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グリエファミリー急襲編
No.18 虚無回帰
しおりを挟む『敵に背中見せるなんて優しいのね貴方』
『あっ…』
シエルの双剣がオロルの背中を捕らえた。
が、翼がその切っ先を止める。
『え?』
シエルの手が止まる
『んー、まあ、後悔はするけど、もう迷いは無くなった。マジで最低でいてくれてありがとねお姉ちゃん』
オロルは自らの肩にショットガン乗せた。
銃口は、シエルに向いている。
『さようなら、バーーーーン』
緋色の目がより一層の輝きを放ち
オロルの口角があがる。
微笑む彼女は戦闘を楽しむ狂人のようだった。
その弾丸はシエルの頭部に直撃した。
その威力は収まることを知らず向かい壁にシエルの体を衝突させ食い込ませるほどだった。
『あーあ、最悪、パジャマ汚れたし、』
オロルはパジャマ翼をしまいながら
パジャマ脱ぎ始めた。
露わになったのは下着でもなければ裸体でもない。 白シャツにサスペンダーショートパンツだ。
足の裏に刺さったガラス片を平気そうに抜き、ブーツを履くと楽號とオトンシアが消えた先へと進んだ。
『待っててね楽號』
*****
『あははははははははははははは』
けたたましい笑い声がグラニーテファミリーアジトである屋敷の中庭に響き渡る。
その声の主は間違いなくオトンシアなのだが、彼女の声からは美しさは一欠片も感じられない。
腹部を幾度となく殴打されたことにより臓器が破裂しそれによって吐血。
うまく呼吸ができないほどオトンシアはダメージを負っていた。
『簡単には殺されねえよ。オトンシア。
俺は罪人だ。おまえと手を組んでしまった罪をおまえを殺して償う』
楽號は決して刀で斬らなかった。
『虚無回帰』を使えば一瞬でケリはつくが
それでは収まりがつかない。
『だから、転生者になんかなったのね、
くだらないわ。あなたもあたしもあのよくわからない神的存在に弄ばれてる。
貴方はその運命を背負うの?今更?
あの時だって何もできなかったくせに。
笑わせんじゃねえぞ。悲劇ぶんじゃねええええええ。クソがッッッ。救えなかった?
幼馴染が友人に犯されていく姿を見ながら何もできなかっただあ?てめえが何もしなかっただけだろぉぉおおおが。後悔して周りから助けて貰う気満々じゃねえええか。いいご身分だなぁぁぁぁぁぁ羨ましいねええええ、憎いねええええし…死ね。死ね…好きだったのに。ひどいよ』
オトンシアの目からは涙が流れていた。
しかしながら彼女は笑っている。
腰から二つの鎌を取り出し、楽號に飛びかかった。
『ごめん。俺が弱かった』
楽號の目には憎しみなんて文字はなく、
謝っても償いきれないどうしようもない感情だけ残っていた。
『せめてもの手向けだ』
一線だ。
純粋な白銀は血に染まることなく
時空そのものを両断する。
この世に蔓延る魔力さえも跡形もなく虚無へと帰すその斬撃は絶え間なく美しいものだった。
後悔も執着も疑念も愛情も全てが生まれてしまう前の白紙へと、原点回帰する。
もはやそれは残酷すら
通り越して慈悲に近いものだ。
『ーーーーーーーーーー虚無回帰。』
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