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カフェラテの人
カフェラテの人④
しおりを挟む「ぐすっ……ぐすっ……」
「おばあさんは未央さんのこと、いつも見てますよ、きっと」
未央は、ふんふんとうなづく。
「ごめっ……、郡司くんの肩、鼻水だらけ」
「大丈夫です。気にしないで。きょうはもう休んで? あと片付けときますから
」
泣きすぎて頭が痛い。亮介は未央をベッドに横にならせて、そっと布団をかけた。
未央が手を出すと、亮介はこたえるように手をつないだ。
「郡司くん……ありがと──」
すーすーとすぐ寝息がして、未央はすぐ眠りに落ちた。
亮介は未央の頭をそっとなで、その寝顔をじっと見る。
──おばあさんに、実は頼まれてたんです。未央をよろしくって。
本気で未央さんのこと、好きになるとは、そのときは思ってなかったですけど。
それをまだ、伝えられずにいるのが、亮介はもどかしくてたまらなかった。
未央さんのおばあさんに会ったのは、もうずいぶん前のことだ──
「あなたが郡司さん? 未央の祖母です。いつもお世話になってるみたいで」
初老のこぎれいな女性はmuseを訪れて、そう告げた。亮介は未央と言われてピンと来なかったが、その女性と顔が似ている客をひとり思いついた。
たぶんいつものカフェラテの人かな? と思い、話を続ける。
「はい、よく来てくださってます。あの……」
「突然ごめんなさい。あの子がこのお店の郡司さんが素敵だってあんまり言うものだから、ごあいさつに。突然きて、すみません」
「いえ、大丈夫です」
「あの子のこと、ときどき気にかけてくださればありがたいです」
「あ……ええ、はい」
「あの子、自分の気持ちををハッキリ言えないところがあってね、ためこむことが多くて。もし様子が変だったら、ときどき励ましてやってください」
そう言って、ぺこりと頭を下げた。んんっ? なんだ? なにがしたいんだ、このおばあさんは。
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