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怒り
しおりを挟む「では改めて。
お父様に説明させていただきます。」
私はここに婚約者とヒロインを呼んだ。
この2人に詰問しながら話を進めたほうが早いと思った。
「リリー嬢、貴女はどうして私の屋敷にいるんですか?」
私はヒロインに最初の質問をぶつける。
「え、えっと…」
「僕が呼んだんだ。」
動揺するヒロインを婚約者が庇うように答えた。
「そうですか、ではレオンに聞きます。
貴方は私にリリー孃が来ることは伝えましたか?」
「は?
伝えるわけない。」
でしょうね。
でも問題はそこよ。
「私はリリー孃が来ることを知りませんでした。
私が知らないのだから屋敷の門番も知らないはずですわ。」
「門番?」
お父様が疑問そうに聞く。
「それの何が悪いのだ。」
婚約者よ 今から言うことをよく聞きなさい。
ヒロインが私の母に何をしたのかを。
「何故か屋敷の塀には穴が開いておりました。」
「あっ…」
ヒロインが心当たりのありそうな声をあげる。
やっぱりね。
「近くには穴を空けたと思われる工具とピンク色のハンカチーフが落ちていました。」
私はそう言ってハンカチーフをレオンに見せる。
「これは…」
レオンが分かりやすくヒロインを見た。
「お母様は強盗に殺されました。
しかし疑問が残ります。
一体何故セキュリティ万全のこの屋敷に強盗が侵入できたのか、と。」
「まさか…」
お父様がそう呟く。
そのまさかですわ。
「どういうことだ?」
この婚約者はまだ分からないらしい。
「やっと分かりました。
強盗はリリー孃が開けた塀の穴から侵入したんだって。」
「…そうなのか?」
婚約者は動揺したようにヒロインに聞く。
「わ、私…私…よ、よく分かりません…!
全く…分からないのです。」
は…?
この子 何言ってるのかしら。
もう貴女のせいで強盗が侵入したのは明白だわ。
言い逃れるつもり?
「レオン、当然そこの令嬢は罰して頂けるのよね?」
私は聞く。
当然よね、と。
「む、無理だ。
か、彼女は違うと言っている。
ということは違うのだ。
だから彼女のせいではない…!」
は?
は?
は?
どう考えたってヒロインのせいよ。
「レオン殿、国王に言ってその令嬢を処罰して頂きたい。」
お父様がそう強く求めた。
しかし婚約者の答えは驚くものだった。
「それは無理です。
彼女は違うと言っています。
だから彼女のせいではないのです。」
私は怒りを覚えた。
自分だって分かっているくせに。
ヒロインが違うと言ったら違う、そうロボットのように反芻する婚約者。
なんて愚かなの。
いつもならまだスルーできた。
彼女はヒロインだものと理解できた。
だけど今回は違う。
ヒロインの身勝手のせいでお母様が死んだ。
絶対に見逃さない。
「国王に会いに行きましょう。
リリー孃、国王の前でその言い訳をしてもらえますか?」
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