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告白
しおりを挟む「私も全て思い出したわ…」
「エレーナ…!」
私がシアナにそう切り出そうとした時、そんな声が遮った。
この声は…
「陛下?」
私は振り返る。
どうして彼がここに…
「シアナ、エレーナに近付くな。」
困惑する私をかばうように立った陛下が、シアナを強い眼差しで捉えそう言った。
「ローレンス、どうしたの?」
シアナは意味が分からないというようにそう言った。
「意味は分かっているだろう。
僕がもし過去で起こったことを覚えていたら、君とは結婚しなかっただろう。」
どういうこと…
陛下は過去を覚えていたわけではないの…?
「僕が教えた。」
陛下に続けて夫のルイもやってきた。
どうして来たの?
ルイには何も伝えずに屋敷を出たはずなのに。
「陛下は、全て覚えていなかったんだ。
エレーナと結婚した過去は覚えていたが、どういう風に内乱が起こったかを覚えていなかった。
だから僕が教えたんだよ。」
混乱する私をフォローするように、ルイがそう説明する。
「ルイ、どうしてここに?」
私は気になっていたことを聞く。
「君が王宮に出掛けたと使用人に聞いて、君が危ないと思ったんだ。
忘れたの?
君は皇后に一度殺されているんだよ?」
なるほど、私は納得する。
でも…少し訂正しなくてはいけないわ。
どのタイミングで、私がシアナを殺したことをいおうかしら。
「エレーナとローレンス、2人が悪いわ。
私のせいにしないで…!」
取り乱したシアナがそう言って涙を流す。
「私は、ずっと苦しかったの。
エレーナを殺しても結局は何も変わらなかった。」
私は彼女の言葉を聞いて、気の毒にも思った。
けれど…
「貴女のしたことは許されないわ。」
私は彼女に同情の余地など渡さなかった。
「貴女はローレンスとルイを殺したでしょ?」
「…!
どうして貴女がルイを殺したことを知っているの?」
シアナはルイを殺したことを知っている私に、酷く驚いたような反応を見せる。
「貴女に殴られた後、私は目を覚ました。
あの時わたしは気絶していたのよ。」
私がそう言うと、ルイもローレンスも驚いたように私を見る。
「そうだったのか…?」
「じゃあ何故エレーナは過去に戻ったの?」
ルイの質問に私は深呼吸をする。
「私が寝室で眠るシアナを殺したの。
そしてその後、私も自らの手で死んだわ。」
私がそう告白すると3人は一様に驚いたように固まった。
「シアナが私の大切な2人を殺したことが、許せなかった。」
「じゃあ、私の内乱が失敗したのは…」
「私が阻止したのかも。
どういう原理で過去に戻ったかは知らない。
でも一つ分かるのは狂った歯車を治すために、神様が私達にチャンスをくれたんだと思う。」
私はそういって3人を見据えた。
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