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勇者から村長にジョブチェンジ
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30年前カルバーラを支配すべく、友好関係にあった魔王とその眷族が人間に反旗を翻した。
力も魔力も魔族より弱い人間は、急激に人口を減らしていく。
だが人間側も対抗すべく、各国の最強の賢者、魔導師、剣士を集め結託するも結果は思わしくなかった。カルバーラでは魔王に対向できる者が存在しなかったのだ。
その為、最後の頼みの綱、古に伝わる勇者を異世界から召喚すべく、各国で召喚の儀を行うも、その声に応える者はおらず、勇者不在のまま人間は窮地を向かえる事となる。
そんな中、突如、上級魔族を意図も簡単に倒す救世主、村人Cが現れた。
勇猛果敢な村人Cは瞬く間に魔王と、眷族を討伐すると自ら放った光に消えていったそうな…
これが、1年前カルバーラに生まれたばかりの、村人Cによる英雄伝説だ。
色々とツッコミ所はあるが…
「んで、人間が魔族に打ち勝った1周年記念の祝の席に、遅れてやって来たのが勇者事俺、と言うわけで合ってるっスか?」
先程の大広間とは別の部屋へと通された俺は、数十人で晩餐会が開けそうなくらい、長いテーブルの端と端で国王と宰相、その他モロモロと向き合っていた。向き合った国王達は、たどたどしく要約を話すも、完全に顔には怯えの色がにじみ出ている。
そんなに、怯えなくてもよくね?
むしろ俺被害者だし‼ ……まぁ…アレはやり過ぎたと思う…けどさ…
と、大広間での出来事を思い出す。
突如現れた俺に、要りません宣言をかますリヨタン(仮)皇女に、俺は落胆する事なく歓喜の声を上げながら、皇女の前までスライディング土下座をかましてやった。
「ツンデレごちそうさまーーー‼‼」
何を隠そう、俺は大のツンデレ好きだ‼‼ 昨今のアニメや漫画ではお馴染みだが、俺はツンデレの年季が違う! デレない、ツンだけのキャラでも丼飯が何杯も食えるのだ‼
遅れてきた勇者…俺に素直になれない皇女‼‼
皇女は外見だけでなく、中身までリヨタンに酷似していた。
揚げ句、土下座した俺に「キモい」のお言葉も頂きましたーー‼
あっ…けしてMではないよ? リヨタン限定なだけで…。
そんな、幸せ絶頂の俺に不振者かよ?と 言わんばかりに衛兵が取り押さえてきたから、ちょっと、ちょっとイラッ‼ ときただけなんだ。だが、そのイラがいけなかった。神様に貰ったばかりのチート能力を制御できていなかった俺の感情に応えるように、魔力の先端が俺の意思と関係なく漏れ出した。
普通だったら魔力の暴走っといっても大した事ないんだろうけど、俺はチートだったのだ。しかも全能の神様レイドールの1部を貰ったもんだから、その魔力の暴走たるや、お察しの通り、一瞬にして大広間が半壊した。
流石に俺も驚いたよ…。
幸い会場にいた人には傷1つなかったけど、楽しいお祭りムードをぶち壊し、巨大すぎる力は、1年前に葬られた魔王の恐怖を人々に思い起こさせてしまった。
リヨタン(仮)皇女も小動物みたいに震えてたしね…。
ごめんね…リヨタン(仮)…怯えた表情は可愛いけど、欲情はしません‼(キリッ)
むしろ反抗的な表情の方が勃っ…ゲフンゲフン…
我に返り、慌てて会場を魔法で修復し、元通りにしたけど、皆のテンションは急降下……
また、やってしまった…
こういう事があるのは初めてじゃない。
日本でもそうだった。いつも俺は少しの失敗で全てを失う…
いくら、チート能力があっても、俺は変わらず必要とされない人間だったのだ。
記念式は中断、恐怖で震える国民を後にし、とりあえず経緯を説明するという国王へとついていった。
だが、俺がいつまた牙を向くかもしれないので、国王と宰相を囲むように、大勢の護衛騎士と魔導師が結界を張ったり、俺に殺気を飛ばしたりしている。
残念なのは、結界が薄すぎて破るのが容易そうな点と、目があっただけで護衛騎士が、1人また1人と耐えきれず倒れていく事かな。
なんか、俺の方が悪役みたい…
「俺…帰ったほうが…いいっ…ス…よね…」
意気消沈した俺の提案に、次々倒れる護衛騎士に顔をひきつらせていた国王が嬉しそうに頷く。
なにも、そんなに嬉しそうにすることないじゃん…。
レイドールのせいで、ちょっと来る時間がおかしかっただけだもん。
…帰れっていったって…俺には…帰る…場所は…もう…
自分で言い訳しながら、自分の言葉で、どんどん気分は沈んでいく。
心なしか国王達が震えていた。
「寒いわよ‼‼ このポンコツ勇者‼」
成り行きを見守っていたリヨタン(仮)皇女が痺れを切らせて怒鳴ってきた。
その顔には、他の人達のような怯えはない。
さすが、俺の嫁リヨタン(仮)‼‼
下げずむ瞳すら美しい‼
「ちょっと、聞いてるの?! 寒いっていってんのよ‼」
キラキラとした瞳を向ける俺に一喝する。
辺りを見回すと雪が積もっていた。
あっ…もしかして俺のテンションに合わせて、リアルブリザードが室内に吹き荒れてましたか…今はリヨタンの言葉…ご褒美で、春の日射しが室内に降り注いでいるけど。
気温差からもわかる通り、俺も単純だとは思うけど、リヨタン(仮)皇女の一言で俺の闇が一掃され光が灯る。
「まったく‼ 迷惑な勇者ね…それで、さっきも言ったけど、もうこの世界に勇者は必要ないんだから、帰ってくれる?」
そんな俺の心を知らずに、リヨタン(仮)皇女が、またも帰ってくれ宣言をするが。
…なぜだろう…? 今の俺の禁句ワード1位を他の人間に言われると…心が闇へと染まっていき、負の感情と共に力が放出されるような感じがするのだが、リヨタン(仮)皇女に言われると…ツンデレアザース‼ と、ちょっとだけ変態の気持ちがわかるような…まぁ、俺リヨタン限定ドMで変態ですけど。
嫁への愛尊し‼‼
「でも…俺、帰るところないんスけど…」
だから、こんな情けない台詞もリヨタン(仮)皇女になら素直に言える。
「はぁ~…わかったわ‼ 確かに貴方を以前何度か召還した(失敗してたと思った)のはこちらよ。落ち度はこちらにあるわね。だから特別、帰る所がないなら、居場所をあげるわ!」
「リヨン…もしかして、城に滞在を…」
「マジッスか?!リヨタン(仮)皇女の側に入れっ…」
「違う‼‼ 私の名は確かにリヨン・アルフォンス・ド・レントですが、貴方にリヨタン呼ばわりされる筋合いはないわ。100歩譲ってリヨン様と呼ぶなら、名を呼ぶことを許可します!」
「リヨタンの方がかわっ…」
ギロリと皇女が凄む。
「あっ…いや…リヨタ…リヨン…様」
「フンッ!本来ならあんたみたいな男が名を呼ぶことすら許されないのよ!ありがたく思いなさい‼ …ありがたついでに、ポンコツ勇者に役目もあげるわ。」
どこまでも、尊大な態度にゾクゾクしちゃってる俺は、とことん駄目な野郎なのだろう。…まぁ、治す気ないけどね‼
リヨン皇女が意地の悪い笑みを浮かべる。
「あなたには勇者ではなく村長になってもらうわ。」
「はぁ…?…村長…?」
「えぇ、北の大地ルーデンアウトを貴方にあげる!」
「リヨン…しかし、ルーデンアウトは…」
「お父様は黙ってて‼‼」
どうやら、北の大地ルーデンアウトは何かあるらしく、国王が娘である皇女を止めようとするも、聞く耳もたない様子の皇女。
うっあ~たまんね~!偶然だが俺の嫁リヨタンと皇女が同名だし…国王より皇女の方が強いとかもう、リヨタン最高…‼
俺が高レベルのリヨタン似にうちひしがれていると、皇女が問いかけてきた
「どう? この世界に居場所を作ってあげたわよ?! これで何の問題もないでしょ‼ 」
「いやぁ~…問題無いって言うか 、さすがにリヨタ…リヨン様の申し付けでもスね~…」
「行くの? 行かないの?」
「いや~…」
いくら、皇女の頼みでも、冷静に考えると一介の学生風情に、村長の荷は重すぎる…。
何をすればいいかもわかんないし、勇者の肩書きをそうそう手離せるわけも…
「引き受けてくれたら、リヨタン呼びを許可してやってもいいわよ。」
「なっ…‼‼‼」
「さらに、ルーデンアウトが王都に轟くらい素晴らしい村になったら…一緒に…お茶…くらい…してあげ…なくも…ないわよ?」
「いいともぉーーー‼‼‼」
皇女の提案に、意図も簡単にのる俺に国王と宰相が小さく…
「「チョロ…」」
とか言ったのは聞こえなかった事にしてやろう。
だって、しかたないだろう?
リアルリヨタン(似)とのお茶会だよ?!男なら…いやオタクなら行くでしょ‼
なんやかんやで、俺は勇者の称号を30分で手離した…。
平気だよ! チート能力はそのままだし…。
……後悔とか全然ないし‼
だが、俺はこれを数行で後悔する事となる。
城のメイドさんに、ルーデンアウトまでの地図を貰い、早速そこまで転移しようと試みる。
さっき、城を修復した時もそうだが、魔法はイメージ! イメージが大切なわけだよ。
その点はオタクでラッキーだった。妄想はお友達だからね!
地図で見た場所に行くようイメージ、イメージ…イメージ…イメー………地図渡してくれた生メイド可愛いかったな~…。
今までは断然ミニスカメイド派だったけど、クラシカルメイドもいけっ……
なぜかルーデンアウト村に向かうのに、旅費や馬車をねだらず、地図をねだった悠人。地図を拡げ目を閉じ、ブツブツと何か呟やくと、空間が歪み一瞬で姿が消えた。
「うわぁ‼‼ 消えたぞ…」
「国王様、魔法…恐らく転移を使われたのでしょう…」
「あの古代秘術をか?! …あの者、言動はおかしいが、やはり伝承に伝わる勇者なのか…?」
国王と宰相が伝説にのみ残る、移転を使用したであろう勇者に、半信半疑でいると、レント王国でも高い魔力を宿す皇女が
「それを判断するのはまだ早いですわ‼ …たしかに、この世の者ではない波動を感じましたが、伝承通りの勇者とは限りせん。勇者があのような変態なわけありませんもの!あのような者には、ルーデンアウトで死ぬのがちょうどいいですわ‼」
冷酷な声でいい放つと、国王は満足げに
「皇女でありながら、大魔術師のリヨンは、さすがに手厳しいな‼ アハハハ」
「ホホホッ、リヨン様が居ればレント王国は安泰ですな!」
愉快だと笑う宰相と国王。
そんな2人に目をくれながら、消えた人物がいた場所を見つめ、声にならない声で祈るように呟いた。
「どうか彼をお救い下さい…勇者…神木悠人様…」
力も魔力も魔族より弱い人間は、急激に人口を減らしていく。
だが人間側も対抗すべく、各国の最強の賢者、魔導師、剣士を集め結託するも結果は思わしくなかった。カルバーラでは魔王に対向できる者が存在しなかったのだ。
その為、最後の頼みの綱、古に伝わる勇者を異世界から召喚すべく、各国で召喚の儀を行うも、その声に応える者はおらず、勇者不在のまま人間は窮地を向かえる事となる。
そんな中、突如、上級魔族を意図も簡単に倒す救世主、村人Cが現れた。
勇猛果敢な村人Cは瞬く間に魔王と、眷族を討伐すると自ら放った光に消えていったそうな…
これが、1年前カルバーラに生まれたばかりの、村人Cによる英雄伝説だ。
色々とツッコミ所はあるが…
「んで、人間が魔族に打ち勝った1周年記念の祝の席に、遅れてやって来たのが勇者事俺、と言うわけで合ってるっスか?」
先程の大広間とは別の部屋へと通された俺は、数十人で晩餐会が開けそうなくらい、長いテーブルの端と端で国王と宰相、その他モロモロと向き合っていた。向き合った国王達は、たどたどしく要約を話すも、完全に顔には怯えの色がにじみ出ている。
そんなに、怯えなくてもよくね?
むしろ俺被害者だし‼ ……まぁ…アレはやり過ぎたと思う…けどさ…
と、大広間での出来事を思い出す。
突如現れた俺に、要りません宣言をかますリヨタン(仮)皇女に、俺は落胆する事なく歓喜の声を上げながら、皇女の前までスライディング土下座をかましてやった。
「ツンデレごちそうさまーーー‼‼」
何を隠そう、俺は大のツンデレ好きだ‼‼ 昨今のアニメや漫画ではお馴染みだが、俺はツンデレの年季が違う! デレない、ツンだけのキャラでも丼飯が何杯も食えるのだ‼
遅れてきた勇者…俺に素直になれない皇女‼‼
皇女は外見だけでなく、中身までリヨタンに酷似していた。
揚げ句、土下座した俺に「キモい」のお言葉も頂きましたーー‼
あっ…けしてMではないよ? リヨタン限定なだけで…。
そんな、幸せ絶頂の俺に不振者かよ?と 言わんばかりに衛兵が取り押さえてきたから、ちょっと、ちょっとイラッ‼ ときただけなんだ。だが、そのイラがいけなかった。神様に貰ったばかりのチート能力を制御できていなかった俺の感情に応えるように、魔力の先端が俺の意思と関係なく漏れ出した。
普通だったら魔力の暴走っといっても大した事ないんだろうけど、俺はチートだったのだ。しかも全能の神様レイドールの1部を貰ったもんだから、その魔力の暴走たるや、お察しの通り、一瞬にして大広間が半壊した。
流石に俺も驚いたよ…。
幸い会場にいた人には傷1つなかったけど、楽しいお祭りムードをぶち壊し、巨大すぎる力は、1年前に葬られた魔王の恐怖を人々に思い起こさせてしまった。
リヨタン(仮)皇女も小動物みたいに震えてたしね…。
ごめんね…リヨタン(仮)…怯えた表情は可愛いけど、欲情はしません‼(キリッ)
むしろ反抗的な表情の方が勃っ…ゲフンゲフン…
我に返り、慌てて会場を魔法で修復し、元通りにしたけど、皆のテンションは急降下……
また、やってしまった…
こういう事があるのは初めてじゃない。
日本でもそうだった。いつも俺は少しの失敗で全てを失う…
いくら、チート能力があっても、俺は変わらず必要とされない人間だったのだ。
記念式は中断、恐怖で震える国民を後にし、とりあえず経緯を説明するという国王へとついていった。
だが、俺がいつまた牙を向くかもしれないので、国王と宰相を囲むように、大勢の護衛騎士と魔導師が結界を張ったり、俺に殺気を飛ばしたりしている。
残念なのは、結界が薄すぎて破るのが容易そうな点と、目があっただけで護衛騎士が、1人また1人と耐えきれず倒れていく事かな。
なんか、俺の方が悪役みたい…
「俺…帰ったほうが…いいっ…ス…よね…」
意気消沈した俺の提案に、次々倒れる護衛騎士に顔をひきつらせていた国王が嬉しそうに頷く。
なにも、そんなに嬉しそうにすることないじゃん…。
レイドールのせいで、ちょっと来る時間がおかしかっただけだもん。
…帰れっていったって…俺には…帰る…場所は…もう…
自分で言い訳しながら、自分の言葉で、どんどん気分は沈んでいく。
心なしか国王達が震えていた。
「寒いわよ‼‼ このポンコツ勇者‼」
成り行きを見守っていたリヨタン(仮)皇女が痺れを切らせて怒鳴ってきた。
その顔には、他の人達のような怯えはない。
さすが、俺の嫁リヨタン(仮)‼‼
下げずむ瞳すら美しい‼
「ちょっと、聞いてるの?! 寒いっていってんのよ‼」
キラキラとした瞳を向ける俺に一喝する。
辺りを見回すと雪が積もっていた。
あっ…もしかして俺のテンションに合わせて、リアルブリザードが室内に吹き荒れてましたか…今はリヨタンの言葉…ご褒美で、春の日射しが室内に降り注いでいるけど。
気温差からもわかる通り、俺も単純だとは思うけど、リヨタン(仮)皇女の一言で俺の闇が一掃され光が灯る。
「まったく‼ 迷惑な勇者ね…それで、さっきも言ったけど、もうこの世界に勇者は必要ないんだから、帰ってくれる?」
そんな俺の心を知らずに、リヨタン(仮)皇女が、またも帰ってくれ宣言をするが。
…なぜだろう…? 今の俺の禁句ワード1位を他の人間に言われると…心が闇へと染まっていき、負の感情と共に力が放出されるような感じがするのだが、リヨタン(仮)皇女に言われると…ツンデレアザース‼ と、ちょっとだけ変態の気持ちがわかるような…まぁ、俺リヨタン限定ドMで変態ですけど。
嫁への愛尊し‼‼
「でも…俺、帰るところないんスけど…」
だから、こんな情けない台詞もリヨタン(仮)皇女になら素直に言える。
「はぁ~…わかったわ‼ 確かに貴方を以前何度か召還した(失敗してたと思った)のはこちらよ。落ち度はこちらにあるわね。だから特別、帰る所がないなら、居場所をあげるわ!」
「リヨン…もしかして、城に滞在を…」
「マジッスか?!リヨタン(仮)皇女の側に入れっ…」
「違う‼‼ 私の名は確かにリヨン・アルフォンス・ド・レントですが、貴方にリヨタン呼ばわりされる筋合いはないわ。100歩譲ってリヨン様と呼ぶなら、名を呼ぶことを許可します!」
「リヨタンの方がかわっ…」
ギロリと皇女が凄む。
「あっ…いや…リヨタ…リヨン…様」
「フンッ!本来ならあんたみたいな男が名を呼ぶことすら許されないのよ!ありがたく思いなさい‼ …ありがたついでに、ポンコツ勇者に役目もあげるわ。」
どこまでも、尊大な態度にゾクゾクしちゃってる俺は、とことん駄目な野郎なのだろう。…まぁ、治す気ないけどね‼
リヨン皇女が意地の悪い笑みを浮かべる。
「あなたには勇者ではなく村長になってもらうわ。」
「はぁ…?…村長…?」
「えぇ、北の大地ルーデンアウトを貴方にあげる!」
「リヨン…しかし、ルーデンアウトは…」
「お父様は黙ってて‼‼」
どうやら、北の大地ルーデンアウトは何かあるらしく、国王が娘である皇女を止めようとするも、聞く耳もたない様子の皇女。
うっあ~たまんね~!偶然だが俺の嫁リヨタンと皇女が同名だし…国王より皇女の方が強いとかもう、リヨタン最高…‼
俺が高レベルのリヨタン似にうちひしがれていると、皇女が問いかけてきた
「どう? この世界に居場所を作ってあげたわよ?! これで何の問題もないでしょ‼ 」
「いやぁ~…問題無いって言うか 、さすがにリヨタ…リヨン様の申し付けでもスね~…」
「行くの? 行かないの?」
「いや~…」
いくら、皇女の頼みでも、冷静に考えると一介の学生風情に、村長の荷は重すぎる…。
何をすればいいかもわかんないし、勇者の肩書きをそうそう手離せるわけも…
「引き受けてくれたら、リヨタン呼びを許可してやってもいいわよ。」
「なっ…‼‼‼」
「さらに、ルーデンアウトが王都に轟くらい素晴らしい村になったら…一緒に…お茶…くらい…してあげ…なくも…ないわよ?」
「いいともぉーーー‼‼‼」
皇女の提案に、意図も簡単にのる俺に国王と宰相が小さく…
「「チョロ…」」
とか言ったのは聞こえなかった事にしてやろう。
だって、しかたないだろう?
リアルリヨタン(似)とのお茶会だよ?!男なら…いやオタクなら行くでしょ‼
なんやかんやで、俺は勇者の称号を30分で手離した…。
平気だよ! チート能力はそのままだし…。
……後悔とか全然ないし‼
だが、俺はこれを数行で後悔する事となる。
城のメイドさんに、ルーデンアウトまでの地図を貰い、早速そこまで転移しようと試みる。
さっき、城を修復した時もそうだが、魔法はイメージ! イメージが大切なわけだよ。
その点はオタクでラッキーだった。妄想はお友達だからね!
地図で見た場所に行くようイメージ、イメージ…イメージ…イメー………地図渡してくれた生メイド可愛いかったな~…。
今までは断然ミニスカメイド派だったけど、クラシカルメイドもいけっ……
なぜかルーデンアウト村に向かうのに、旅費や馬車をねだらず、地図をねだった悠人。地図を拡げ目を閉じ、ブツブツと何か呟やくと、空間が歪み一瞬で姿が消えた。
「うわぁ‼‼ 消えたぞ…」
「国王様、魔法…恐らく転移を使われたのでしょう…」
「あの古代秘術をか?! …あの者、言動はおかしいが、やはり伝承に伝わる勇者なのか…?」
国王と宰相が伝説にのみ残る、移転を使用したであろう勇者に、半信半疑でいると、レント王国でも高い魔力を宿す皇女が
「それを判断するのはまだ早いですわ‼ …たしかに、この世の者ではない波動を感じましたが、伝承通りの勇者とは限りせん。勇者があのような変態なわけありませんもの!あのような者には、ルーデンアウトで死ぬのがちょうどいいですわ‼」
冷酷な声でいい放つと、国王は満足げに
「皇女でありながら、大魔術師のリヨンは、さすがに手厳しいな‼ アハハハ」
「ホホホッ、リヨン様が居ればレント王国は安泰ですな!」
愉快だと笑う宰相と国王。
そんな2人に目をくれながら、消えた人物がいた場所を見つめ、声にならない声で祈るように呟いた。
「どうか彼をお救い下さい…勇者…神木悠人様…」
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