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第五十一話 土壁に浮かぶ顔
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茹で上がり足元も覚束ないオリンドを回収したアレグたちは急いで受付を済ませ、六十階層へ向かうべくまずは七階層の岩場に隠された転送陣から十五階層へ飛んだ。道中ですれ違う冒険者たちがオリンドを担ぐイドリックに気付くたびぎょっとして凝視してくるのには、ちょっとしたアクシデントで腰が抜けたと口早に説明して走り抜ける。そうして十六階層に降りる階段の手前で、仕掛けは簡単だが見付かっていなかった扉が隠す通路へ周囲に誰も居ないことを確認してから飛び込んだ。この奥には三十階層への転送陣があるはずだ。
「ごめんねリンちゃん!あんな話しちゃって、恥ずかしかったわよね!?」
「ごめんなオーリン!この通りだ!」
通路への隠し扉をしっかり閉めて念の為にエウフェリオに隠遁魔法をかけてもらうと、倒れ伏すほど恥ずかしい思いをさせてしまったとウェンシェスランとアレグはイドリックの肩から下ろされたオリンドに平謝りした。
「う…、えっと、…ちが…ちがう。…恥ずかしかったんじゃ、なくて…」
「えっ?…違うの?」
「…う…ん。…あ、あの…。えっと…、調整…するとき、その、…さ、最初からすごく、…あの…、あの…、うう。っあ、ええとっ!だから、その、…っふぇ、…フェリ、は、…か、回路調整の最初、の、ころ…から、…俺のこと、す…、す、す…、…っ…」
受付前広場でウェンシェスランが魔力交換についてアレグに話した言葉を受けて、回路調整の具合を思い返せば初めから蕩けるほど心地よかったと思い至り、ということは、その時すでに好意を寄せてくれていたのかも知れないと考えるだに舞い上がってしまって仕方ないのだと、オリンドはしかし好いてくれていたのかという単語すら舌に乗せられず説明を諦めて両手で顔を覆った。手の平に触れた頬が己でも信じられないほどに熱い。
「…ええ。実は一目惚れです」
オリンドの様子から聞きたいことを汲んだエウフェリオは、そのことでこれほど嬉しく思ってくれるのかと同じく顔を赤らめ傍らにしゃがみ込んで告げた。
「ふぇえぇえええぇえっ!?」
ひ、一目惚れ!?じゃあフィカス森のときに!?…ええっ!?あの時!?あの時って俺、今より酷い姿してたのに!?というか俺に一目惚れ!?
「…なんで!?」
どうかしている。とオリンドは勢い顔を上げた。
「なんでと仰られましても」
こんな愛らしい貴方に惚れない方がどうかしている。
エウフェリオは火照る額に指先を当て首を振った。
「リンちゃんの顔が好みのど真ん中だったのよね」
だけどそれで即時ストーカーと化すのはどうかしているわ。
ウェンシェスランはエウフェリオから相談された過日を振り返った。
「…ちょ。おいおい。それじゃなにか。一目惚れしたからって後を付けたのか」
マジかよせめて声を掛けるなり真っ当な方向でどうにかしようとしろよ。
会話から当日の行為を察したイドリックは眉間に深い皺を刻んで唸る。
「…自警団さんここです」
自警団さんここです。
アレグに至っては言葉と胸中に差異を付けることすらできなかった。
「っ仕方ないでしょう!?街外れから非常に悄気た背中で向かう先はあのフィカス森というだけでただならないのになにやら酷く憂えて思い詰めた様子でしたし驚かせないようにと隠遁魔法を使って声を掛ける機会を窺っていたら立て続けに息を呑む素晴らしい探査スキルを披露されて我も解除も忘れ後を追ってしまったんです!」
「ひゃぅあぁ…」
街外れからだなんて本当に最初の最初から、しかも一目惚れして追われてただなんて。
胸が一杯になり全身が熱くなっていくのを止められそうにない。せめても火を吹きそうな顔を両手で覆い直してオリンドは溶け崩れそうな自分を留めた。
フィカス森では森の入り口で見かけたなどと話されていたことなどすっかり忘れている。
「…あっ…。ここまで聞いてもオッケーっていうかむしろ嬉しいのねリンちゃん…。ならもうこれ以上はお節介だわね。次行きましょか次」
はいはいお開きお開き。
オリンドの盲目具合に舌を巻いたウェンシェスランは手を打って通路の奥に向かった。
「よくわからんけど、とりあえずまた俺が何かやらかしたんじゃなくて良かった」
「いや、これはわかっておかんと、おまえも苦労…、ああ、いや、するとかどうとか以前に、まだ早い話だな。よし忘れろ」
こいつはまだまだ色気より食い気だ。きょとんとするアレグに肩を竦めたイドリックもさっさと奥へ歩き出す。
「立てますか?リンド。ゆっくりでいいですよ」
「うん…大丈夫」
まだ顔が熱い。と、お互い頬の辺りを手で仰ぎつつ立ち上がったオリンドとエウフェリオも幸せにふわつく足元をちょっぴり照れ臭く思いつつ、アレグとともに先に通ったウェンシェスランとイドリックを追って転送陣を潜った。
三十階層の、先日暴かれた隠し通路からずっと先へ行ったところにある既出の転送陣は毎度利用している物だ。ここは慣れた足取りで効率よく進み、三十五階層へ飛ぶ。この階に隠された通路は仕掛けも複雑で、そのためにオリンドの地図記号だけでは読み解くことが難しく結局彼に開けてもらうことになった。例によって目撃した冒険者からは相当などよめきが上がっていたが、これもそのうち風物詩になるかもしれない。
「…と、この先は上級階層の知らせを貼らねば」
開かれた扉を潜ってすぐ、エウフェリオは待ったをかけて振り返った。通路には勇者一行が去った後で入ってみようかと伺う者がちらほらと出始めている。
「ああ。そうね。行き先が五十二階層だものね」
五十一から先の上級階層に潜ることを許されているのはBランクからだ。間違ってもこの通路にCランク以下の冒険者を入れるわけにはいかない。エウフェリオは鞄から取り出した大きな植物紙に筆記用の木炭で太く大きな文字を書き付けて、通路からよく見える場所に貼り付けた。その上から用紙が剥がれないよう結界を施す。
「こんなものでしょうかね。お待たせしました。行きましょうか」
後でギルドに報告して正式な注意看板に取り替えてもらわねばと考えつつ振り返るのと、アレグがあっと声を上げたのはほとんど同時だった。
「…うわっ!そうだ!思い出した!…やっべえ!俺、オーリンの描いた地図で全階層見たとき、一箇所だけ開け方わかんなくて、見えにくいとこ斬って開けちゃったやつがある…!」
「っ何階層の!どの場所ですか!?」
慌てた顔のアレグより数段血相を変えたエウフェリオの大声が隠し通路内に響く。
「ぅえっ、えーと、七十九階層の…、あのすっげえ仕掛け扉?壁?の手前の…、うぁあ、地図!地図見せて!」
ばたばたとエウフェリオの側に駆け寄ったアレグは、抜かりなく開かれた七十九階層の頁に目を走らせた。あの日、このギルド版にオリンドの気になる品と共に転送陣だけでも記入してもらっていて助かったと冷えた背筋に一気に汗が噴き出す。
「七十九階層ですか…。ならば、見付けても迂闊に入るような連中は居ないでしょうね」
一転、階層を聞いて落ち着いたエウフェリオは額の汗を拭い詰めていた息を吐いた。
「そうだな。あそこに行ける奴らなら、馬鹿な気は起こしゃしないだろ」
「大丈夫よアルちゃん。落ち着いて。…リンちゃん、どこの隠し扉だかわかったら、念の為に崩された跡が無いか見てもらってもいいかしら?」
「うん。すぐやる」
「うぉあぁ~…、ありがとうみんな…。…あっ、た。これだ。ここの転送陣」
見付けた。とアレグが指し示したのは先日開かれた城壁と思しき壁から、休憩地点のほうへ五分ほども歩いた地点にある隠し部屋だった。覚えたてのオリンドが書いた初々しい字で百と書かれている。
「…っ、百階層…ですか。アル、通信器を貸して下さい。カロンに連絡して、念の為に封鎖してもらいましょう」
「お、おう。…うう、やっぱ一大事だよな?」
「それはリンドの探査次第で…」
「う、うわっ!?すごい!なにこれ!?斬ってある、けど、斬ってなかったみたいに戻されてる…!どうやったらこんな…、あっ、なるほど隠れるところに隙間作って、見える方に押し当てて斬り口見えなくしてるのか…!でもこんなぴったりなんて…!レンガの継ぎ目までほとんどズレが無いよ!ぅぁあ、す…すご…!」
どうやら探査した先で見たアレグの切断技巧に身惚れたらしく、頬を染めて興奮するオリンドの言葉にエウフェリオとウェンシェスランとイドリックは微笑んで頷いた。
「無事のようですね。あとはギルドの人員が間に合ってくれるかどうかですけれど。ま、今日まで誰も手を付けなかったということは、そういうことでしょう」
良かった良かった。通信器を手にエウフェリオは周囲の声が入らないよう少し離れたところに移動する。
「ああ。…ふはは。アルにしちゃ気の利いた隠し方をしたもんだが、見付けた奴が居たとしたら、入りたくて堪らなかっただろうな」
「もし居たら、その人たちそれでも入るのやめたってことか。さすがカロンさんが躾けた高ランクの人たち…」
「んっふふ!それもあるけど、アルちゃんが斬った後で偽装したってことは、アルちゃんが危険と判断した場所なんだ。って、みんなわかってるのよ。そんなとこ入っていっちゃうのは命を粗末にする馬鹿たれだけよ」
「なるほど…!そっか、そりゃあ見付けてもやめるか。あんな綺麗な斬り口、見間違えようが無いだろうし」
ぽくんと手を打ったオリンドは、やっぱりすごい、とアレグを振り返った。
今度はアレグが少し離れた場所で赤くなって蹲っていた。
「話が付きましたよ。今日中に七十九階層へ結界張りを送ってくださるそうです。私たちは気にせず動けとのことでした」
「おお。そいつは助かる。なら、任せておいて六十階層に向かうか」
「そうしましょ。はやくスフマカン鶴嘴の実力が見たいわ」
「…っあ!そうじゃん!すぐ行こ!!」
「て、手早く掘れるといいな…」
「いける!いけるってオーリンなら!行こう行こう!」
照れ悶えから復活するや元気も倍増したアレグに引っ張られたオリンドは、一歩目こそ足をもつれさせるところだったが踏ん張り、スフマカン鶴嘴への期待を胸に軽快に走る。
再び付いた勢いのまま五十二階層を走り五十七階層へ抜けた後はエウフェリオの張った防壁の中からアレグとイドリックの立ち回りを見学した。肉眼ではやはりほとんど見えず、できることなら探査スキルを使って感知したかったが、昨日ブルローネに渡した地図の作成に五割ほど魔力を割いていたのだから今日の魔力消費はできる限り節約するしかない。
「っしゃー!六十階層!…どの辺だっけ?」
「えと…、こっち!」
エウフェリオに地図を頼むまでもなく探査をするまでもなく、晶洞から滲み出る濃い魔素の流れに引き寄せられオリンドは行き先を指差した。
「頼もしいですね。先導をお願いできますか?」
「…!もちろん!」
うわあ。嬉しい。
頼られることが毎度天にも昇るほど嬉しくて仕方ない。破顔したオリンドは張られた防壁から出てしまわないよう気を付けつつ、小躍りしそうな足に湧き上がる擽ったい笑みをもにもにと噛み殺しつつ小走りに歩く。
「ここ。この壁から真っ直ぐのとこにあの晶洞がある」
やがて辿り着いた壁の前で、背の留帯から鶴嘴を外しながらオリンドは言った。
「ここかあ!…他のとことなんっも変わらんな…」
「うん。特に隠し通路とかも無いし、本当、どうやってあんなとこに落とし穴作ったんだろ…」
さて、どこから掘ろうか。あまりにも表立ったところから掘るのは忍びなく、晶洞を避けた魔物魔石までの柔らかな地層を探りながらオリンドは辺りを見渡した。
おっと。ここの角からなら目立たないし、後から修復したくなったときに作業もしやすいんじゃないか?
見付けたのは通路の壁を縦に貫く四角い切り込みだ。歩行のための配慮か単なるデザインかは判別しかねるが、人が二人ほど立ち並べるその窪みには天井と床に大きな換気口が開けられている。
「おっ。そこから掘るの?」
軽く見分するオリンドを目敏く捉えたアレグは横から覗き込み、確かに良さげだと見渡した。
「うん。この辺の壁から掘ったら通路から目立たないし、後で修復するのも楽かなって思うんだけど、どうだろ…?」
通路から見て左手の側面を指しオリンドは伺いを立てる。
「おまえさん、そんなところまで考えてんのか…。そうだな、そこなら土砂が溢れても邪魔にもならんだろうし、良いんじゃないか?」
「そうね。換気口だけ塞がないよう気を付ければ良いと思うわ」
「よっしゃ決まり!頼むぜオーリン!」
「う…、うん!」
頑張る!
それはそれは嬉しそうな顔だった。
四人の見守る中、目標の壁に向かい足元を確認して床を踏み締め刃を突き立てる先の目地を指差した後、徐に構えたオリンドは昨日得た感触を元に鶴嘴を振り下ろす。
たつ…ん。
裏庭で耳にした岩を打つ音よりも数段軽い音が聞こえた。
「……ぇっ?」
あまりの手応えの無さというか、手応えが良すぎて物足りなさにオリンドは思わず柄を握る手を確認する。
その視界に遅れて静かにいくつものレンガが降り注いだ。
「…っわあ!ちゃんと刃先入ってた!」
入っていたどころではない。嘴側の刃は根元付近まで壁に埋まっていた。そこを中心に放射状に入ったひびの隙間を広げるようにしてレンガが次々と落ちていく。
「ちゃんと入ってたーって、見てたろオーリン」
「見てたけど…手に受ける感触とあんまり違ってて、夢みたいな感じがしたもんだから…」
面白そうにアレグに言われてオリンドはゆるゆると首を振った。岩でもあの威力だからと随分と加減したはずなのに、これは続けて掘るのが楽しみなような恐ろしいような。力加減を間違えたら破壊しすぎてしまいそうだ。
「うへえ、そんな軽い手応えなのかよ。…俺も機会があったら使ってみたい」
「えっ。…うん。…誰も来れない山奥の崖なら大丈夫じゃないかな…」
アレグの力でこれを。考えたオリンドはぞっとした。間違っても人の居るところで振るわせてはいけない。
「…そうですね…。この威力、アルに触らせるなら人外魔境でなければ…」
「そうだな。人の世界で使って良い組み合わせじゃ無え」
「そうね。死人がごろごろ出ちゃうわ」
「おまえらなあ!」
人を魔王みたいに言いやがって!
憤慨するアレグにオリンドも一緒になって笑い合う。楽しくて笑いすぎて目尻に溜まった涙を親指で拭ってから再び鶴嘴を振るった。掘り始めは嘴で土を穿っていたが途中で気付いて鍬型での掘削に変えたところ、これが面白いように土も石も岩も掻くものだから、ずっと感じていた採掘速度に対する不安はあっという間に払拭された。進むうちに掘り過ぎてしまうことへの恐れもすぐに慣れて無くなり、むしろ浮遊魔法を使って土砂を回収するエウフェリオの方が追い付かないほどの速さが出ている。
「うわ。すげぇなおい。フェリ、俺も土砂の回収手伝うわ」
「ありがとうございますアル。これは予想以上の速度ですね…」
「あっ、ご、ごめん、少し緩める?」
「いやいや、おまえさんは好きな速度で進めろ。こっちを気にして変な速度にするとすぐに疲れちまうぞ」
「ねえ、ある程度進んだら、回収するより空気穴残して後ろに固めてったほうが良いんじゃない?」
「そうですね。もう少し進んだらそうさせてもらいましょうか。距離が詰まるようなら再度鞄に入れていけば何とかなるでしょう」
「わ、…わりと早目に掘り当てられると思うから、それまでおねが、お願い、ね」
掘削の手は止めず、話の流れからオリンドは高鳴る鼓動のままずっと言ってみたくて仕方なかった言葉を口に乗せてみた。反応が怖くて振り返ることもできず目の前の土壁を凝視する。
「ええ。後ろはしっかりと任せてください」
「おう!任せろ!ガンガン掘り進めていいぞ!」
ほぼ同時にエウフェリオとアレグから笑みを含んだ頼もしい声が返ってきて背中が喜びに震えた。
頼ってもらえるだけでなく、頼ることが仲間として普通に受け入れられる。感じ入った心地よい痺れのまま調子に乗り掘り進めることしばし。
「あーん、あたしお手伝いできることが無いわあ。…あっ!お腹空いたら言ってちょうだい。お口にオヤツ運んであげる!」
後を付いて行くだけの罪悪感に堪りかねたウェンシェスランが両手を振り振り音を上げた。
「別に俺たちはとりあえず付いて行くターンで良いんじゃないのか?」
オリンドが気を利かせてほぼ立って歩けるほどの高さで掘ってくれているとはいえ、この狭い穴の中で全員があくせく動くのも効率が悪かろう。
というかオヤツを口に運ぶってなんだ。手伝いが無理矢理にもほどがある。
「だあってえ!…なんかしたいのぉお!」
「だっ、大丈夫!もうすぐ一体目に着くから…っ!」
言うが早いか鶴嘴を背の留帯に戻したオリンドは、魔石を傷付けないようにと残りの土を手で掘り始めた。
「うおーっ!マジか!お、俺も手伝おうか!?」
「ううん、大丈夫。というか、二人は並べないから…少し、待っ…、や。もう出てきた」
ここだ。と重点的に土を退けたオリンドがアレグたちにも見えるよう体をずらした。
「…っ!こ…、これは…!」
首を傾けて覗き込んだイドリックはそこにある物を見て目を剥き続く言葉を失った。
ちょうどオリンドの肩の高さに藤黄色の魔石と化した魔物の顔が浮かぶように覗く。
腫れぼったく厳しい顔の猿に似たこの獣は名を金冠猩猩という、輪のように輝く毛並みを持つ獰猛な魔物だ。
「うわ…うわ、マジか…」
「ちょっ…と、なによ、これ…」
アレグもウェンシェスランも短く呟いたきり二の句が継げない。
「…なんという…。てっきり、死体を埋めたものかと、思っていたのですが…」
辛うじて掠れた声を出せたエウフェリオもそれきり押し黙って、魅入られたように土壁に浮かぶ顔を見詰めた。
その猿は、咆哮の唸りか、あるいは苦悶の呻きを上げているような、今にも動き出しそうな瞬間を切り取られていた。
「ごめんねリンちゃん!あんな話しちゃって、恥ずかしかったわよね!?」
「ごめんなオーリン!この通りだ!」
通路への隠し扉をしっかり閉めて念の為にエウフェリオに隠遁魔法をかけてもらうと、倒れ伏すほど恥ずかしい思いをさせてしまったとウェンシェスランとアレグはイドリックの肩から下ろされたオリンドに平謝りした。
「う…、えっと、…ちが…ちがう。…恥ずかしかったんじゃ、なくて…」
「えっ?…違うの?」
「…う…ん。…あ、あの…。えっと…、調整…するとき、その、…さ、最初からすごく、…あの…、あの…、うう。っあ、ええとっ!だから、その、…っふぇ、…フェリ、は、…か、回路調整の最初、の、ころ…から、…俺のこと、す…、す、す…、…っ…」
受付前広場でウェンシェスランが魔力交換についてアレグに話した言葉を受けて、回路調整の具合を思い返せば初めから蕩けるほど心地よかったと思い至り、ということは、その時すでに好意を寄せてくれていたのかも知れないと考えるだに舞い上がってしまって仕方ないのだと、オリンドはしかし好いてくれていたのかという単語すら舌に乗せられず説明を諦めて両手で顔を覆った。手の平に触れた頬が己でも信じられないほどに熱い。
「…ええ。実は一目惚れです」
オリンドの様子から聞きたいことを汲んだエウフェリオは、そのことでこれほど嬉しく思ってくれるのかと同じく顔を赤らめ傍らにしゃがみ込んで告げた。
「ふぇえぇえええぇえっ!?」
ひ、一目惚れ!?じゃあフィカス森のときに!?…ええっ!?あの時!?あの時って俺、今より酷い姿してたのに!?というか俺に一目惚れ!?
「…なんで!?」
どうかしている。とオリンドは勢い顔を上げた。
「なんでと仰られましても」
こんな愛らしい貴方に惚れない方がどうかしている。
エウフェリオは火照る額に指先を当て首を振った。
「リンちゃんの顔が好みのど真ん中だったのよね」
だけどそれで即時ストーカーと化すのはどうかしているわ。
ウェンシェスランはエウフェリオから相談された過日を振り返った。
「…ちょ。おいおい。それじゃなにか。一目惚れしたからって後を付けたのか」
マジかよせめて声を掛けるなり真っ当な方向でどうにかしようとしろよ。
会話から当日の行為を察したイドリックは眉間に深い皺を刻んで唸る。
「…自警団さんここです」
自警団さんここです。
アレグに至っては言葉と胸中に差異を付けることすらできなかった。
「っ仕方ないでしょう!?街外れから非常に悄気た背中で向かう先はあのフィカス森というだけでただならないのになにやら酷く憂えて思い詰めた様子でしたし驚かせないようにと隠遁魔法を使って声を掛ける機会を窺っていたら立て続けに息を呑む素晴らしい探査スキルを披露されて我も解除も忘れ後を追ってしまったんです!」
「ひゃぅあぁ…」
街外れからだなんて本当に最初の最初から、しかも一目惚れして追われてただなんて。
胸が一杯になり全身が熱くなっていくのを止められそうにない。せめても火を吹きそうな顔を両手で覆い直してオリンドは溶け崩れそうな自分を留めた。
フィカス森では森の入り口で見かけたなどと話されていたことなどすっかり忘れている。
「…あっ…。ここまで聞いてもオッケーっていうかむしろ嬉しいのねリンちゃん…。ならもうこれ以上はお節介だわね。次行きましょか次」
はいはいお開きお開き。
オリンドの盲目具合に舌を巻いたウェンシェスランは手を打って通路の奥に向かった。
「よくわからんけど、とりあえずまた俺が何かやらかしたんじゃなくて良かった」
「いや、これはわかっておかんと、おまえも苦労…、ああ、いや、するとかどうとか以前に、まだ早い話だな。よし忘れろ」
こいつはまだまだ色気より食い気だ。きょとんとするアレグに肩を竦めたイドリックもさっさと奥へ歩き出す。
「立てますか?リンド。ゆっくりでいいですよ」
「うん…大丈夫」
まだ顔が熱い。と、お互い頬の辺りを手で仰ぎつつ立ち上がったオリンドとエウフェリオも幸せにふわつく足元をちょっぴり照れ臭く思いつつ、アレグとともに先に通ったウェンシェスランとイドリックを追って転送陣を潜った。
三十階層の、先日暴かれた隠し通路からずっと先へ行ったところにある既出の転送陣は毎度利用している物だ。ここは慣れた足取りで効率よく進み、三十五階層へ飛ぶ。この階に隠された通路は仕掛けも複雑で、そのためにオリンドの地図記号だけでは読み解くことが難しく結局彼に開けてもらうことになった。例によって目撃した冒険者からは相当などよめきが上がっていたが、これもそのうち風物詩になるかもしれない。
「…と、この先は上級階層の知らせを貼らねば」
開かれた扉を潜ってすぐ、エウフェリオは待ったをかけて振り返った。通路には勇者一行が去った後で入ってみようかと伺う者がちらほらと出始めている。
「ああ。そうね。行き先が五十二階層だものね」
五十一から先の上級階層に潜ることを許されているのはBランクからだ。間違ってもこの通路にCランク以下の冒険者を入れるわけにはいかない。エウフェリオは鞄から取り出した大きな植物紙に筆記用の木炭で太く大きな文字を書き付けて、通路からよく見える場所に貼り付けた。その上から用紙が剥がれないよう結界を施す。
「こんなものでしょうかね。お待たせしました。行きましょうか」
後でギルドに報告して正式な注意看板に取り替えてもらわねばと考えつつ振り返るのと、アレグがあっと声を上げたのはほとんど同時だった。
「…うわっ!そうだ!思い出した!…やっべえ!俺、オーリンの描いた地図で全階層見たとき、一箇所だけ開け方わかんなくて、見えにくいとこ斬って開けちゃったやつがある…!」
「っ何階層の!どの場所ですか!?」
慌てた顔のアレグより数段血相を変えたエウフェリオの大声が隠し通路内に響く。
「ぅえっ、えーと、七十九階層の…、あのすっげえ仕掛け扉?壁?の手前の…、うぁあ、地図!地図見せて!」
ばたばたとエウフェリオの側に駆け寄ったアレグは、抜かりなく開かれた七十九階層の頁に目を走らせた。あの日、このギルド版にオリンドの気になる品と共に転送陣だけでも記入してもらっていて助かったと冷えた背筋に一気に汗が噴き出す。
「七十九階層ですか…。ならば、見付けても迂闊に入るような連中は居ないでしょうね」
一転、階層を聞いて落ち着いたエウフェリオは額の汗を拭い詰めていた息を吐いた。
「そうだな。あそこに行ける奴らなら、馬鹿な気は起こしゃしないだろ」
「大丈夫よアルちゃん。落ち着いて。…リンちゃん、どこの隠し扉だかわかったら、念の為に崩された跡が無いか見てもらってもいいかしら?」
「うん。すぐやる」
「うぉあぁ~…、ありがとうみんな…。…あっ、た。これだ。ここの転送陣」
見付けた。とアレグが指し示したのは先日開かれた城壁と思しき壁から、休憩地点のほうへ五分ほども歩いた地点にある隠し部屋だった。覚えたてのオリンドが書いた初々しい字で百と書かれている。
「…っ、百階層…ですか。アル、通信器を貸して下さい。カロンに連絡して、念の為に封鎖してもらいましょう」
「お、おう。…うう、やっぱ一大事だよな?」
「それはリンドの探査次第で…」
「う、うわっ!?すごい!なにこれ!?斬ってある、けど、斬ってなかったみたいに戻されてる…!どうやったらこんな…、あっ、なるほど隠れるところに隙間作って、見える方に押し当てて斬り口見えなくしてるのか…!でもこんなぴったりなんて…!レンガの継ぎ目までほとんどズレが無いよ!ぅぁあ、す…すご…!」
どうやら探査した先で見たアレグの切断技巧に身惚れたらしく、頬を染めて興奮するオリンドの言葉にエウフェリオとウェンシェスランとイドリックは微笑んで頷いた。
「無事のようですね。あとはギルドの人員が間に合ってくれるかどうかですけれど。ま、今日まで誰も手を付けなかったということは、そういうことでしょう」
良かった良かった。通信器を手にエウフェリオは周囲の声が入らないよう少し離れたところに移動する。
「ああ。…ふはは。アルにしちゃ気の利いた隠し方をしたもんだが、見付けた奴が居たとしたら、入りたくて堪らなかっただろうな」
「もし居たら、その人たちそれでも入るのやめたってことか。さすがカロンさんが躾けた高ランクの人たち…」
「んっふふ!それもあるけど、アルちゃんが斬った後で偽装したってことは、アルちゃんが危険と判断した場所なんだ。って、みんなわかってるのよ。そんなとこ入っていっちゃうのは命を粗末にする馬鹿たれだけよ」
「なるほど…!そっか、そりゃあ見付けてもやめるか。あんな綺麗な斬り口、見間違えようが無いだろうし」
ぽくんと手を打ったオリンドは、やっぱりすごい、とアレグを振り返った。
今度はアレグが少し離れた場所で赤くなって蹲っていた。
「話が付きましたよ。今日中に七十九階層へ結界張りを送ってくださるそうです。私たちは気にせず動けとのことでした」
「おお。そいつは助かる。なら、任せておいて六十階層に向かうか」
「そうしましょ。はやくスフマカン鶴嘴の実力が見たいわ」
「…っあ!そうじゃん!すぐ行こ!!」
「て、手早く掘れるといいな…」
「いける!いけるってオーリンなら!行こう行こう!」
照れ悶えから復活するや元気も倍増したアレグに引っ張られたオリンドは、一歩目こそ足をもつれさせるところだったが踏ん張り、スフマカン鶴嘴への期待を胸に軽快に走る。
再び付いた勢いのまま五十二階層を走り五十七階層へ抜けた後はエウフェリオの張った防壁の中からアレグとイドリックの立ち回りを見学した。肉眼ではやはりほとんど見えず、できることなら探査スキルを使って感知したかったが、昨日ブルローネに渡した地図の作成に五割ほど魔力を割いていたのだから今日の魔力消費はできる限り節約するしかない。
「っしゃー!六十階層!…どの辺だっけ?」
「えと…、こっち!」
エウフェリオに地図を頼むまでもなく探査をするまでもなく、晶洞から滲み出る濃い魔素の流れに引き寄せられオリンドは行き先を指差した。
「頼もしいですね。先導をお願いできますか?」
「…!もちろん!」
うわあ。嬉しい。
頼られることが毎度天にも昇るほど嬉しくて仕方ない。破顔したオリンドは張られた防壁から出てしまわないよう気を付けつつ、小躍りしそうな足に湧き上がる擽ったい笑みをもにもにと噛み殺しつつ小走りに歩く。
「ここ。この壁から真っ直ぐのとこにあの晶洞がある」
やがて辿り着いた壁の前で、背の留帯から鶴嘴を外しながらオリンドは言った。
「ここかあ!…他のとことなんっも変わらんな…」
「うん。特に隠し通路とかも無いし、本当、どうやってあんなとこに落とし穴作ったんだろ…」
さて、どこから掘ろうか。あまりにも表立ったところから掘るのは忍びなく、晶洞を避けた魔物魔石までの柔らかな地層を探りながらオリンドは辺りを見渡した。
おっと。ここの角からなら目立たないし、後から修復したくなったときに作業もしやすいんじゃないか?
見付けたのは通路の壁を縦に貫く四角い切り込みだ。歩行のための配慮か単なるデザインかは判別しかねるが、人が二人ほど立ち並べるその窪みには天井と床に大きな換気口が開けられている。
「おっ。そこから掘るの?」
軽く見分するオリンドを目敏く捉えたアレグは横から覗き込み、確かに良さげだと見渡した。
「うん。この辺の壁から掘ったら通路から目立たないし、後で修復するのも楽かなって思うんだけど、どうだろ…?」
通路から見て左手の側面を指しオリンドは伺いを立てる。
「おまえさん、そんなところまで考えてんのか…。そうだな、そこなら土砂が溢れても邪魔にもならんだろうし、良いんじゃないか?」
「そうね。換気口だけ塞がないよう気を付ければ良いと思うわ」
「よっしゃ決まり!頼むぜオーリン!」
「う…、うん!」
頑張る!
それはそれは嬉しそうな顔だった。
四人の見守る中、目標の壁に向かい足元を確認して床を踏み締め刃を突き立てる先の目地を指差した後、徐に構えたオリンドは昨日得た感触を元に鶴嘴を振り下ろす。
たつ…ん。
裏庭で耳にした岩を打つ音よりも数段軽い音が聞こえた。
「……ぇっ?」
あまりの手応えの無さというか、手応えが良すぎて物足りなさにオリンドは思わず柄を握る手を確認する。
その視界に遅れて静かにいくつものレンガが降り注いだ。
「…っわあ!ちゃんと刃先入ってた!」
入っていたどころではない。嘴側の刃は根元付近まで壁に埋まっていた。そこを中心に放射状に入ったひびの隙間を広げるようにしてレンガが次々と落ちていく。
「ちゃんと入ってたーって、見てたろオーリン」
「見てたけど…手に受ける感触とあんまり違ってて、夢みたいな感じがしたもんだから…」
面白そうにアレグに言われてオリンドはゆるゆると首を振った。岩でもあの威力だからと随分と加減したはずなのに、これは続けて掘るのが楽しみなような恐ろしいような。力加減を間違えたら破壊しすぎてしまいそうだ。
「うへえ、そんな軽い手応えなのかよ。…俺も機会があったら使ってみたい」
「えっ。…うん。…誰も来れない山奥の崖なら大丈夫じゃないかな…」
アレグの力でこれを。考えたオリンドはぞっとした。間違っても人の居るところで振るわせてはいけない。
「…そうですね…。この威力、アルに触らせるなら人外魔境でなければ…」
「そうだな。人の世界で使って良い組み合わせじゃ無え」
「そうね。死人がごろごろ出ちゃうわ」
「おまえらなあ!」
人を魔王みたいに言いやがって!
憤慨するアレグにオリンドも一緒になって笑い合う。楽しくて笑いすぎて目尻に溜まった涙を親指で拭ってから再び鶴嘴を振るった。掘り始めは嘴で土を穿っていたが途中で気付いて鍬型での掘削に変えたところ、これが面白いように土も石も岩も掻くものだから、ずっと感じていた採掘速度に対する不安はあっという間に払拭された。進むうちに掘り過ぎてしまうことへの恐れもすぐに慣れて無くなり、むしろ浮遊魔法を使って土砂を回収するエウフェリオの方が追い付かないほどの速さが出ている。
「うわ。すげぇなおい。フェリ、俺も土砂の回収手伝うわ」
「ありがとうございますアル。これは予想以上の速度ですね…」
「あっ、ご、ごめん、少し緩める?」
「いやいや、おまえさんは好きな速度で進めろ。こっちを気にして変な速度にするとすぐに疲れちまうぞ」
「ねえ、ある程度進んだら、回収するより空気穴残して後ろに固めてったほうが良いんじゃない?」
「そうですね。もう少し進んだらそうさせてもらいましょうか。距離が詰まるようなら再度鞄に入れていけば何とかなるでしょう」
「わ、…わりと早目に掘り当てられると思うから、それまでおねが、お願い、ね」
掘削の手は止めず、話の流れからオリンドは高鳴る鼓動のままずっと言ってみたくて仕方なかった言葉を口に乗せてみた。反応が怖くて振り返ることもできず目の前の土壁を凝視する。
「ええ。後ろはしっかりと任せてください」
「おう!任せろ!ガンガン掘り進めていいぞ!」
ほぼ同時にエウフェリオとアレグから笑みを含んだ頼もしい声が返ってきて背中が喜びに震えた。
頼ってもらえるだけでなく、頼ることが仲間として普通に受け入れられる。感じ入った心地よい痺れのまま調子に乗り掘り進めることしばし。
「あーん、あたしお手伝いできることが無いわあ。…あっ!お腹空いたら言ってちょうだい。お口にオヤツ運んであげる!」
後を付いて行くだけの罪悪感に堪りかねたウェンシェスランが両手を振り振り音を上げた。
「別に俺たちはとりあえず付いて行くターンで良いんじゃないのか?」
オリンドが気を利かせてほぼ立って歩けるほどの高さで掘ってくれているとはいえ、この狭い穴の中で全員があくせく動くのも効率が悪かろう。
というかオヤツを口に運ぶってなんだ。手伝いが無理矢理にもほどがある。
「だあってえ!…なんかしたいのぉお!」
「だっ、大丈夫!もうすぐ一体目に着くから…っ!」
言うが早いか鶴嘴を背の留帯に戻したオリンドは、魔石を傷付けないようにと残りの土を手で掘り始めた。
「うおーっ!マジか!お、俺も手伝おうか!?」
「ううん、大丈夫。というか、二人は並べないから…少し、待っ…、や。もう出てきた」
ここだ。と重点的に土を退けたオリンドがアレグたちにも見えるよう体をずらした。
「…っ!こ…、これは…!」
首を傾けて覗き込んだイドリックはそこにある物を見て目を剥き続く言葉を失った。
ちょうどオリンドの肩の高さに藤黄色の魔石と化した魔物の顔が浮かぶように覗く。
腫れぼったく厳しい顔の猿に似たこの獣は名を金冠猩猩という、輪のように輝く毛並みを持つ獰猛な魔物だ。
「うわ…うわ、マジか…」
「ちょっ…と、なによ、これ…」
アレグもウェンシェスランも短く呟いたきり二の句が継げない。
「…なんという…。てっきり、死体を埋めたものかと、思っていたのですが…」
辛うじて掠れた声を出せたエウフェリオもそれきり押し黙って、魅入られたように土壁に浮かぶ顔を見詰めた。
その猿は、咆哮の唸りか、あるいは苦悶の呻きを上げているような、今にも動き出しそうな瞬間を切り取られていた。
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