5 / 5
5
しおりを挟む
夕日が照りつける海岸で一人の女性が孫と遊んでいた。
あの事件以来、娘の事を忘れたことはない。ニュースにもなったが、情報は何もなかった。
正直、あの男を疑ったが、幾ら何でも自分の血の繋がった娘を誘拐するわけはないと思った。
毎日が空虚なそんな時、優しい男性に出会った。彼は私の事情を了承してくれて一緒になろうと言ってくれた。
私みたいな人間が幸せになってもいいのか・・・。毎日自問自答したが、彼の優しさが私の凍った心を溶かしてくれた。
そして、子供にも、孫にも恵まれる。
でも、いつも彼女の事が頭にあり、全てにおいて全力で楽しむことはなかった。生まれてきた娘を見ても、可愛い孫を見ても頭の片隅に彼女の事があった。
そしていつもこの海岸に来ると、お腹にいた彼女の事を思い出す。
夕日に輝いた綺麗な景色を眺めていると、突然孫が駆け足で近づいてきた。
「おばあちゃん、僕と同じ石を持っている人がいるよ。」
孫が突然変な事を言い出した。後ろを振り向くと女性が一人立っている。
彼女が近ずいてきてこう言った。
「会いたかった・・・・・」
そう言うと私にあの石を見せた。
そして続けて彼女はこう言った。
「お母さん・・・・。」
私は震える手で彼女を抱きしめた・・・。
【End】
あの事件以来、娘の事を忘れたことはない。ニュースにもなったが、情報は何もなかった。
正直、あの男を疑ったが、幾ら何でも自分の血の繋がった娘を誘拐するわけはないと思った。
毎日が空虚なそんな時、優しい男性に出会った。彼は私の事情を了承してくれて一緒になろうと言ってくれた。
私みたいな人間が幸せになってもいいのか・・・。毎日自問自答したが、彼の優しさが私の凍った心を溶かしてくれた。
そして、子供にも、孫にも恵まれる。
でも、いつも彼女の事が頭にあり、全てにおいて全力で楽しむことはなかった。生まれてきた娘を見ても、可愛い孫を見ても頭の片隅に彼女の事があった。
そしていつもこの海岸に来ると、お腹にいた彼女の事を思い出す。
夕日に輝いた綺麗な景色を眺めていると、突然孫が駆け足で近づいてきた。
「おばあちゃん、僕と同じ石を持っている人がいるよ。」
孫が突然変な事を言い出した。後ろを振り向くと女性が一人立っている。
彼女が近ずいてきてこう言った。
「会いたかった・・・・・」
そう言うと私にあの石を見せた。
そして続けて彼女はこう言った。
「お母さん・・・・。」
私は震える手で彼女を抱きしめた・・・。
【End】
0
お気に入りに追加
1
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
【完結】捨ててください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと貴方の側にいた。
でも、あの人と再会してから貴方は私ではなく、あの人を見つめるようになった。
分かっている。
貴方は私の事を愛していない。
私は貴方の側にいるだけで良かったのに。
貴方が、あの人の側へ行きたいと悩んでいる事が私に伝わってくる。
もういいの。
ありがとう貴方。
もう私の事は、、、
捨ててください。
続編投稿しました。
初回完結6月25日
第2回目完結7月18日
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
次代の希望 愛されなかった王太子妃の愛
Rj
恋愛
王子様と出会い結婚したグレイス侯爵令嬢はおとぎ話のように「幸せにくらしましたとさ」という結末を迎えられなかった。愛し合っていると思っていたアーサー王太子から結婚式の二日前に愛していないといわれ、表向きは仲睦まじい王太子夫妻だったがアーサーにはグレイス以外に愛する人がいた。次代の希望とよばれた王太子妃の物語。
全十二話。(全十一話で投稿したものに一話加えました。2/6変更)
【完結】内緒で死ぬことにした 〜いつかは思い出してくださいわたしがここにいた事を〜
たろ
恋愛
手術をしなければ助からないと言われました。
でもわたしは利用価値のない人間。
手術代など出してもらえるわけもなく……死ぬまで努力し続ければ、いつかわたしのことを、わたしの存在を思い出してくれるでしょうか?
少しでいいから誰かに愛されてみたい、死ぬまでに一度でいいから必要とされてみたい。
生きることを諦めた女の子の話です
★異世界のゆるい設定です
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
こういう話を読んだのは初めてでしたが、比較的スムーズに読めて良かったです。最後の時間軸にも面白さを感じました。