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グリエファミリー急襲編

No.23 最終話

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残骸だらけのグラニーテファミリーアジトは
鉄骨と柱が中庭を囲むように点在しており、
墓標のようにさえ見える。
グリエファミリーに所属していた者たちも
グラニーテファミリーの者たちも瓦礫の下で仲良く遺体となっていた。
死人に口なしなんて言葉があるが
遺体になって抱き合わせになっていると思うと
案外死んで黙っていた方が世のため人のためにになるのでは無いかとすら思ってしまう。
グリエファミリーの中で生存しているものはそういない。
グラニーテを脱退した老中達はオトンシアの暴走によって多くが殉職した
それがきっかけでグリエファミリーが裏切ったと判断した老中達は次々にグリエを裏切り殺害していった。
グラニーテアジトに襲撃しに来たうちの五割は
仲間同士の裏切りによって幕を閉じたのだ。


虚無回帰によって消えたオトンシアニーズヘッグだがもしかするとどこかの世界線へ飛ばされてているかもしれないしミリ単位で細胞が残っていればまたどこかの地域で赤子に生まれ変わっているかもしれない。
遺体も何も残ってない今となってはその話すら妄想に近い
そのため
オトンシアニーズへッグが果たして転生するのかは、今後とも不明である。

鳩羽と座縁はなんとか瓦礫の中から脱出したが
今回の惨劇を受けたのと自分達の不甲斐なさを実感し、ファミリーを脱退。
BL大好き三姉妹と共に隠居するそうだ。


勇者ヒツギは楽號とオロルの無事を確認し、
偽造パスポートを作ったようだ。
二人が国外へ逃亡する手助けというやつなのだろう。

オロルの髪は不思議と茶髪から
小麦色に移り変わったようで、その姿を見た楽號はどこか寂しげな顔をしていたようだ。

グリエファミリーの数少ない生き残りの幹部連中は勇者団体に捕獲され、
牢獄へ送られたが、グリエファミリーのボスであるグリエ・ベルコリアスふくめ幹部三名の行方はわかっていない。
グラニーテファミリーの生存者は魔法協会へ運ばれ、無事が確認されたのはほんの数名のようだ。

楽號はオロルの手を取り国を出た。
未だに単なるファミリーの抗争として、片付けられない点があるようで楽號とオロルは指名手配をされる身となっていた。

恐らく楽號ならばどんな苦難も切り抜けられるだろう。
しかし彼は天命に反した行動をとっている。
恐らく次は転生できないだろう。
オロルは魔力失ったため、翼も無くし魔弾すら打てない。
丸腰の二人の行方は誰も知らない


これで一件落着。
終わり良ければすべて良し
ハッピーエンド…としたいところだがひとつ謎が残る。
のちに勇者ヒツギは楽號とオロルの姿を見たと、証言する
しかしその証言は妙なのだ


『オロルは赤子を抱いていた
それも片目が青い赤子を。』



どこかの砂嵐。
黒い影がゆっくりと動く。
大きなマントを羽織り
超高速で回転しながら動き回る
砂から身を守り
一歩ずつ進んでいくその影達は
着実に
カボニーチャツケ民主主義共和国へと向かっていた。

『ちょっと早く歩いてよ粉ミルクの残量すくないんだから』
女が前にいる影に話しかけた
前の影が口を開く
『んなもん知るか俺も喉が…あばばば、
砂うめえ』

砂を食べる男のケツを後ろから蹴る女
その女の胸元にはこの砂漠地帯の中では目立ち過ぎる眩く青い光が灯っていた…




終。


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