が話し始めた。
「新川くん、杉矢くん、佐山くん。貴重な休憩時間を削ってしまって申し訳ないね。」
「いえ、大丈夫です。」
「保健所から先ほど連絡あったからそれの報告をしようと思ってね。」
「はい。」
「今日からFMいずもで飼い主募集でお知らせしますとのこと。お知らせはするけど、保健所のゲージは空きが無いので、引き続き保護しておいて欲しいとのことでした。飼い主募集の期間は一先ず、1ヶ月。その頃にもう一度連絡しますとのことでした。」
「分かりました。」
来間校長からの話を聞いた私は、直己と宏樹と別れて保健室に立ち寄った。
「未鈴先生、今良いですか。」
「新川くん、どうした?」
「今、来間校長から話があると連絡があって話を聞きに行ったんですけど、今日からFMいずもで飼い主募集をしますって。」
「そうなのか。新しい飼い主が見つかるのは嬉しいけど、なんか寂しいね。」
「はい。」
暫く沈黙が続いた後、未鈴先生が話し始めた。
「じゃあ、私が引き取ろうかな。」
「でも、先生の家ペット禁止のアパートだって言ってたんじゃ。」
「そうなんだけど、丁度、アパート更新のお知らせが来てたから引っ越すか考えてたんだよね。これを機会に引っ越すことにするよ。」
「そうなんですね。でも、引き取るってなったら譲渡前適正講習会っていうのを受けなきゃいけないみたいですけど、大丈夫ですか。」
未鈴先生は話を聞きながら保健所のホームページを見ていた。
「今、ホームページで日程見てるけど、引越しの手続きの期間中に受けられそうだから大丈夫だよ。」
「それなら良かったです。」
「保健所からは私の方から言っておくね。」
「よろしくお願いします。」
無事にサンの新しい行き場所が出来てホッと胸を撫で下ろした。
その後、未鈴先生は保健所に電話して、譲渡前適正講習会に参加して、物件探してと忙しい日々を送っているものの、楽しそうに過ごしていた。
物件もすぐに見つかると、未鈴先生は私と直己、宏樹の3人を保健室に呼び出した。
「新川くん、杉矢くん、佐山くん。今度の日曜日空いてたりする?」
3人は少し考え込む。
「杉矢くんは?」
「ごめんなさい。その日はサッカーのスポ少の試合で。」
「佐山くんは?」
「その日は、検定試験で。入試の推薦に必要な情報処理検定で。」
「新川くんは?」
「僕は特に予定ないですが。」
「良かった。引越しの手伝いをして欲しくて。お願いしても良いかな。」
「はい。でも、それなら人手がいるんじゃ。」
「人手の方は大丈夫。家族総出で引越しするから。ただ、新居でサンを迎える準備があるから3人の誰かに一緒にいてもらいたかったの。」
「分かりました。大丈夫です。」
「じゃ、日曜日。8時30分にドームのロータリーのベンチで待ってて。そこに迎えに行くから。」
「分かりました。よろしくお願いします。」
日曜日、8時30分。約束通りにドームのロータリーベンチで待っていると一台の車がやって来た。助手席側の窓が開き、中から未鈴先生が声をかける。
「新川くん、お待たせ。」
「未鈴先生、おはようございます。」
「おはよう。乗って。」
助手席に私が乗ると未鈴先生は車を走らせ話を続けた。
「家族は9時にアパートに来ることになってるんだ。今までのアパートは四絡だったけど、新しい所は駅近なんだ。四絡にペット可が無くてね。校区外になっちゃうけど、ペット可だし、駅近なら遠出も気軽に行けるしね。」
「遠出なら車でも行けるんじゃ?」
「そうなんだけど。私、長距離の運転苦手だし、車より電車の方が良くてね。」
「電車好きなんですね。」
「うん。乗り鉄なのかな。電車に乗って車窓を楽しんだり、時刻表見て旅を妄想してみたりするのが好きだったりするんだよね。」
「電車、私未だ乗ったことないけど、そんなに良いんですね。」
「良いもんだよ。動いて見える車窓を眺めながら旅先を楽しむ材料になるもんだよ。大学とかで県外に出てみると電車に乗る機会も増えるだろうから分かるかもね。」
「なるほど。」
そんな話をしているとあっという間で未鈴先生のアパートに到着した。そこは、私の小学校からの友人と同じアパートだった。
「ここって、単身も大丈夫なんですね。家族向けかと思ってました。」
「なんで?」
「ここ、大場昌也のアパートで良く遊びに来てたので。」
「あぁ、大場くんのとこ、3階以上でしょ。ここ、1階2階は1LDK、2DKで単身やカップル向けなんだ。」
「そうなんですね。」
未鈴先生の案内で未鈴先生の部屋に到着すると未鈴先生の家族が部屋の中で待っていた。
「ただいま。」
「未鈴、おかえり。その子は?」
「さんさんクラブの生徒さんの新川浩之くん。サンの事もあって手伝ってもらうことにしたんだ。」
「そうか。新川くん、今日はよろしくね。未鈴の父の博です。」
「新川浩之です。よろしくお願いします。」
リビングまで進むと家族が待っていた。私は改めて挨拶をした。
「三中3年の新川浩之です。今日はお手伝いに来ました。よろしくお願いします。」
「未鈴の母の洋子です。」
「未鈴の兄の洋介です。」
「未鈴の弟の貴博です。」
「よろしくお願いします。」
紹介が終わると未鈴先生が号令をかけた。
「さっ。人数も揃ったことだし荷造り始めよう。」
部屋を見渡すと小物や衣類、食器などは既にダンボールに入れて纏めてあって、リビングの隅に置かれていた。
「大きい家具や家電は備え付けだからそのままで大丈夫。カーテン、時計、サイドテーブル、ジョイントマットを纏めて最後改めて掃除をしたいからお願いします。」
「はい。」
未鈴先生の指示のもと、引越しの準備は滞りなく進んでいく。
10時。引越し業者の人たちが到着し、荷物の搬入を開始する。荷物は少なく、大型のものも少なかったので、あっという間に搬入が終わると未鈴先生は言う。
「お父さん達で先に新居に行ってて。私と新川くんで管理業者の人来るの待って退去の立ち会いしてから行くから。お父さん、これ。新居の鍵ね。」
「了解。」
未鈴先生の家族と引越し業者の人たちが先に出発して私と未鈴先生が残った。
10時30分。引越し業者の人たちが出かけるのと入れ違いのタイミングで管理業者の人がやって来た。
「管理業者の増本と言います。退去の手続きという事で伺いました。猪飼未鈴さんで間違いないですか。」
「はい。」
「では早速、中を見させていただきますね。」
「よろしくお願いします。」
増本さんは、そう言うと部屋を見渡して回った。
「この部屋は、家具家電付きで良かったですね。」
「はい。」
未鈴先生の部屋は元々、綺麗に使われていたのがよく分かる。
「契約時は、敷金礼金ありでしたよね。」
「はい。」
増本さんは無駄なく計算して書類を作成していく。
「今回、多少の傷はありますが、綺麗に使っていただいていたので経年劣化の範疇かなと思いますので、敷金礼金の範囲内で修復出来るかと思います。」
「ありがとうございます。」
「では、こちらにサインして頂いて良いですか。」
「はい。」
「ありがとうございました。部屋の鍵、預かりますね。」
未鈴先生は、部屋の鍵を渡すと「お世話になりました」と言って増本さんに一礼した。
「じゃ、新川くん。私たちも行こうか。」
「はい。」
未鈴先生の車に乗りこみ走り出す。
「未鈴先生、新居はどちらなんですか。」
「駅北かな。休日診療所のそばって感じかな。」
「そんなとこにアパートありましたっけ?」
「新築だよ。家族向けらしいから長く住めるかなって。」
「家賃とかは?」
「私の部屋は2DKで55000円位かな。他だと2LDKで60000円、3DKで65000円、4DKで70000円らしいよ。」
「未鈴先生、その2DKとか2LDKとかった何ですか?」
「Dはダイニング、食事する場所。Kはキッチン。Lはリビング、寛ぐ場所。数字は部屋の数なんだよ。」
「じゃあ、未鈴先生の新しい所は2部屋とダイニングとキッチンがあるってことなんですね。」
「そういうこと。で、家賃は自分の給料の手取りの4分の1が目安だと安心できるんだよ。これ、覚えておくと便利だよ。家を出て一人暮らしする時に。」
「分かりました。」
そんな話をしていると、あっという間に未鈴先生の新居に到着した。
部屋に入ると、荷物のダンボールは部屋に運ばれていて、引越し業者の人たちは既に帰った後で、未鈴先生の家族が待っていた。
「お待たせ。」
「未鈴、お帰り。こっちも今、荷物を部屋に運んだ所だよ。」
「じゃあ、荷解きしちゃおうか。」
未鈴先生は、部屋を見渡して、レイアウトを考えながら指示をした。新居もダイニングキッチンまでは家具家電付いていたので荷解きも順調に進んでいった。ある程度、荷解きが終わると未鈴先生のお父さんが口を開いた。
「サンの場所はどうする?」
「そうね。ダイニングが良いかな。ソファの向かい側のこの場所が良いかな。」
「分かった。」
未鈴先生のお父さんは、そう言うと一度部屋から出て戻ってきたらゲージの組み立てセットを運んできた。
「お父さん、それどうしたの?」
「これは、私たちからの餞別だよ。捨てられて保護した犬を引き取る覚悟をしたんだろう。その決断に経緯を評してだな。」
「ありがとう。」
「しっかり愛情注ぐんだぞ。」
「うん。」
未鈴先生のお父さんは、黙々とゲージを組み立てていった。ゲージを組み立てるだけでなく、設置する場所にパズルマットを敷いて防音の対策も怠らなかった。
「よしっ。これで良いだろう。」
「ありがとう、お父さん。これでサンを迎えれるよ。」
「サンの迎えは何時なんだ?」
「えっとね、13時30分。保健所で引渡しだって。」
「未鈴先生、サンは学校にいるんじゃ?」
「あー、それね。新しい飼い主が私になってから、私の準備が整うまでの間で感染症や病気のチェックや栄養状態、予防接種の確認、情報の再登録をするからって保健所に一旦預かってもらってるのよ。」
「なるほど。」
未鈴先生は、時計を見る。11時30分だった。
「ねえ、ここの近くにせっかく蕎麦屋あるから皆で引越しそば食べようよ。」
「良いね」
「もちろん、新川くんも一緒だよね?」
未鈴先生は、私に向かって笑顔で言ってきた。笑顔で語る圧というものに圧倒され首を縦に振るしかなかった。
アパートから徒歩5分の所に蕎麦屋はあった。メニューは割子、釜揚げ、ざるの3つのみ。未鈴先生のお父さんが仕切る。
「釜揚げは未だ時期じゃないから、割子とざるで良いよね。」
何も言わずにうんと頷く未鈴先生の家族に私は何か不思議な感じがした。
未鈴先生の家族は食べてる時は皆話すことなく食べることに集中していた。誰かが先に食べ終わっても皆が食べ終わるのを待って、皆が食べ終わってから話し出す。
「新川くん。サンを助けてくれてありがとう。」
「いえいえ。」
「未鈴、今日からはお前がサンの飼い主だ。一人で抱え込まなくて良いからたっぷり愛情を注いでやれ。頼りたい時は私たちも助けになるから。」
「うん。ありがとう。」
「話はそれだけだ。じゃあ未鈴。新生活楽しめよ。」
未鈴先生がうんと頷くと未鈴のお父さんは「行くか」と声をあげると皆が立ち上がって外に出た。
12時30分。店を出ると未鈴先生は「送るよ。」と私を車に乗せてドームまで送ってくれた。
「新川くん、今日はありがとう。」
「いえ。お役に立てたなら良かったです。」
「私はこれからサンを迎えるために譲渡会に行ってくるね。水曜日の終業式には皆の顔を見せるためにサンも連れていくから。」
「分かりました。」
「じゃあ、また明日。学校でね。」
そう言って、未鈴先生は車を走らせて行った。
水曜日。終業式。
いつものように登校して、終業式に参加した。終業式後、来間校長が話を続けた。
「今日は、このままお別れの会を始めます。猪飼先生、登壇して下さい。」
そう言うと未鈴先生が壇上に上がった。
「保健室の猪飼先生は、年内でこの学校を離れて年明けからは保健所勤務に変わられます。明日から冬休みなので、皆と会うのは今日で最後になります。では、猪飼先生からお話を。」
「皆さんには急なことで驚かせてしまった人もいるかと思いますが、私、猪飼未鈴は年内をもってこの学校を離れることになりました。保健室を使ってくれた生徒さん、さんさんクラブの生徒の皆さんを始め、皆さんには大変お世話になりました。5年間のこの学校との思い出はこれからの私の糧になります。これから一緒に過ごすサンと共に新しい所でも頑張っていきます。今日はありがとうございました。」
未鈴先生は、そう言って一礼した。
私は突然の事で何が何だか分からなかったが後で話を聞くと、保健室の先生は3年~5年毎に異動があるらしい。そう聞いて私は腑に落ちた。
さんさんクラブは未鈴先生の後、ミシェル先生が顧問を引き継いだ。
あっという間に卒業式を迎えた。
何だか色々とあった3年間だった。自分は何を目指すんだろうと考えていたら、ディエゴに偶然ボランティアを勧められてさんさんクラブに参加して、気づいたら福祉を目指すスタートラインに立っていた。何がきっかけで何を目指すのかは、本当に縁だと思う。
いつものように宏樹と直己と待ち合わせて3人で登校していた時のこと。ドーム横の空っぽの用水路に何やら影を見つけて覗いてみる。
「あれは、何?」
私が先にその物陰に気づいて、直己が空っぽの用水路に入ってその物陰に近づいていく。
「子犬だ。多分、柴犬。」
そこにはダンボールに入れられて捨てられた子犬がいた。
「一旦、上げるよ。」
直己がそう言って上げると宏樹が受け取り足元に置いた。
「浩之、タオルある?」
「うん、あるよ。、、、はい。」
私は、犬猫が苦手で直己と宏樹みたいにお世話が出来ない。持っているものを二人に渡して見守ることで精一杯だった。
「これで、よしっ!」
子犬の体を拭き終わると登校時間が迫っていた。
「やばっ!時間が無い!」
「急ご。」
「うん。」
私たち3人は、早足で学校へと歩き出した。
すると、さっきの子犬が私たちの後を付いてくる。子犬は、私の方にくっ付いて離れない様子。
「なんか、この犬僕に付いてくるんだけど。」私は少し困ったように直己と宏樹に行った。
「時間が無いから、このまま連れて行こう。学校着いたら先生に話してみれば良い。」
直己の言葉に私と宏樹は「分かった」と言ってそのままその犬を連れて学校に向かった。
学校に着くと、校門の前にいた生徒指導の植田先生に声をかけられた。
「新川、杉矢、佐山。その犬はどうした?」
「来る途中に捨てられてるのを見て助けたら付いてきちゃいました。」
「そっか。」
植田先生は、暫く考えて言った。
「とりあえず、君たちは教室に行きなさい。もうすぐ朝礼も始まる。その犬は、校長に話をしてから保健所に連絡する。」
「分かりました。」
そう言うと私たちはそれぞれの教室に入って行った。
2時間目が終わった業間の時間に放送で私たち3人の名前が呼ばれ、校長室に来るように言われ、校長室に向かった。
校長室には、来間校長と植田先生の姿があった。植田先生が、結果を教えてくれた。
「保健所に連絡したんだが、保健所の方で収容する場所が今ないとの事で、学校の方で飼い主が見つかるまで保護してくれとの事らしい。校長先生も期限付きならと許可が出た。」
「新川くん、杉矢くん、佐山くん。この犬を保護してくれたのは君たち何だってね。」
「はい。」
「先ずは、この犬を保護してくれて礼を言うよ。ありがとう。しかし、ここは学校だから、長くはこの犬は置いてやれない。保健所の収容が空くのが2ヶ月後らしいので、その間だけ学校で保護する事にした。保健所からも飼い主がいないか広報やFMラジオで声掛けしてみると言っている。もちろん、学校の先生たちにも私の方から声かけてみる。学校で保護している間は、君たち3人が主となってこの犬のお世話をして欲しい。」
「分かりました。」
「名前が無いとお世話も出来ないと思うから一応名前を付けるんだけど、どんなが良い?」
私はふと浮かんだ名前を言ってみた。
「三中だから、サンっていうのは、どうでしょう。」
私が「サン」と言うと、子犬は尻尾を振って「ワン」と鳴いた。
「犬もその名前が気に入ったみたいだね。」
植田先生がそう言うと、来間校長も
「じゃあ決まりだね。この犬はサンと呼ぶことにしよう。君たちに主として3年生でお世話をお願いするが、大人の監視もいるだろうから、保健室の猪飼先生にお願いしよう。猪飼先生。」
来間校長の声掛けに扉の外からノックの音がすると未鈴先生が入ってきた。
「来間校長、お呼びですか。」
「猪飼先生、犬は好きか?」
「はい。実家でも飼ってます。」
「それは、ちょうど良かった。この子たちが、今朝、登校中に捨て犬を保護したんだけど、保健所に収容できなくてしばらくの間、学校で保護することになった。主として3年生が面倒を見るんだが、猪飼先生も手伝ってくれないか?」
「分かりました。ですが、保健室の中では難しいので、中庭に犬小屋を設置してそこでやりたいと思います。」
「そうだな。それでお願いしよう。」
話が終わると、休み時間終わりのチャイムが鳴った。
「休み時間使い切って申し訳なかったね。授業が始まるから教室戻って良いよ。この事は、給食の放送の時間で皆に知らせるから。」
「分かりました。失礼します。」
そう言って、私たちはそれぞれの教室に戻っていった。
給食の時間になった。食べていると放送が流れた。そこでまた私と宏樹、直己が呼ばれて放送室に行った。行くと、私たちからサンの事を伝えて欲しいと言われた。私は緊張で喋ることが出来なかったが、直己が率先して話をしてくれた。
「突然にお邪魔します。3年1組杉矢直己、4組新川浩之、5組佐山宏樹です。今日、私たちが登校中に保護した子犬をしばらく学校で保護することになりました。お世話は3年生が主となって行いますが、名前はサンです。みなさん仲良くしてあげてください。保健室前の中庭にいます。よろしくお願いします。」
給食での放送終了後、保健室に行くとさっきまで無かった「サンの家」と書かれた犬小屋が出来ていた。
「未鈴先生、この犬小屋はどうしたんですか?」
「これはね、事務の水さんが作ってくれたんだよ。散歩なんかも手伝ってくれるって。」
「そうなんですか!?有難い!」
サンは水さんの作った犬小屋を気に入り、喜んでいる。私たち、3年生も散歩したり遊んだりするものの、時間は限られているのを、水さんと未鈴先生がカバーしてくれていたお陰で皆でお世話することが出来た。
サンが学校で過ごすようになって1ヶ月。保健所から連絡があったからと校長室に呼ばれた私たち3人と未鈴先生。来間校長が話し始めた。
「新川くん、杉矢くん、佐山くん。貴重な休憩時間を削ってしまって申し訳ないね。」
「いえ、大丈夫です。」
「保健所から先ほど連絡あったからそれの報告をしようと思ってね。」
「はい。」
「今日からFMいずもで飼い主募集でお知らせしますとのこと。お知らせはするけど、保健所のゲージは空きが無いので、引き続き保護しておいて欲しいとのことでした。飼い主募集の期間は一先ず、1ヶ月。その頃にもう一度連絡しますとのことでした。」
「分かりました。」
来間校長からの話を聞いた私は、直己と宏樹と別れて保健室に立ち寄った。
「未鈴先生、今良いですか。」
「新川くん、どうした?」
「今、来間校長から話があると連絡があって話を聞きに行ったんですけど、今日からFMいずもで飼い主募集をしますって。」
「そうなのか。新しい飼い主が見つかるのは嬉しいけど、なんか寂しいね。」
「はい。」
暫く沈黙が続いた後、未鈴先生が話し始めた。
「じゃあ、私が引き取ろうかな。」
「でも、先生の家ペット禁止のアパートだって言ってたんじゃ。」
「そうなんだけど、丁度、アパート更新のお知らせが来てたから引っ越すか考えてたんだよね。これを機会に引っ越すことにするよ。」
「そうなんですね。でも、引き取るってなったら譲渡前適正講習会っていうのを受けなきゃいけないみたいですけど、大丈夫ですか。」
未鈴先生は話を聞きながら保健所のホームページを見ていた。
「今、ホームページで日程見てるけど、引越しの手続きの期間中に受けられそうだから大丈夫だよ。」
「それなら良かったです。」
「保健所からは私の方から言っておくね。」
「よろしくお願いします。」
無事にサンの新しい行き場所が出来てホッと胸を撫で下ろした。
その後、未鈴先生は保健所に電話して、譲渡前適正講習会に参加して、物件探してと忙しい日々を送っているものの、楽しそうに過ごしていた。
物件もすぐに見つかると、未鈴先生は私と直己、宏樹の3人を保健室に呼び出した。
「新川くん、杉矢くん、佐山くん。今度の日曜日空いてたりする?」
3人は少し考え込む。
「杉矢くんは?」
「ごめんなさい。その日はサッカーのスポ少の試合で。」
「佐山くんは?」
「その日は、検定試験で。入試の推薦に必要な情報処理検定で。」
「新川くんは?」
「僕は特に予定ないですが。」
「良かった。引越しの手伝いをして欲しくて。お願いしても良いかな。」
「はい。でも、それなら人手がいるんじゃ。」
「人手の方は大丈夫。家族総出で引越しするから。ただ、新居でサンを迎える準備があるから3人の誰かに一緒にいてもらいたかったの。」
「分かりました。大丈夫です。」
「じゃ、日曜日。8時30分にドームのロータリーのベンチで待ってて。そこに迎えに行くから。」
「分かりました。よろしくお願いします。」
日曜日、8時30分。約束通りにドームのロータリーベンチで待っていると一台の車がやって来た。助手席側の窓が開き、中から未鈴先生が声をかける。
「新川くん、お待たせ。」
「未鈴先生、おはようございます。」
「おはよう。乗って。」
助手席に私が乗ると未鈴先生は車を走らせ話を続けた。
「家族は9時にアパートに来ることになってるんだ。今までのアパートは四絡だったけど、新しい所は駅近なんだ。四絡にペット可が無くてね。校区外になっちゃうけど、ペット可だし、駅近なら遠出も気軽に行けるしね。」
「遠出なら車でも行けるんじゃ?」
「そうなんだけど。私、長距離の運転苦手だし、車より電車の方が良くてね。」
「電車好きなんですね。」
「うん。乗り鉄なのかな。電車に乗って車窓を楽しんだり、時刻表見て旅を妄想してみたりするのが好きだったりするんだよね。」
「電車、私未だ乗ったことないけど、そんなに良いんですね。」
「良いもんだよ。動いて見える車窓を眺めながら旅先を楽しむ材料になるもんだよ。大学とかで県外に出てみると電車に乗る機会も増えるだろうから分かるかもね。」
「なるほど。」
そんな話をしているとあっという間で未鈴先生のアパートに到着した。そこは、私の小学校からの友人と同じアパートだった。
「ここって、単身も大丈夫なんですね。家族向けかと思ってました。」
「なんで?」
「ここ、大場昌也のアパートで良く遊びに来てたので。」
「あぁ、大場くんのとこ、3階以上でしょ。ここ、1階2階は1LDK、2DKで単身やカップル向けなんだ。」
「そうなんですね。」
未鈴先生の案内で未鈴先生の部屋に到着すると未鈴先生の家族が部屋の中で待っていた。
「ただいま。」
「未鈴、おかえり。その子は?」
「さんさんクラブの生徒さんの新川浩之くん。サンの事もあって手伝ってもらうことにしたんだ。」
「そうか。新川くん、今日はよろしくね。未鈴の父の博です。」
「新川浩之です。よろしくお願いします。」
リビングまで進むと家族が待っていた。私は改めて挨拶をした。
「三中3年の新川浩之です。今日はお手伝いに来ました。よろしくお願いします。」
「未鈴の母の洋子です。」
「未鈴の兄の洋介です。」
「未鈴の弟の貴博です。」
「よろしくお願いします。」
紹介が終わると未鈴先生が号令をかけた。
「さっ。人数も揃ったことだし荷造り始めよう。」
部屋を見渡すと小物や衣類、食器などは既にダンボールに入れて纏めてあって、リビングの隅に置かれていた。
「大きい家具や家電は備え付けだからそのままで大丈夫。カーテン、時計、サイドテーブル、ジョイントマットを纏めて最後改めて掃除をしたいからお願いします。」
「はい。」
未鈴先生の指示のもと、引越しの準備は滞りなく進んでいく。
10時。引越し業者の人たちが到着し、荷物の搬入を開始する。荷物は少なく、大型のものも少なかったので、あっという間に搬入が終わると未鈴先生は言う。
「お父さん達で先に新居に行ってて。私と新川くんで管理業者の人来るの待って退去の立ち会いしてから行くから。お父さん、これ。新居の鍵ね。」
「了解。」
未鈴先生の家族と引越し業者の人たちが先に出発して私と未鈴先生が残った。
10時30分。引越し業者の人たちが出かけるのと入れ違いのタイミングで管理業者の人がやって来た。
「管理業者の増本と言います。退去の手続きという事で伺いました。猪飼未鈴さんで間違いないですか。」
「はい。」
「では早速、中を見させていただきますね。」
「よろしくお願いします。」
増本さんは、そう言うと部屋を見渡して回った。
「この部屋は、家具家電付きで良かったですね。」
「はい。」
未鈴先生の部屋は元々、綺麗に使われていたのがよく分かる。
「契約時は、敷金礼金ありでしたよね。」
「はい。」
増本さんは無駄なく計算して書類を作成していく。
「今回、多少の傷はありますが、綺麗に使っていただいていたので経年劣化の範疇かなと思いますので、敷金礼金の範囲内で修復出来るかと思います。」
「ありがとうございます。」
「では、こちらにサインして頂いて良いですか。」
「はい。」
「ありがとうございました。部屋の鍵、預かりますね。」
未鈴先生は、部屋の鍵を渡すと「お世話になりました」と言って増本さんに一礼した。
「じゃ、新川くん。私たちも行こうか。」
「はい。」
未鈴先生の車に乗りこみ走り出す。
「未鈴先生、新居はどちらなんですか。」
「駅北かな。休日診療所のそばって感じかな。」
「そんなとこにアパートありましたっけ?」
「新築だよ。家族向けらしいから長く住めるかなって。」
「家賃とかは?」
「私の部屋は2DKで55000円位かな。他だと2LDKで60000円、3DKで65000円、4DKで70000円らしいよ。」
「未鈴先生、その2DKとか2LDKとかった何ですか?」
「Dはダイニング、食事する場所。Kはキッチン。Lはリビング、寛ぐ場所。数字は部屋の数なんだよ。」
「じゃあ、未鈴先生の新しい所は2部屋とダイニングとキッチンがあるってことなんですね。」
「そういうこと。で、家賃は自分の給料の手取りの4分の1が目安だと安心できるんだよ。これ、覚えておくと便利だよ。家を出て一人暮らしする時に。」
「分かりました。」
そんな話をしていると、あっという間に未鈴先生の新居に到着した。
部屋に入ると、荷物のダンボールは部屋に運ばれていて、引越し業者の人たちは既に帰った後で、未鈴先生の家族が待っていた。
「お待たせ。」
「未鈴、お帰り。こっちも今、荷物を部屋に運んだ所だよ。」
「じゃあ、荷解きしちゃおうか。」
未鈴先生は、部屋を見渡して、レイアウトを考えながら指示をした。新居もダイニングキッチンまでは家具家電付いていたので荷解きも順調に進んでいった。ある程度、荷解きが終わると未鈴先生のお父さんが口を開いた。
「サンの場所はどうする?」
「そうね。ダイニングが良いかな。ソファの向かい側のこの場所が良いかな。」
「分かった。」
未鈴先生のお父さんは、そう言うと一度部屋から出て戻ってきたらゲージの組み立てセットを運んできた。
「お父さん、それどうしたの?」
「これは、私たちからの餞別だよ。捨てられて保護した犬を引き取る覚悟をしたんだろう。その決断に経緯を評してだな。」
「ありがとう。」
「しっかり愛情注ぐんだぞ。」
「うん。」
未鈴先生のお父さんは、黙々とゲージを組み立てていった。ゲージを組み立てるだけでなく、設置する場所にパズルマットを敷いて防音の対策も怠らなかった。
「よしっ。これで良いだろう。」
「ありがとう、お父さん。これでサンを迎えれるよ。」
「サンの迎えは何時なんだ?」
「えっとね、13時30分。保健所で引渡しだって。」
「未鈴先生、サンは学校にいるんじゃ?」
「あー、それね。新しい飼い主が私になってから、私の準備が整うまでの間で感染症や病気のチェックや栄養状態、予防接種の確認、情報の再登録をするからって保健所に一旦預かってもらってるのよ。」
「なるほど。」
未鈴先生は、時計を見る。11時30分だった。
「ねえ、ここの近くにせっかく蕎麦屋あるから皆で引越しそば食べようよ。」
「良いね」
「もちろん、新川くんも一緒だよね?」
未鈴先生は、私に向かって笑顔で言ってきた。笑顔で語る圧というものに圧倒され首を縦に振るしかなかった。
アパートから徒歩5分の所に蕎麦屋はあった。メニューは割子、釜揚げ、ざるの3つのみ。未鈴先生のお父さんが仕切る。
「釜揚げは未だ時期じゃないから、割子とざるで良いよね。」
何も言わずにうんと頷く未鈴先生の家族に私は何か不思議な感じがした。
未鈴先生の家族は食べてる時は皆話すことなく食べることに集中していた。誰かが先に食べ終わっても皆が食べ終わるのを待って、皆が食べ終わってから話し出す。
「新川くん。サンを助けてくれてありがとう。」
「いえいえ。」
「未鈴、今日からはお前がサンの飼い主だ。一人で抱え込まなくて良いからたっぷり愛情を注いでやれ。頼りたい時は私たちも助けになるから。」
「うん。ありがとう。」
「話はそれだけだ。じゃあ未鈴。新生活楽しめよ。」
未鈴先生がうんと頷くと未鈴のお父さんは「行くか」と声をあげると皆が立ち上がって外に出た。
12時30分。店を出ると未鈴先生は「送るよ。」と私を車に乗せてドームまで送ってくれた。
「新川くん、今日はありがとう。」
「いえ。お役に立てたなら良かったです。」
「私はこれからサンを迎えるために譲渡会に行ってくるね。水曜日の終業式には皆の顔を見せるためにサンも連れていくから。」
「分かりました。」
「じゃあ、また明日。学校でね。」
そう言って、未鈴先生は車を走らせて行った。
水曜日。終業式。
いつものように登校して、終業式に参加した。終業式後、来間校長が話を続けた。
「今日は、このままお別れの会を始めます。猪飼先生、登壇して下さい。」
そう言うと未鈴先生が壇上に上がった。
「保健室の猪飼先生は、年内でこの学校を離れて年明けからは保健所勤務に変わられます。明日から冬休みなので、皆と会うのは今日で最後になります。では、猪飼先生からお話を。」
「皆さんには急なことで驚かせてしまった人もいるかと思いますが、私、猪飼未鈴は年内をもってこの学校を離れることになりました。保健室を使ってくれた生徒さん、さんさんクラブの生徒の皆さんを始め、皆さんには大変お世話になりました。5年間のこの学校との思い出はこれからの私の糧になります。これから一緒に過ごすサンと共に新しい所でも頑張っていきます。今日はありがとうございました。」
未鈴先生は、そう言って一礼した。
私は突然の事で何が何だか分からなかったが後で話を聞くと、保健室の先生は3年~5年毎に異動があるらしい。そう聞いて私は腑に落ちた。
さんさんクラブは未鈴先生の後、ミシェル先生が顧問を引き継いだ。
あっという間に卒業式を迎えた。
何だか色々とあった3年間だった。自分は何を目指すんだろうと考えていたら、ディエゴに偶然ボランティアを勧められてさんさんクラブに参加して、気づいたら福祉を目指すスタートラインに立っていた。何がきっかけで何を目指すのかは、本当に縁だと思う。
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