糾弾された直後に幸せになるのは 構いませんよね?だって私もう用済み悪役令嬢ですから

無味無臭(不定期更新)

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糾弾

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「レジーナ・コーラル、お前は陰でリリーを虐めていたな?
もうお前とは婚約破棄する!」

「証拠は掴んでいますよ。」

「僕らはお前の悪事を見逃さないからね?」

「レジーナごめんなさい…でも私、もう耐えられない!」

攻略対象3人とヒロイン1人。
やっぱりね。
前世読んでたラノベ小説の話とそっくり。 

明るく素直な性格と並外れた美貌で転校初日から貴公子3人に一目置かれた男爵令嬢リリー。
そんなヒロインを妬んだ公爵令嬢レジーナは彼女を陰で虐めるようになる。
しかしその悪事は3人の貴公子によって暴かれることに。
悪役令嬢が追放されて物語はハッピーエンドを迎える。

…というのがラノベ小説『愛され子に転生しました。』のシナリオ。

私は生まれてすぐに自分が悪役令嬢だと悟った。
その理由は私が断片的な前世の記憶を持って生まれたからだ。

断片的、とは。
私は前世で読んでいたラノベ小説の内容だけ覚えていた。
他のことは一切覚えていない。

だから生まれてすぐ自分が前世で読んでいた小説の悪役令嬢だと思い出すことができた。

「はぁー。
私は苛めた覚えなどありませんけどそんなに言うならしょうがないです。
貴方達の邪魔はしたくないのでさっさと消えさせて頂きます。
では失礼致しました。」

「「「は…?」」」

「ちょ、ちょっと待って!
どういうこと…?」

「どういうことって…」

「レジーナお待たせ。」

説明するのに困っているとやってきたのは隣国の王子エリック。
タイミングばっちりね。

「待ってないわ。
さぁ行きましょう。」

「…は?!
てか、ちょっと待ってこのイケメン…初回冊子限定の攻略対象エリック王子じゃん!」

あれ?
初回冊子限定攻略対象…
そんなキャラいたかしら。

それにこの口ぶり。
ヒロインも転生者だったようね。
今までの出来事はとんだ茶番だったわけね。
あーあ。
疲れたわ。

「ちょっと待った!
レジーナどういうことだ?
それにこの男は誰なんだ!」

元婚約者のレオンが動揺しながら聞いてくる。
この人ってクールに見えて意外と分かりやすく表情に出るのよね。
まぁ、そんなレオンとも今日でさよなら。

「誰って…」

「僕の婚約者に何か用かな?」

「こ、婚約者?!
たった今俺に婚約破棄されたばっかだろ!」

「ええ。
だから私達たった今婚約したの。
悪い?」

「もう君には関係ないだろう?
悪いけどそんなに時間がないんだ。
僕達これからすぐ挙式する予定でね。」

「そうなんです。
なので私達はもう失礼させて頂きます。
招待状は一応お送りしますので。」

私はそう言ってエリックと共に歩き出した。

「ちょっと待ってレジーナ!
どうして貴方が幸せ掴んでるの?!」

何でって…
焦るヒロインと攻略対象達を振り返りながら私は言い放った。

「役目を果たしたんだから 幸せになっても構いませんよね?」


エンディング後の悪役令嬢が幸せになれないなんて誰が決めたの?
私はもう用済みの悪役令嬢ですから。
幸せ掴んでもいいでしょう?
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