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月が変わって9月、まだまだ暑さが厳しいが、朝晩が少し涼しくなった。
museとのコラボ企画も無事にまとまり、大学いもサンドが採用された。もし好評なら、全国展開もありえるとのこと。そうなったら奈緒のレシピで作ったものが全国で食べられることになる。なんか、そうなりそうな予感。
未央はまだ、レシピ開発部異動の返事をしていなかった。エリアマネージャーの橋本が、予定していた日に来られなくなり、先のばしになっていたからだ。
返事はもちろんYES! 未央は亮介にも、もう一度相談したが、やってみたらいいと背中を押された。玲奈にもしつこいくらいやれと言われて踏ん切りがついた。
あの奈緒ですら、やらないなら私がやるとハッパをかけてきた。
やれるかどうかは、わからないけど、挑戦はしてみる。
奈緒は、コラボ企画を成功させて少し余裕ができたのか、トラブルもめっきり減ってがんばっていた。未央にはあれから鉾先を向けることもない。
むしろ、あれこれ言い合える仲になり、他の講師が驚いている。
「篠田先生、今度私も11月のスタジオ限定メニューのコンペ、参加することになったんで」
「そう。だからなに?」
「本気できてくださいよ。のれんに腕押しじゃ面白くないんで」
血の通わない冷たい会話を毎回繰り広げるので、周囲は震え上がって心配してくれているが、当の本人たちはまったく気にしていない。
むしろ、未央は言い返すことが少しずつできるようになって、感謝すらしていた。「へぇ、未央ずいぶんかわったね」
亮介は、奈緒との話を聞いて驚いたようだ。付き合うようになってひと月。時間の合う時は未央の部屋で一緒に夕食を食べるようになっていた。きょうは疲れたので、商店街で買った焼き鳥にごはんと味噌汁。
亮介は未央が惣菜を買っても文句を言うことはない。亮介の仕事が早く終わる時は、料理を作って待っていてくれることもある。未央にはそれが、ありがたくてうれしかった。
「新田先生とやりあえるようになって自信がついてきたよ」
「なんかわかんないけど、おめでとう」
「レシピ開発部は、こんなもんじゃないと思うけど、がんばる」
「そういえば、あきらもそっちになかなかいけなくて、申し訳ないって言ってましたよ」
あきらというのは亮介の兄で未央の上司。いまは女性で、「橋本あき」というが、もともとはあきらという名前だったので、亮介はそう呼んでいた。
「たぶん今月から新しいスタジオがオープンしたから、そっちが大変なんだと思う」
「はやく返事できるといいですね」
「チーフには伝えたんだけどね」
未央は新天地への期待が膨らんでいた。レシピ本も何冊も買い込んで研究に余念がない。
亮介は少し心配しながらも、その姿を見守っている。未央に試食をどんどんさせられるので、朝晩のランニングと筋トレが日課になった。「未央、リクエスト受付中なんだけど」
亮介は、皿洗いを一緒にしながら声をかけてきた。リクエスト? と聞き返すとキャラ変の。と返事をした。
月が変わって9月、まだまだ暑さが厳しいが、朝晩が少し涼しくなった。
museとのコラボ企画も無事にまとまり、大学いもサンドが採用された。もし好評なら、全国展開もありえるとのこと。そうなったら奈緒のレシピで作ったものが全国で食べられることになる。なんか、そうなりそうな予感。
未央はまだ、レシピ開発部異動の返事をしていなかった。エリアマネージャーの橋本が、予定していた日に来られなくなり、先のばしになっていたからだ。
返事はもちろんYES! 未央は亮介にも、もう一度相談したが、やってみたらいいと背中を押された。玲奈にもしつこいくらいやれと言われて踏ん切りがついた。
あの奈緒ですら、やらないなら私がやるとハッパをかけてきた。
やれるかどうかは、わからないけど、挑戦はしてみる。
奈緒は、コラボ企画を成功させて少し余裕ができたのか、トラブルもめっきり減ってがんばっていた。未央にはあれから鉾先を向けることもない。
むしろ、あれこれ言い合える仲になり、他の講師が驚いている。
「篠田先生、今度私も11月のスタジオ限定メニューのコンペ、参加することになったんで」
「そう。だからなに?」
「本気できてくださいよ。のれんに腕押しじゃ面白くないんで」
血の通わない冷たい会話を毎回繰り広げるので、周囲は震え上がって心配してくれているが、当の本人たちはまったく気にしていない。
むしろ、未央は言い返すことが少しずつできるようになって、感謝すらしていた。「へぇ、未央ずいぶんかわったね」
亮介は、奈緒との話を聞いて驚いたようだ。付き合うようになってひと月。時間の合う時は未央の部屋で一緒に夕食を食べるようになっていた。きょうは疲れたので、商店街で買った焼き鳥にごはんと味噌汁。
亮介は未央が惣菜を買っても文句を言うことはない。亮介の仕事が早く終わる時は、料理を作って待っていてくれることもある。未央にはそれが、ありがたくてうれしかった。
「新田先生とやりあえるようになって自信がついてきたよ」
「なんかわかんないけど、おめでとう」
「レシピ開発部は、こんなもんじゃないと思うけど、がんばる」
「そういえば、あきらもそっちになかなかいけなくて、申し訳ないって言ってましたよ」
あきらというのは亮介の兄で未央の上司。いまは女性で、「橋本あき」というが、もともとはあきらという名前だったので、亮介はそう呼んでいた。
「たぶん今月から新しいスタジオがオープンしたから、そっちが大変なんだと思う」
「はやく返事できるといいですね」
「チーフには伝えたんだけどね」
未央は新天地への期待が膨らんでいた。レシピ本も何冊も買い込んで研究に余念がない。
亮介は少し心配しながらも、その姿を見守っている。未央に試食をどんどんさせられるので、朝晩のランニングと筋トレが日課になった。「未央、リクエスト受付中なんだけど」
亮介は、皿洗いを一緒にしながら声をかけてきた。リクエスト? と聞き返すとキャラ変の。と返事をした。
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