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新事実
しおりを挟む私が屋敷に戻ってくると両親は心配そうな表情で出迎えた。
「リーラ!
貴女どこにいっていたの?」
「どうしたんだ?
誰かに何かされたのか…」
お父様が私の泣き腫らした顔を見て怒ったように言った。
「いいえ、違いますわ。
大したことではないんです。」
「そんなわけないだろう。
何があったんだ?」
そんなことより私は2人に伝えたいことがあった。
「お父様、お母様にお願いがあります。
今回の縁談は破棄させてください。」
私はそう言って頭を下げる。
「どうして?
相手の方に何か不満が?」
お母様にそう言われ私は首を横に振った。
「いいえ、これは私の問題です。
だから相手方にと私の都合での破棄だと伝えてください。
お願いします。」
私は真剣な表情でそう伝える。
「…分かったわ。」
「相手方には伝えておくから リーラは自室で休みなさい。」
そんな私に両親は渋々といった様子で納得してくれた。
ありがとうお父様、お母様。
…
…
部屋に戻ってきた私はすぐにベッドに寝転がった。
これからどうしましょう。
この先エリックのいない人生で私は幸せになれるだろうか。
数日後
「リーラ。
町へお出かけに行かない?」
気持ちの整理がついた私にお母様がそう言った。
きっと私のことを気遣っているんだわ。
私はお母様の優しさに胸がいっぱいになる。
久しぶりにお母様と出かけたい。
「行きます。」
私はそう言って仕度を始めた。
…
…
町へ着いてから馬車を降りて歩くことにした。
お母様が新しい服を新調するらしいので私もその店に付いていくことにした。
しかし店までの道中 町の喧騒の中で聞き覚えのある声を聞いた。
振り向くとそこには令嬢と仲良く歩くエリックの姿。
エリック…
あの令嬢はどんな人なんだろう。
ダメだと分かってはいたが…
私は彼が未来を約束した相手が気になってしまった。
「お母様 先に行ってて。
私は忘れ物とりに戻るわ。」
「え?
リーラ…!?」
お母様にそう声をかけた私は急いでエリック達を追った。
ガヤガヤ…ガヤガヤ
ガヤガヤ…
少しずつ町の喧騒が消えていく。
エリック達はどこか脇道を抜けていく。
私も見失わないように付いていった。
ある建物まで来たところでエリック達は止まった。
私は気付かれないようこっそりその建物を覗く。
『休憩所』
そう書かれた看板。
あれ、ここって…
「エリック 入りましょう?」
その時 聞こえてきた女性の声。
え…?
その女性を見て私は呆然とした。
なんでここに…?
女性の正体は義理の娘アイだった。
私が驚いている間に2人は建物の中に入っていく。
2人がいなくなった後 私は建物の前に行った。
そして看板を見てハッとする。
『休憩所
1時間~
男女の睦み合い歓迎!』
そうだ、ここはそういう場所だわ。
どうしてその場所へエリックとアイが入っていったの?
まだアイは生まれてもないはずなのに…どうしてアイがここにいるの?
私はこの状況に混乱した。
息子がアイを紹介しにやってきた時 2人は既に知り合いだったってこと?
そんなわけない。
だってそれならアイは私と同い年くらいのはず。
訳が分からない。
だけどその中で1つハッキリすることは…
私が義理の娘に夫を寝取られたって事実。
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