貴妃エレーナ

無味無臭(不定期更新)

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現在の変化

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──20年後──


あれから学園を卒業してすぐルイに嫁いだ私は、侯爵夫人になった。
そして子宝にも恵まれ1人の子供を育てあげた。

気付けばもう時は経ち、私が過去に戻るきっかけとなった内乱が起こる一年前にまでさしかかった。

内乱…過去と同じなら起こりうる可能性が高い。
しかし私はローレンスに嫁がない選択をした。
私が体験した過去と展開が変わる可能性もある。
迂闊に内乱が…と言っても周りを混乱させるだけだった。

どうしたらいいのかしら。
夫ルイに相談するべきよね、でも…

最近、夫がなにか隠し事をしている気がするのだ。
何を隠しているのかは分からないが、少し相談しずらいと感じてしまう。
彼の私への愛情は昔も今も変わらないのだけど…


「エレーナ、ただいま。
…ちょっといい?」


そんな考えにふけるうちに、いつの間にか夫が帰宅する時間になっていた。


「おかえりなさい、どうしたの?」


どうやら話があるらしい。
ちょうど私もルイに気になってることがある。
それなら彼が隠しているものについて聞く絶好のタイミングだわ。


「実は…国王主催のパーティーに招待されているんだ。
パートナー同伴だから、君も参加してくれる?」


「ええ、参加するわ。」


ルイは、私が貴妃のときと同じ宰相を勤めている。
そこは過去と変わらない。

しかし陛下を取り巻く環境は様変わりした。
それはまず、私のポジションだった『貴妃』という位がなくなった。
皇后がシアナなのは変わらないのだが、彼女の産んだ子供は1人になっていた。

そして驚いたことに妻の数も、私とシアナの2人だったはずが現在はシアナを含め5人もいた。

陛下の女癖が悪い印象はなかった。
こんなにお抱えの妻を要するなんて想像もしていない変化だった。

ルイと結婚しても陛下とパーティーで会う機会はあったが、子供が大きくなって私に変わってパーティーに参加する機会が多くなったため陛下と会うのは実に数年ぶりのことになる。

なんだか不思議な感覚だわ。
一度はこの年齢まで陛下と添い遂げた過去もある私が、今度は別の人生で陛下と会うなんて。


「君と一緒にパーティーに参加するのは久しぶりだね。」


ルイが嬉しそうにそう言った。


「そうね、最近は息子にばかり任せていたから。」


「息子もそろそろ婚約者ができる年齢になってきたし、私達もそろそろ隠居しないか?」


夫からの提案に私は笑みをこぼす。
ルイは宰相として忙しい生活をしていたし、これから今まで以上に彼と過ごす時間が増える嬉しい提案だった。


「そうしましょう。」


もしかして、夫の隠し事というのはそれかしら?
隠居するための準備?

サプライズだったら言わない方がいいわね。
私は聞こうと思っていたことをそっと胸にしまうことにした。

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