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しおりを挟むあれから私は、離婚を切り出すタイミングを見計らっていた。
しかしここ数日、セスとゆっくり話す機会がない。
いつもなら執務終わりに時間を作れるはずだが、ここ最近そのあとに来客がやってきて、夜中まで話し込むためだ。
最初は、今度は来客という名目で堂々と不倫してるのかと思ったものの、あれ以降に例の女性を見かけることはなく、本当に来客がやって来てるようだった。
執務に関して込み入った事情があるのかもしれない。
「メアリ、パーティーの招待状が届いたんだけど…」
朝食にて、セスがそう言って渡してきた招待状。
「参加しますけど…セスは行かないんですか?」
「いや、その…夫婦で公の場に出るから、確認しときたくて…」
遠慮がちなセスの様子を見て私はこう思った。
私がこの結婚を心から望んでなかったことを知っていて、結婚式以外で公の場に夫婦として参加することを嫌がると思ったの、かしら?
「私、妻としての役目は果たすと言いましたよ?」
それとも、セスとしては私が不参加なほうが不倫相手を呼べて都合がいいのか?
「良かった、じゃあ決まりだね。」
いや…まさかね。
セスの安堵した表情に、彼は私のことを好きなのか?という変な妄想が浮かぶ。
仮にセスが私を好いていたとして、不倫相手も好きなんて状態を私は許容できないから。
私はその妄想を頭のすみに追いやった。
───────────────
「結婚おめでとうございます。」
「ありごとうございます。」
かれこれ2時間、こんな感じだ。
結婚の祝い対して感謝をのべる。
これを何度も繰り返せば、かなり疲れるだろう。
隣にいるセスを見ると、疲れを微塵も感じさせない爽やかな笑顔で挨拶している。
さすが王族、慣れている。
こちらも負けてられない。
私もすぐに顔を向きなおし、優雅な笑顔で挨拶を返した。
ふと挨拶をしてるなかで、ある女性が目にはいる。
…間違うはずない。
幾度も密会現場をおさえた女性、セスの不倫相手だわ。
セスは…あの女性に気づいてないらしい。
女性が会場を出ていく。
「ちょっと失礼しますわ。」
私は、しばらくしてからそう言ってその場を離れる。
セスは不思議そうにしているが、それに構わずに私は彼の不倫相手を追いかけ会場を出ていく。
…
いた。
不倫相手の女性が控え室へと向かう。
私も気づかれないようにしながら足を早める。
出てくるのを待った方がいい…?
それとも、このまま突撃してしまう?
でも、もし着替えていたら失礼よね。
控え室の入り口手前でそう悩み、結局彼女が出てくるまで待つことにした。
…
しばらくして控え室の扉が開く。
ん…?
出てきたのは何故かあの女性ではなく、男性だった。
私は扉をのぞく。
照明がついてなく見えにくいが、この男性が出てきたなら、この室内に人はいないということよね。
…あの女性は、どこに消えたの?
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