【完結】となりに引っ越してきた年下イケメンの性癖は、絶対にヒミツです!?

高野百加

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帰郷とおでんと砂浜と

帰郷とおでんと砂浜と④

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──みお、未央。

誰か呼んでる。おばあちゃんの声だ。
夢かな、おばあちゃんの夢、久しぶり。

『未央! あんたほんとに大丈夫なの? 仮にも社長夫人になるかもしれないのに』

『おばあちゃん、いきなり説教? おめでとうとか言えないわけ?』

『いや、あまりのことにおばあちゃんも驚いて……。そうね、まずはおめでとう。おばあちゃん安心したわ』

『ありがとう。たしかに不安もあるよ。わたしなんかでいいのかなって』

『郡司さん、いい人そうだし、なにより未央が幸せでいられるなら大丈夫よ』

『自分しか、自分を幸せにできない? だっけ。おばあちゃんの名言』

『名言って……。まあ確かに。自分を幸せにしてあげられるのは自分だけ。逆もしかりね』

『はいはい、わかりました。その出来事が不幸にさせるんじゃない。不幸だと思う心があるだけ、でしょ?』

『未央、ちゃんとおばあちゃんの話し聞いてたんだね』

『おばあちゃん、いろいろありがとうね。幸せになります』

『はいはい、本当におめでとう。体に気をつけるのよ──』柔らかいものが口に当たっている。なんだろう、すごい幸せ……。

「みお、起きて……」

パッと目を開けると亮介の顔がすぐ近くにあった。

「もうすぐ品川着くよ」

「あ、あぁ。ありがとう」

「なんか寝言むにゃむにゃ言ってたよ」

「うん、久しぶりにおばあちゃんの夢見てた。結婚おめでとうだって」

「そっか……それならよかった。降りる仕度しよっか」

亮介はなんだかとてもうれしそうな顔つきだった。

品川駅から在来線に乗り換える。相変わらず東京の夜景はきれいだ。

「未央……」

電車に揺られながら、亮介が口を開く。
ん? と未央は顔を覗き込んだ。

「ごめんっ、なんかもっとロマンティックなプロポーズしてあげたかったんだけど、お墓参りして、バス停にふたりでいたらどうしても言いたくなっちゃって……」

亮介は顔が真っ赤だ。

「未央と付き合った頃から、いつか結婚したいなとは思ってたんだけど、一緒に暮らすようになったら、もう早くそうなりたくてしかたなくて。でももっとホテルで食事しながらとか、サプライズとか──」

未央はそっと亮介の両手を握った。亮介は固まって、未央をじっと見つめる。
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