糾弾された直後に幸せになるのは 構いませんよね?だって私もう用済み悪役令嬢ですから

無味無臭(不定期更新)

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危機

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私は困惑した。
そんな私に謎のイケメンは言った。

「一目惚れしたんだ。
僕と結婚してほしい。」

はい…?
一目惚れ?
それに結婚?

「信じてくれないだろうけど 本当なんだ。」

「お断りします。」

いくらイケメンだろうと身元の知れない怪しい人間にプロポーズされて承諾するわけない。

「どうして?」

…どうして?
心底疑問そうに聞き返す謎のイケメン。
あ、そうか。
今までイケメン過ぎて断られた経験がないのか。

「どうしてって…私 貴方のこと知らないですし。
一目惚れされる覚えもありません。」

私はハッキリと答える。
これで分かってくれるかしら。

「君にはなくても僕にはあるんだ。
それに君って噂通り芯のしっかりした女性なんだね。
ますます惚れてしまったよ。」

…言葉が通じない。
それに噂通りってなに?
この人 私が皆から嫌われてるって知ってて 近付いてきたの?

「私 婚約者がいるので。」

小説の終盤で婚約破棄されてしまいますけどね。
本当あの王子…恩知らずの塊だわ。

そういえば私 婚約破棄されたら追放されるのよね。
どこにいこうかしら。
両親とも別れなくてはいけない。
寂しいわね。

「君の婚約者だって他に女性がいるみたいだけど?」

そうね、ってもう知ってるの?
ヒロインは今日 転校してきたばっかよ?
この人 一体何者…

「従者に尾行してきてもらったんだ。
君の婚約者について調べるために。」

従者?
どこかの子息かしら。

「あ、そういえば身分を明かしてなかったね。
僕の名前はエリック。
ラザール王国の皇太子なんだ。」

は~?!
ちょっと待って ラザール皇国って隣国よね。
そこの皇太子が私に求婚?!
何かの間違いよ。
だって私は悪役令嬢だもの。

「僕は君を幸せにしたい。
少なくとも 今の婚約者よりは君のことを 幸せにできると思うよ?」

自信ありげに答える彼に私はどことなく惹かれた。
…おっと、いけない。

私は今 悪役令嬢なんだから。

「私には婚約者がいますので…」

そう言った私は彼を振り切るようにして図書館を去った。

あ…本借りられなかった。







翌日の朝

「レジーナ!
一体これはどういうこと?」

お母様の声に叩き起こされる。
引っ張られるようにして玄関に出るとそこには大量に積み上がった荷物。
な、なにこれ??

「ラザール皇国の皇太子様からだって…心当たりはある?」

ラザール皇国の皇太子…あ!
昨日のイケメンだわ。

「その反応…心当たりがあるようね。
レジーナ貴女 その皇太子様から求婚されてしまったわよ。」

え…?
求婚?
いやいや。
求婚なら昨日 ハッキリと断ったはず。

そっかあの皇太子 話が通じないんだった。
大変だわ。

その皇太子に悪役令嬢が求婚されたなんて…小説のシナリオを破壊してしまう。
この危機的状況…どうしたらいいの?
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