『君と、死ぬまで一緒にいたい』

プロローグ兼あらすじ
『君は、とても不思議な夢を見た』
 日記『五月二十五日』

 僕は空が好きだ。
 何もしなくても、移り変わっていくこの空が。今日も、ぼーっと空を眺めている。予報通りの雨が、街路樹を濡らしていく。目に映る景色の奥の方までも暗雲が立ち込めていて、心まで憂鬱な気持ちになる。
 ああ、今日は何をしようかな。いつもとなんの代わり映えのない通学路を歩いていると、唐突に意識が飛んだ。

「はっ!?」
 やけに現実味のある夢だった。五月二十五日、月曜日。時刻は朝の六時を指す。物凄い量の汗をかいている、湯船に浸かりたい気分だ。ほぼ無意識に、夢と同じ行動をとって僕は学校に向かう。
 そういえば、夢で意識が飛んだのはここだったよな。流石に大丈夫だよな、と思いつつも、青になった信号を渡らずに待ってみる。そして、約2秒後に信号無視をした車が目の前を走り抜けた。
 これが正夢っていうやつなのか。とりあえず今は、拾った命を大事にしよう。
 これといって何の変化もなく、僕の一日は終わっていく。

 翌日。今日も雨だ。予報通り、といえばそうなんだが、やっぱり心が沈む感じがする。学校について、僕は目を疑った。黒板の右側に書いてある日付が、五月二十五日のままだ。まぁ、どうせ日直が変えるのを忘れたのだろう。
一限目は数学だ。確か昨日は数列を習ったはずだから、今日はその続きだろう。僕は数学が好きだから、一限目は楽をできる。……いや、ちょっと待てよ?火曜日の一限目は数学じゃなくて英語だったはずだ。なのに、目の前に居るのは数学の先生だ。
 何故か、誰もこの違和感に指摘をしない。そして、手元に配られたプリントは、昨日の物と全く同じだった。その時、僕の疑念が確信に変わった。
 僕は、五月二十五日を繰り返している。

 五月二十五より、少し不思議な夢を見る男子高生の物語。
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