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田中 小百合は今日も同じ電車に乗り家路に着いた。彼女は四十歳。施設育ち。家族も無ければ彼氏、友達もいない。もちろん結婚もしていない。孤独な女性だ。
小百合は小さなアパートの小さな部屋に住んでいた。毎日の楽しみは家に着いてからの一本の缶ビール。それを飲んでる時だけが、自分の惨めな人生を忘れることができた。
プルルルルルルルル。
テーブルに置かれた彼女の携帯が鳴った。
小百合は携帯を横目に見ると、登録されてない番号だった。
「もしもし?」
電話の相手は高校まで住んでいた児童養護施設の職員からだ。
「久しぶりやね? おばちゃんの事覚えてる?」
その声を聞いただけで学生時代に戻ったようだ。
「覚えてますよ!施設長ですよね!お久しぶりです!」
声の主は当時施設長をしていた鈴木 富子。関西出身で、彼女が関西弁を話すと周りがとても和んだのを覚えている。
「突然どうしたんですか?何かあったんですか?」
小百合は緊急事態でもあったのかと少し心配げに質問した。
「ちゃう、ちゃう、そんなんちゃうから。今度この施設取り壊しするのよ。そやから、部屋の整理してたら今迄、施設に住んでた人の持ち物が一杯出てきたから、連絡したんよ。小百合ちゃんのもあったから取りにこうへん?」
彼女に取りに行くと伝え、私達は小一時間程昔話しに花をさかした。
小百合は小さなアパートの小さな部屋に住んでいた。毎日の楽しみは家に着いてからの一本の缶ビール。それを飲んでる時だけが、自分の惨めな人生を忘れることができた。
プルルルルルルルル。
テーブルに置かれた彼女の携帯が鳴った。
小百合は携帯を横目に見ると、登録されてない番号だった。
「もしもし?」
電話の相手は高校まで住んでいた児童養護施設の職員からだ。
「久しぶりやね? おばちゃんの事覚えてる?」
その声を聞いただけで学生時代に戻ったようだ。
「覚えてますよ!施設長ですよね!お久しぶりです!」
声の主は当時施設長をしていた鈴木 富子。関西出身で、彼女が関西弁を話すと周りがとても和んだのを覚えている。
「突然どうしたんですか?何かあったんですか?」
小百合は緊急事態でもあったのかと少し心配げに質問した。
「ちゃう、ちゃう、そんなんちゃうから。今度この施設取り壊しするのよ。そやから、部屋の整理してたら今迄、施設に住んでた人の持ち物が一杯出てきたから、連絡したんよ。小百合ちゃんのもあったから取りにこうへん?」
彼女に取りに行くと伝え、私達は小一時間程昔話しに花をさかした。
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