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決闘
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夜を迎えた。
幾度も襲撃被害にあった『トランスロイド研究所』、アルバートは二人乗りバイクの側車に乗車し、研究所の検問所へとたどり着く。
送り役のテロリストは心配そうな表情を浮かべた。
「アルバート様お一人で行かれるのですか?全員で襲撃したほうが・・・・・・」
アルバートは笑みを浮かべながら「その必要もないだろう」と返した。
「研究所の襲撃のチャンスはこれが最後になるだろう。英国政府はすでに察知しているはずだ。それに、『マーヴェリックストライカー』は僕しか張り合えない」
アルバートはバイクを降りる。
「後を頼む」
彼は死を覚悟していた。
ここから一歩踏み出せば、打ち破れることになることもあり得るであろう。
それにうまく生き残れたとしても、英国政府の特務機関は動き出し始め、特殊部隊相手に殉教を遂げるしか選択肢はない。
せめて『マーヴェリックストライカー』と戦い、せめてこのまま惡の華として散っていきたい。
アルバートのプリミティブな情熱が闘争心を駆り立てる。
何度も襲撃を受け、ボロボロ状態の研究棟の数々、そこに立ち尽くす人影があった。
「いたか!」
アイリスであった。
彼女も覚悟を決めていたようだ。
「来たぞ!『マーヴェリックストライカー』!アルバート・ラチェットだ。私一人でここから先は相手しよう!」
アルバートは抜刀する。
月夜に輝く日本刀はいつでも輝かしく、鏡の刃に月光が差し込む。
「この戦い、すべてを終わらせてやる」
アルバートは歓喜していた。
彼女の覚悟は本物だ。
どうやら戻ってくるまでの間、相当心の準備をしていたようだ。
「さあ!始めよう!そして終わらせよう!」
アルバートは突進を試みる。
するとアイリスはスーツの袖から何かスイッチのような物を取り出す。
「何だ?」
アルバートが疑問に思うより早く、スイッチを押した。
次の瞬間、アルバートの近くの研究棟オフィスや倉庫が蒸発し、衝撃がアルバートを襲った。
「くっ!」
時限爆弾を起爆したのか。
アイリスは、アルバートが戻ってくるまでの間、プラスチック爆弾を用意し、各所に仕掛けていたようだ。
どうやら用意周到、ルール無用で挑む気だろう。
「アルバート!」
アイリスはビームトーチの束をスーツの左袖から取り出す。
赤いビームの刃を生成してまもなく、彼に牙をむける。
「させない!」
アルバートはその一撃を防ぐ。
押し切るように、彼女とのつばぜり合いになる。
「最高だよ君は!」
興奮したアルバートはアイリスの一撃を振り払う。
彼は刀を振るう。
紅蓮の炎がアイリスに降りかかる。
アイリスは『スピリット・フィールド』で防御し、彼の炎の斬撃を無効化する。
彼の『紅蓮腕』を熟知していたようだ。
「それはもう効かないよ!」
アルバートの袈裟と同時に威力を増した紅蓮の炎が『スピリット・フィールド』を打ち破る。
威力は増していた。
アイリスはひたすら果敢に攻める。
つばぜり合いの繰り返し、彼女は『紅蓮腕』を封じ込める戦法に出る。
「これなら使えまい!」
アイリスは頭の中でシミュレーションしながら、アルバートに対しての一手を考えていたのだ。
このままでは時間と体力ばかりが消耗していく。
だが、アルバートの『紅蓮腕』に当たれば黒こげになる。
一秒でも油断はできない。
ビームトーチと彼の日本刀が衝突するたびに火花が散る。
両腕にはものすごい負荷がかかり、アイリスは痛みを感じていた。
恐らくはアルバートも苦戦しているであろう。
「くそっ!どうしてここまで!」
アイリスの苛立ちが表に出る。
自分を執拗に狙うアルバート、自分の家族と育ての親を引き裂いた『ヴァイル』、すべてが憎かった。
そしてアルバートの暖かい血の鼓動はさらに憎しみを増長させる。
「いいよ、憎しみを感じる!『黒魔術』は憎しみを増大させる。ここで終われば、僕ははぐれてしまう!だから君に勝つ!それが僕の生きがいなんだ!」
アルバートの歓喜に対し、アイリスは怒りに満ちていた。
こいつの首を必ず斬り裂いてくれる。
しかし、ビームトーチの挙動が不安定になる。
ビームの刃が減衰し始めたのだ。
「何だと!」
故障か。
アイリスの過酷な連撃、アルバートとのつばぜり合いで負荷に耐えられず、パワー負けし始めたのかもしれない。
すぐさま彼女は身体を後退させる。
ビームトーチはついにパワーが尽きてしまった。
束は熱くなっており、バッテリー故障を察した。
「しまった!これでは!」
アイリスはこの上なく恐怖を感じた。
相手は刀を持っているがこちらには武装がない。
日本刀ならバッテリーを気にせず、斬撃を繰り出すことが可能だ。
アルバートにとってチャンスだ。
「ついに武器が使えなくなってしまったか。終わりだね・・・・・・」
しかしアイリスはまだ闘争心を捨てなかった。
「もう武器はない。接近すれば、『紅蓮腕』で君を焼き払うだけだ。僕と来よう!そうすれば君に新しい未来を与えられるよ!」
アイリスの怒りと憎しみが頂点に達する。
上から夢物語を語ってくれたな。
どうせは自分を利用し、最後は切り捨てるつもりだろう。
いや、根本的に親を奪ったテロリストに組していたやつに力を貸すなど、あり得ない話だろう。
「武器はなくても、どうにかなるさ。たとえ負けて地獄へ行くことになろうと、貴様だけは、必ず打ち破ってくれる!私はお前なんかに屈しない!」
アルバートから溜息が出た。
「で、あれば君を殺すか」
静かに言うとアルバートは斬りかかる。
アイリスはビームトーチの束を捨てると、両手で手刀を作る。
「空手の真似事か!」
アルバートの言う通りだ。
しかし、やるしかないだろう。
「赤い雨が降る。『ブリタニア・レインズ』!」
アイリスは手刀でアルバートに斬りかかった。
その際、アイリスの右肩が掠った。
しかし、彼女は手刀による十二連撃を、アルバートの胴体に打ち込もうとする。
両手の感覚がない。
アルバートはどうなっている?
「くそっ!」
余裕をかましていたアルバートは身体を後退させた。
後退した後の彼の胸からは赤い大きな傷が無数に切り刻まれていた。
信じられないことに、『ブリタニア・レインズ』の十二連撃は、アルバートに届いていた。
しかし、アイリスも右肩の骨と神経に達する激痛が時間差で襲った。
「うっ!『紅蓮腕』が打ち込まれたのか!」
右肩から出血するアイリス、どうやら回避しきれなかったようだ。
「すごい!武器なしで僕を・・・・・・ぐっ!」
アルバートは吐血した。
予想以上に『ブリタニア・レインズ』の連撃が響いていたようだ。
意識が朦朧としているアルバート、アイリスは突進するように駆け出した。
脳裏にはバウアスタイン博士のこと、強化兵器としての『トランスロイド』になった自分のこと、そしてアルバートとの出会い、すべての記憶がよみがえる中で、アイリスの全身から黒い稲妻が迸る。
「その五体、無へと消え去れええええええええ!」
アイリスは声の限り叫び、右手で平手をアルバートの胴体に打ち込もうとする。
「くっ!」
防御、間に合わないだろう。
アイリスの右手に閃光が走ると、彼女は右手を彼の胴体に打ち込んだ。
「楽しかったよ・・・・・・」
それがアルバートの最期の言葉だった。
「くっ!『エターナル・ファントム』!」
息を押し殺すように技名を唱えると、赤い拡散光線がアルバートの五体を焼き裂いて、言葉通り無になった。
焼けて気体となって、空の彼方へと溶け込んでしまったのだろうか。
僅か数秒であった。
血塗られた光線が空を裂く。
アルバートが消えた。
音も消えた。
気配も消えた。
自分以外のすべてが消えた。
アイリスは一人、夜の研究所の中に取り残された。
幾度も襲撃被害にあった『トランスロイド研究所』、アルバートは二人乗りバイクの側車に乗車し、研究所の検問所へとたどり着く。
送り役のテロリストは心配そうな表情を浮かべた。
「アルバート様お一人で行かれるのですか?全員で襲撃したほうが・・・・・・」
アルバートは笑みを浮かべながら「その必要もないだろう」と返した。
「研究所の襲撃のチャンスはこれが最後になるだろう。英国政府はすでに察知しているはずだ。それに、『マーヴェリックストライカー』は僕しか張り合えない」
アルバートはバイクを降りる。
「後を頼む」
彼は死を覚悟していた。
ここから一歩踏み出せば、打ち破れることになることもあり得るであろう。
それにうまく生き残れたとしても、英国政府の特務機関は動き出し始め、特殊部隊相手に殉教を遂げるしか選択肢はない。
せめて『マーヴェリックストライカー』と戦い、せめてこのまま惡の華として散っていきたい。
アルバートのプリミティブな情熱が闘争心を駆り立てる。
何度も襲撃を受け、ボロボロ状態の研究棟の数々、そこに立ち尽くす人影があった。
「いたか!」
アイリスであった。
彼女も覚悟を決めていたようだ。
「来たぞ!『マーヴェリックストライカー』!アルバート・ラチェットだ。私一人でここから先は相手しよう!」
アルバートは抜刀する。
月夜に輝く日本刀はいつでも輝かしく、鏡の刃に月光が差し込む。
「この戦い、すべてを終わらせてやる」
アルバートは歓喜していた。
彼女の覚悟は本物だ。
どうやら戻ってくるまでの間、相当心の準備をしていたようだ。
「さあ!始めよう!そして終わらせよう!」
アルバートは突進を試みる。
するとアイリスはスーツの袖から何かスイッチのような物を取り出す。
「何だ?」
アルバートが疑問に思うより早く、スイッチを押した。
次の瞬間、アルバートの近くの研究棟オフィスや倉庫が蒸発し、衝撃がアルバートを襲った。
「くっ!」
時限爆弾を起爆したのか。
アイリスは、アルバートが戻ってくるまでの間、プラスチック爆弾を用意し、各所に仕掛けていたようだ。
どうやら用意周到、ルール無用で挑む気だろう。
「アルバート!」
アイリスはビームトーチの束をスーツの左袖から取り出す。
赤いビームの刃を生成してまもなく、彼に牙をむける。
「させない!」
アルバートはその一撃を防ぐ。
押し切るように、彼女とのつばぜり合いになる。
「最高だよ君は!」
興奮したアルバートはアイリスの一撃を振り払う。
彼は刀を振るう。
紅蓮の炎がアイリスに降りかかる。
アイリスは『スピリット・フィールド』で防御し、彼の炎の斬撃を無効化する。
彼の『紅蓮腕』を熟知していたようだ。
「それはもう効かないよ!」
アルバートの袈裟と同時に威力を増した紅蓮の炎が『スピリット・フィールド』を打ち破る。
威力は増していた。
アイリスはひたすら果敢に攻める。
つばぜり合いの繰り返し、彼女は『紅蓮腕』を封じ込める戦法に出る。
「これなら使えまい!」
アイリスは頭の中でシミュレーションしながら、アルバートに対しての一手を考えていたのだ。
このままでは時間と体力ばかりが消耗していく。
だが、アルバートの『紅蓮腕』に当たれば黒こげになる。
一秒でも油断はできない。
ビームトーチと彼の日本刀が衝突するたびに火花が散る。
両腕にはものすごい負荷がかかり、アイリスは痛みを感じていた。
恐らくはアルバートも苦戦しているであろう。
「くそっ!どうしてここまで!」
アイリスの苛立ちが表に出る。
自分を執拗に狙うアルバート、自分の家族と育ての親を引き裂いた『ヴァイル』、すべてが憎かった。
そしてアルバートの暖かい血の鼓動はさらに憎しみを増長させる。
「いいよ、憎しみを感じる!『黒魔術』は憎しみを増大させる。ここで終われば、僕ははぐれてしまう!だから君に勝つ!それが僕の生きがいなんだ!」
アルバートの歓喜に対し、アイリスは怒りに満ちていた。
こいつの首を必ず斬り裂いてくれる。
しかし、ビームトーチの挙動が不安定になる。
ビームの刃が減衰し始めたのだ。
「何だと!」
故障か。
アイリスの過酷な連撃、アルバートとのつばぜり合いで負荷に耐えられず、パワー負けし始めたのかもしれない。
すぐさま彼女は身体を後退させる。
ビームトーチはついにパワーが尽きてしまった。
束は熱くなっており、バッテリー故障を察した。
「しまった!これでは!」
アイリスはこの上なく恐怖を感じた。
相手は刀を持っているがこちらには武装がない。
日本刀ならバッテリーを気にせず、斬撃を繰り出すことが可能だ。
アルバートにとってチャンスだ。
「ついに武器が使えなくなってしまったか。終わりだね・・・・・・」
しかしアイリスはまだ闘争心を捨てなかった。
「もう武器はない。接近すれば、『紅蓮腕』で君を焼き払うだけだ。僕と来よう!そうすれば君に新しい未来を与えられるよ!」
アイリスの怒りと憎しみが頂点に達する。
上から夢物語を語ってくれたな。
どうせは自分を利用し、最後は切り捨てるつもりだろう。
いや、根本的に親を奪ったテロリストに組していたやつに力を貸すなど、あり得ない話だろう。
「武器はなくても、どうにかなるさ。たとえ負けて地獄へ行くことになろうと、貴様だけは、必ず打ち破ってくれる!私はお前なんかに屈しない!」
アルバートから溜息が出た。
「で、あれば君を殺すか」
静かに言うとアルバートは斬りかかる。
アイリスはビームトーチの束を捨てると、両手で手刀を作る。
「空手の真似事か!」
アルバートの言う通りだ。
しかし、やるしかないだろう。
「赤い雨が降る。『ブリタニア・レインズ』!」
アイリスは手刀でアルバートに斬りかかった。
その際、アイリスの右肩が掠った。
しかし、彼女は手刀による十二連撃を、アルバートの胴体に打ち込もうとする。
両手の感覚がない。
アルバートはどうなっている?
「くそっ!」
余裕をかましていたアルバートは身体を後退させた。
後退した後の彼の胸からは赤い大きな傷が無数に切り刻まれていた。
信じられないことに、『ブリタニア・レインズ』の十二連撃は、アルバートに届いていた。
しかし、アイリスも右肩の骨と神経に達する激痛が時間差で襲った。
「うっ!『紅蓮腕』が打ち込まれたのか!」
右肩から出血するアイリス、どうやら回避しきれなかったようだ。
「すごい!武器なしで僕を・・・・・・ぐっ!」
アルバートは吐血した。
予想以上に『ブリタニア・レインズ』の連撃が響いていたようだ。
意識が朦朧としているアルバート、アイリスは突進するように駆け出した。
脳裏にはバウアスタイン博士のこと、強化兵器としての『トランスロイド』になった自分のこと、そしてアルバートとの出会い、すべての記憶がよみがえる中で、アイリスの全身から黒い稲妻が迸る。
「その五体、無へと消え去れええええええええ!」
アイリスは声の限り叫び、右手で平手をアルバートの胴体に打ち込もうとする。
「くっ!」
防御、間に合わないだろう。
アイリスの右手に閃光が走ると、彼女は右手を彼の胴体に打ち込んだ。
「楽しかったよ・・・・・・」
それがアルバートの最期の言葉だった。
「くっ!『エターナル・ファントム』!」
息を押し殺すように技名を唱えると、赤い拡散光線がアルバートの五体を焼き裂いて、言葉通り無になった。
焼けて気体となって、空の彼方へと溶け込んでしまったのだろうか。
僅か数秒であった。
血塗られた光線が空を裂く。
アルバートが消えた。
音も消えた。
気配も消えた。
自分以外のすべてが消えた。
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