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【番外編】デート。
しおりを挟む週末はキースに誘われ、王室庭園にやってきた。
ここでは温室管理のもと季節問わず様々な種類の草花を観賞できる。
この温室には限られたものしか入れない。
この庭園の素晴の噂は知っていて、前からずっと行きたかった。
「…とても綺麗ですね。」
思わず感嘆の声が漏れた。
「アリシア、君に渡したいものがあります。」
真剣な眼差しでそう言ったキース。
何だか緊張する。
「アリシア、僕と結婚してください。」
そう言って私の前に跪くキースの手にはキラッと光る指輪が。
ゆ、指輪?
突然のことに驚く。
でも…
「はい、こちらこそよろしくお願いします。」
恋人同士で結婚の誓いをするみたいで凄く嬉しい。
いつもキースにもらってばかり。
だかや私も、今日はキースに渡したいものがあった。
「実は私も…万年筆をプレゼントしたくて。」
そう言って手に出した細長い小箱。
前々からキースへのプレゼントについて、執事長クリスと一緒に考えていた。
普段から使える実用性の高い万年筆に決めてから、職人に特注した。
キースの好きそうな緑色と私の好きな紫色を組み合わせた配色。
手に馴染みやすい形をデザインしてもらった。
世界に1つだけの万年筆。
「あ、あの。
別に使わ…」
「ありがとうアリシア。
すごく嬉しいです。
絶対に大事にします。」
少しベター過ぎたかと不安になったけど、嬉しそうなキースを見てホッとする。
庭園の帰りはカフェに寄ることにした。
紅茶と軽食を頼んで一息つく。
「…アリシア、実は」
神妙な面持ちのキース。
今日も彼の色んな表情を見た。
…何の話だろう。
「僕も本を出版することにしました。」
え?
本を、出版?
「アリシアに僕の大ファンになって欲しいので、文字通り作家になることにしました。
もう本も完成していて、僕の最初の読者になってください。」
そう言って受け取った本。
え、その話してからそんなに経ってない。
早い。
作家の方って執筆するのこんなに早いの?
というか。
いや、ということは…今ここにある本はまだ未発売ってこと?
そんな神聖なもの、私が読んでもいいの?
…
…
…
と言いつつしっかり拝読させてもらった。
素晴らしい、この一言に尽きる。
ルーシー先生以来の神作といっても過言ではない。
「…最高でした。
なんて素晴らしい神作なんでしょうか。
これからはキース先生とお呼びしても?」
「…いや、プライベートではキースと呼んでください。
気に入ってもらえて良かったです。」
そう安堵したように笑う愛しい人の姿に胸がキュンとなった。
ーーーーーーーーーーーーーー
なんと、まさかの、キース先生のデビュー作がベストセラー突破。
すごい人気になっている。
「アリシア、明日のサイン会絶対に来てくださいね?」
人気過ぎて早速サイン会を開くことになったキース先生。
ファンとして飛び上がるほど嬉しい出来事。
「キースこそ、明日のサイン会頑張ってね。
妻として、ファンとして応援しますわ!」
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