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勇者資格試験編

第一話 勇者団体神上里基地へようこそ①

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フルノフス地方
の北東部 ナナアの街にて
グリエファミリーの幹部アネモネ・フランネを討伐し見事ナナアの街を救ったとされ表彰された一人の勇者がいた。

その名も勇者ヒツギ。
勇者団体所属の超エリート勇者。
しかし階級は上から四番目。
上には上がいるというものだ。どんな職業であれ
外と内からでは見える景色が異なる。
それが例え聡明に見えているようでも外と内は
明らかに差があるのだ。

素人にはわからない玄人にしかわかり得ない差があるのだ。
正直、そんな差はどうでも良いという意見の方が多いだろう。
素人からして卓越しているように見えればもうそれは素人からすれば玄人なのだから。
しかしその差をどうでも良いと言ってしまったら
そこまでなのだ。

プロとアマチュアの選手の違いだけで世の中が成立してしまうのならば、世界で金メダルを取る必要なんて無くなってしまう。
一位や二位なんてものを作らなくてもよくなってしまう。

外と内からの差は驚く程拓けていて
天と地ほどの差があるのだ。
仮に、
側から見ればすごく仕事が出来ても現実はそう甘くない。それにそう簡単ではない。
どんなに一人前に見えたとしてもそれは素人からすればそう見えるのであって同業者からすれば
差というものは一瞬で見破られてしまうだろう。

そんな勇者ヒツギの本名は

ミナシラズ ヒツギ
その名前を知るものは少ない。
その苗字を知るものは少ない。
勇者ヒツギという肩書きのみが世の中に流布されている以上 、彼が立派な虫殺しの掃除屋だった頃のことなどとっくの昔忘れ去られている。
これは、そんなヒツギのこれからのお話。
もっと言えばそんなヒツギと新米勇者のおはなし。


『新人を連れてご帰還とは随分とまた余裕ですねヒツギさん』
冷たい声で新米を連れてきたヒツギを叱るのは
赤い髪を肩まで靡かせた女だ。
華奢な体つきだが出るとこは出ており
大分女性らしい体つきだが
彼女が好んで来ているボディラインがよくわかる黒スーツの下にあるのは男も顔負けの筋肉ボディだ。パーフェクトボディだ。
恐らく彼女は何か質問を投げかけられると
自分の『おいおい聞かれているよ。どうなんだい?』と自らの上腕二頭筋に問いかける事だろう。

ヒツギは力に自信のある方だが彼女に腕相撲で勝ったことは一度もない。
それほどまでに彼女は屈強なのだ。
赤い髪の身長百二十センチの今年で百二十歳の勇者、金山ナカニクは屈強なのだ。

『なあ、そんな怖い顔しないでくれよ。ナカニク。いろいろあったんだ。それに大きな収穫もあった。
何よりこの新人はかなり腕の立つ剣豪なんだよ
ナカニク。』

ナカニクは顰めっ面で
横にぶっ刺さっている大剣を引き抜いた。
二メートルはあろうその体験には人間の口がいくつもついており いつも通りつぶやいている。
『ハラスイタア、、ハラスイタアァァ』
この大剣は斬った獲物を食べる。
常に空腹の猛獣。
そしてナカニクの右腕でもあり優秀な対魔の剣。
そして剣なのに感情がある
ナカニクの持つこの剣はある有名な鍛冶屋が作ったシリーズもので、このシリーズは通称、人格シリーズと呼ばれている。
その名の通り、感情どころか人格が存在する剣なのだ。

切れ味と必殺技は剣として敵を斬る武器としては優秀だが人格全く優秀ではない。むしろ汚点でしかない。
品性のかけらもなく常にお腹が空いたと呟いては
気に入らない相手に唾を吐きかける。
そのためナカニクはこの剣を『たん絡み』と
呼んでいる。
明らかに悪口で明確にディスっている名称だが
たん絡み自体はその名前を気に入っているようで
名前を呼ぶと口の一つが歯を見せてニタリと笑う。

『で?名前なんだ新入り勇者。
いやまだ勇者志望者というところか。』
ヒツギは苦笑いをしながら新入りの勇者志望の肩を叩いた
『ほら自己紹介だ』
肩を叩かれた新入り勇者志望は
身長が百五十センチほどで黒い髪には天使の輪っかのような光沢が出来ておりその顔はいかにも幼い。
少年はぺこりお辞儀をすると自己紹介をした。

『えーと、僕の名前はラゴウです。
勇者目指して頑張ります。よろしくお願いします』
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