イケメンに惚れられる魔法かけられたモブ令嬢は逆ハーレム化を阻止したい

第一王子に惚れられる

どうやら私は、どんなイケメンにも惚れられる魔法をかけられたらしい。

イケメンなんて勘弁してほしい。

そもそも、そんな魔法があるわけないと私は高を括っていた。


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今日はヒロインが登場するパーティに参加している。

やはり文字通りヒロインは絶世の美女だった。

会場の殿方が目を見張るほど美しい。

そこに現れた第一王子のアルト殿下。

彼こそがこの小説のメインヒーローである。

私はヒロインとの出会いを壁際で傍観していた。

やっぱりイケメンだわ。

そんなことを思って見ていたら気付かれてしまった。

サッと目線を外す。

いけない、モブらしくしないと…

しばらくして、そっと顔を上げる。

すると、殿下がまだ私を見ていた。

は…？

まさか、ね。

あれ？？

メインヒーローである殿下が何故かヒロインとの会話を終わらせてしまった。

そしてズンズンと私の元へと歩いてくる。

ヤバい、逃げよう。

私はドレスを捲し上げると一目散に駆け出した。


…


…


…


会場の裏にある庭園へやってきた。

私は呼吸を整えながら空を仰ぐ。

はぁ、逃げきった。

危ない危ない。

あのおばあさんが変なこと言うから…意識してしまったのね。


「そこの君。」


そんなことを思っていると誰かに話し掛けられる。

まさか…


「なんですか？」


私はそう言って相手を見る。

…第一王子のアルト殿下だわ。

撒いたと思ったのに…


「先ほど、僕から逃げましたよね？」


「…え？
そ、そんなことないですわ。」


私はとぼけた。


「貴女は面白い方ですね。
お名前を伺っても？」


「ノアと申します、殿下。」


私は腰を深く折る。

惚れられないように…私と貴方では身分が違うんですよという意味を込めて。


「…僕のこと知っていたんですね。
それで逃げたんですか？
ますます貴女に興味が湧いてきました。」


どうしよう。

ヤバいわ、これ…


「僕と一曲踊りませんか？」


私、メインヒーローの第一王子に惚れられてしまったみたい。