執着の従者

あやこ

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プロローグ

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水の街。
その街の中心にひときわ目立つ豪華絢爛な城がある。
これが私が住む場所だ。
私の名前はハナ、この城の姫・・・・。
と言っても正妻の娘ではなく父である王の愛人の娘だった。
母は小さい頃に亡くなり、母の記憶は殆ど無い。女王の恩赦でこの城に置かせてもらっている。
正妻の娘、私にとっては腹違いの妹リリーが次期女王だ。
もう慣れたがこの城での私の立場はもちろん良くはない。
愛人の娘と言うだけで、肩身が狭いのに他にも問題を抱えてる。その問題のひとつが私の従者ジェイコブの存在だ。
彼は私が幼い時、街で拾った孤児だった。
私と同じ孤独な彼に同情し、友達が欲しかった私は彼を側に置くことにした。私の周りを離れない彼を見て最初は嬉しく感じていた。誰からも求められない自分を唯一、彼は慕ってくれてると感じたからだ。しかし誤算があった。彼は私の想像以上に魅力的に成長したのだ。屈強な身体にクールな面差し、黒髪に褐色の肌が彼のグリーンの瞳を一際美しく見せる。文武両道、そして全ての女性の心を虜にしたのは言うまでもない。そんな彼を従者にしている私は周りから批判の的となった。特に、私の義妹リリーからの批判は強く、その理由は彼女も彼の虜になった女性の一人だったからだ。
ジェイコブは成長と共に私への執着を強くした。
小さい頃に拾った恩もあるのかも知れない。
私のやる事全てを知りたがり、女性のみ参加のお茶会以外は全てついてきた。それが余計に私が連れ回してるように見えたのだろう、ますます批判の矛先は私に向いていった。

そんな時リリーからある提案をされた。

「お姉様、私の従者と交換しませんか?ジェイコブは余りにも優秀です。いづれ女王となる私にこそ相応しいとは思いませんか?」

とても有難い誘いだと思った。
ジェイコブの執着にも、周りの批判にも疲れていた私はもちろん了承したかったが、決定権が私にはない。

「その通りだと思います。しかし私には決定権が御座いません。リリー様からジェイコブに話して頂けますか?」

いくらジェイコブでも次期女王の命令には逆らえまい。
これで私に少しの平安が訪れると思っていた。
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