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シャイロック 20
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20
足早にサラリーマンたちが駅のほうに向かっていく。時々若い男がサラリーマンに声をかけるが、サラリーマンたちは手を大きく振ってすり抜けていく。
エイジス。安っぽい電飾の看板にカタカナで書かれたその文字を見ていると、胸の痣が痛んでくる。今すぐ中に飛び込んで、中にいる連中を一人残らず殺してやりたい。
「関係ない奴もいるだろ」
路地から店を見るシュウジの後ろから、テルハが彼を引っ張る。
わかってる。だから、こうやって店に入っていく奴を見ているんじゃないか。
「何かわかったら教えてくれ」
「うん」
店から出てくる男が、道行くサラリーマンに声をかける。
シュウジは物陰から指差す。
「あれは?」
「うるさい。黙ってて」
和也の携帯があれば写真が取ってあるかもしれない。奪われて消されてるかもしれないが……。
「静かにしてよ」
だから、人間はそういわれると逆に考えるものなの。
「君、真面目にやってよ」
やってるよ。
「やってないから言ってるの」
はいはい。ボーっとしてればいいんだろ。ボー。ボー。ボーっと。
「だからー」
テルハの肘がシュウジのわき腹にめり込む。うっと声を詰まらせるシュウジ。
何すんだよ。
「べーつーにー」
テルハが後ろを振り返った。シュウジも釣られて振り返ろうとした瞬間、大きな拳がシュウジの顔面を襲った。シュウジはそのまま壁に激突して地面に転がる。
一瞬躊躇したテルハの腕を、ガタイのいい色黒男が掴み上げる。
「ナニシテル?」
にこりと笑う男の視線の奥は笑っていない。もがくテルハを吊り上げる色黒男の脇から、数人の男たちが現れる。
「こいつらか? 電話の連中は」
猫背の男が倒れているシュウジを蹴飛ばす。シュウジは意識無く空を見上げる。
「事務所でお話しようか。お嬢さん」
猫背の男がテルハに顔を近づける。
正面の奥に大きなデスクがあり、その前にソファーが二列並ぶ。右手には事務机が三つほどあったが、その上には雑誌やコンビニ袋があるくらいで、ここで事務作業が行われている様子は無かった。
入り口付近に手足を縛られたシュウジが床に転がっている。顔面の痣が痛々しかった。黒の革張りのソファーに猫背の男が腰掛け、入り口を色黒男がふさいでいる。そのほかに五人の男とテルハが立っている。
「どうぞお嬢さん」
猫背男がテルハに席を進める。テルハは入り口付近に転がっているシュウジを見る。
「大丈夫さ。まだ生きてる」
「どういうこと?」
「何が?」
テルハは猫背男と向かい合うように座る。男と目を合わせてテルハが小さなため息をつく。
「何で僕たちがここにいるのかってこと」
「少し前に同じところに立っていた男がいてね」
猫背男は、両手を組んでテルハに顔を近づける。
「どういうことかな?」
「偶然よ。私たちはあそこで喧嘩をしてただけよ」
猫背男が笑った。周囲の男たちも笑う。
テルハは左右に目を配る。深いため息をつく。
「わかったわ。確かにここを見ていたわ」
「何故?」
テルハはシュウジを指差す。
「知らないわよ。そいつがここに用があるって言うんだもん。起こして聞いたら?」
猫背男は、「ふうむ」と唸る。
「縛ってあるガキが怖いなんてわけないわよね?」
テルハが笑うと、後ろから男が彼女の頭を叩く。すると、猫背男が手を振ってそれをやめさせる。
「こいつらは流儀が大陸流だから、行儀が悪くていけないんだ。悪いね」
猫背男は、親指でシュウジを指差し、顎を上げた。色黒男がサバイバルナイフを取り出してシュウジの髪をつかみナイフを首元に当てる。
「ちょっと」
テルハが立ち上がりかけると、猫背男が手を上げてそれを制する。テルハはソファーに座る。
「保険だ。ここで首を切る気はない。血まみれなんてスマートじゃない」
一人の男がグラスに琥珀色の液体を入れて持ってくる。匂いをシュウジにかがせると、シュウジの目が開く。同時に身を捩るシュウジ。そのクビにサバイバルナイフの刃が当たる。軽く当たった刃がシュウジの肌を切る。その感触に、シュウジは身動きを止める。
「どこだここは!」
テルハがシュウジを見る。
「落ち着いて」
シュウジの瞳がテルハを捉える。テルハもシュウジを見つめる。
「お前は、誰だ?」
猫背男がシュウジをにらみつける。
「……友達を探しに来た」
「そうそう、そう言ってたわ。それより、彼の指折れてないわよね? 彼ピアノを弾くのよ。指が怪我してたら、大変だわ」
棒読み調で言うテルハの頭を男が押さえる。
「お前は黙ってろ」
誰がピアノを弾くって? 指は折れてないよ。縛られてるだけさ。拍手だって出来る。
テルハがシュウジに瞬きを一度、ゆっくりとした。猫背の男がシュウジに近づく。
「友達だと?」
シュウジはすぐに、お前たちが殺した和也だ! と言いそうになったが、テルハが瞬きを素早く二回した。
落ち着けってことか? 何かの合図か? わかりにくい。
テルハがむっとした顔でゆっくり瞬きをする。
なんだ? また合図か? 一回は「はい」ってことでいいのか? 早くてわかんないんだよな。
テルハの瞬きはゆっくり一回。
「友達って言うのは誰だ?」
和也のことを言っていいのか?
テルハの瞬きは一回、ゆっくりだった。
「和也って言うんだ」
周囲を見る。その途中でテルハを自然に見る。合図があることがバレたら流石にまずいだろう。状況は、悪化する一方だ。
「見つかったのか?」
テルハが二回瞬きをする。いいえと答えろ、か。
「いや、まだだ」
「最近、若い男がここを探ってた。そいつかな?」
「どんな人?」
猫背男がテルハに怒鳴る。
「お前は黙ってろと言っただろうが!」
テルハは両手を挙げて目を閉じる。
「年は俺と同じくらいか?」
「そうだな」
「垂れ目だったか?」
「んー、みてねえな」
猫背男の言葉にテルハが付け足しをする。
「……俺が見たときには、顔は腫れて死んでたからな。そう。和也を殺したのはこいつらよ。もういいわ。僕たちも殺す気よ」
猫背男ともう一人がテルハを驚きの表情で見た。
パチン。
色黒男が、猫背男の膝に向かって倒れていく。猫背男が視線を落とすと、サバイバルナイフを咥えたシュウジが色黒男の下から這い出てくる。
「なんだ? 狙撃か?」
「窓の外よ!」
テルハが床に伏せながら叫ぶ。釣られて男たちが床に伏せる。
パチン。パチン。パチン。
飛び込んだ先で三人がビクンと震えた後すぐに動かなくなる。
「狙撃じゃない!」
パチン。
立ち上がった男が、膝から床に崩れ落ちる。
残されたのは猫背男だけだった。
「何が起きてる?」
事務所の出口に駆け出す猫背男。
パチン。
片足がもつれてドアに激突する。
パチン。
ドアノブにかけた右手がだらりと力なく落ちる。ドアを背に振り返ると、テルハがシュウジの背中にまたがるようにして縄を切っている。
「何だ?」
手足が自由になると、シュウジは二度指を鳴らした。そして、猫背男の首を掴むとソファーまで引きずっていった。猫背男は芋虫のように身をよじるが抵抗は空しいだけだった。
「和也を殺したのはお前だな?」
「何のことだ?」
「そうよ」
「嘘をつくな女!」
「嘘つきはあんたよ」
「俺がもっと早くお前たちを殺してたら、和也は死ななかったのにな」
シュウジは猫背男を見つめる。
「不思議なもんだよな。それが運命って言うのか」
「俺をどうするつもりだ?」
「殺してやりたいけど、どうしようかな」
「あいつの携帯なら、そのデカブツが持ってるぞ」
シュウジは、色黒男を振り返る。その重そうな体をひっくり返し、ポケットをまさぐる。三度目にして和也の携帯を見つける。
「捨てろって言ったんだがな。電源を切れば大丈夫だとかぬかしやがって、後でなんかを入れ替えるって言ってたぞ」
携帯の電源を入れてみる。電源は入らない。壊れている。
「違う違う。多分充電が切れてるだけだと思う」
「俺を助けてくれたら、お前らが来ることを教えてくれた奴の話をしてやってもいいぜ」
「何?」
「必要ない。あの男よ。白石って奴」
「何であいつが?」
「わかんないけど、あいつに関わるのはやめよう」
「あいつにも責任があるのに?」
「逆恨みだよ」
「嫌だね。あいつが何か知っているなら、あいつにも罰を与える」
「君は、自分が許せないのを人のせいにしてるだけだ!」
「違う!」
「そうだね」
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「知ってるよ。そんなこと」
「じゃあ、俺も助けてくれ」
シュウジとテルハがあわせて向く。
「ダメ。僕たちをどう殺そうか考えてるもの」
「じゃあ無理だな」
パチン。
シュウジが指を鳴らすと、猫背男の歯が床にボロボロと落ちていく。筋肉の支えを失った下顎がだらりと下がる。口の中の舌も消えてなくなっていた。露出した骨が奇妙な存在だった。血は流れてこない。猫背男が喉から出る空気で抗議の音を出す。
「話せないあんたが、この状況をどう説明するか、見物だな」
「放っておくの?」
もう何も出来ないさ。
「そんなことない」
「もう、うんざりだ」
叫び続ける猫背男を残して、シュウジとテルハは事務所を出て行った。
足早にサラリーマンたちが駅のほうに向かっていく。時々若い男がサラリーマンに声をかけるが、サラリーマンたちは手を大きく振ってすり抜けていく。
エイジス。安っぽい電飾の看板にカタカナで書かれたその文字を見ていると、胸の痣が痛んでくる。今すぐ中に飛び込んで、中にいる連中を一人残らず殺してやりたい。
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「うん」
店から出てくる男が、道行くサラリーマンに声をかける。
シュウジは物陰から指差す。
「あれは?」
「うるさい。黙ってて」
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だから、人間はそういわれると逆に考えるものなの。
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「だからー」
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何すんだよ。
「べーつーにー」
テルハが後ろを振り返った。シュウジも釣られて振り返ろうとした瞬間、大きな拳がシュウジの顔面を襲った。シュウジはそのまま壁に激突して地面に転がる。
一瞬躊躇したテルハの腕を、ガタイのいい色黒男が掴み上げる。
「ナニシテル?」
にこりと笑う男の視線の奥は笑っていない。もがくテルハを吊り上げる色黒男の脇から、数人の男たちが現れる。
「こいつらか? 電話の連中は」
猫背の男が倒れているシュウジを蹴飛ばす。シュウジは意識無く空を見上げる。
「事務所でお話しようか。お嬢さん」
猫背の男がテルハに顔を近づける。
正面の奥に大きなデスクがあり、その前にソファーが二列並ぶ。右手には事務机が三つほどあったが、その上には雑誌やコンビニ袋があるくらいで、ここで事務作業が行われている様子は無かった。
入り口付近に手足を縛られたシュウジが床に転がっている。顔面の痣が痛々しかった。黒の革張りのソファーに猫背の男が腰掛け、入り口を色黒男がふさいでいる。そのほかに五人の男とテルハが立っている。
「どうぞお嬢さん」
猫背男がテルハに席を進める。テルハは入り口付近に転がっているシュウジを見る。
「大丈夫さ。まだ生きてる」
「どういうこと?」
「何が?」
テルハは猫背男と向かい合うように座る。男と目を合わせてテルハが小さなため息をつく。
「何で僕たちがここにいるのかってこと」
「少し前に同じところに立っていた男がいてね」
猫背男は、両手を組んでテルハに顔を近づける。
「どういうことかな?」
「偶然よ。私たちはあそこで喧嘩をしてただけよ」
猫背男が笑った。周囲の男たちも笑う。
テルハは左右に目を配る。深いため息をつく。
「わかったわ。確かにここを見ていたわ」
「何故?」
テルハはシュウジを指差す。
「知らないわよ。そいつがここに用があるって言うんだもん。起こして聞いたら?」
猫背男は、「ふうむ」と唸る。
「縛ってあるガキが怖いなんてわけないわよね?」
テルハが笑うと、後ろから男が彼女の頭を叩く。すると、猫背男が手を振ってそれをやめさせる。
「こいつらは流儀が大陸流だから、行儀が悪くていけないんだ。悪いね」
猫背男は、親指でシュウジを指差し、顎を上げた。色黒男がサバイバルナイフを取り出してシュウジの髪をつかみナイフを首元に当てる。
「ちょっと」
テルハが立ち上がりかけると、猫背男が手を上げてそれを制する。テルハはソファーに座る。
「保険だ。ここで首を切る気はない。血まみれなんてスマートじゃない」
一人の男がグラスに琥珀色の液体を入れて持ってくる。匂いをシュウジにかがせると、シュウジの目が開く。同時に身を捩るシュウジ。そのクビにサバイバルナイフの刃が当たる。軽く当たった刃がシュウジの肌を切る。その感触に、シュウジは身動きを止める。
「どこだここは!」
テルハがシュウジを見る。
「落ち着いて」
シュウジの瞳がテルハを捉える。テルハもシュウジを見つめる。
「お前は、誰だ?」
猫背男がシュウジをにらみつける。
「……友達を探しに来た」
「そうそう、そう言ってたわ。それより、彼の指折れてないわよね? 彼ピアノを弾くのよ。指が怪我してたら、大変だわ」
棒読み調で言うテルハの頭を男が押さえる。
「お前は黙ってろ」
誰がピアノを弾くって? 指は折れてないよ。縛られてるだけさ。拍手だって出来る。
テルハがシュウジに瞬きを一度、ゆっくりとした。猫背の男がシュウジに近づく。
「友達だと?」
シュウジはすぐに、お前たちが殺した和也だ! と言いそうになったが、テルハが瞬きを素早く二回した。
落ち着けってことか? 何かの合図か? わかりにくい。
テルハがむっとした顔でゆっくり瞬きをする。
なんだ? また合図か? 一回は「はい」ってことでいいのか? 早くてわかんないんだよな。
テルハの瞬きはゆっくり一回。
「友達って言うのは誰だ?」
和也のことを言っていいのか?
テルハの瞬きは一回、ゆっくりだった。
「和也って言うんだ」
周囲を見る。その途中でテルハを自然に見る。合図があることがバレたら流石にまずいだろう。状況は、悪化する一方だ。
「見つかったのか?」
テルハが二回瞬きをする。いいえと答えろ、か。
「いや、まだだ」
「最近、若い男がここを探ってた。そいつかな?」
「どんな人?」
猫背男がテルハに怒鳴る。
「お前は黙ってろと言っただろうが!」
テルハは両手を挙げて目を閉じる。
「年は俺と同じくらいか?」
「そうだな」
「垂れ目だったか?」
「んー、みてねえな」
猫背男の言葉にテルハが付け足しをする。
「……俺が見たときには、顔は腫れて死んでたからな。そう。和也を殺したのはこいつらよ。もういいわ。僕たちも殺す気よ」
猫背男ともう一人がテルハを驚きの表情で見た。
パチン。
色黒男が、猫背男の膝に向かって倒れていく。猫背男が視線を落とすと、サバイバルナイフを咥えたシュウジが色黒男の下から這い出てくる。
「なんだ? 狙撃か?」
「窓の外よ!」
テルハが床に伏せながら叫ぶ。釣られて男たちが床に伏せる。
パチン。パチン。パチン。
飛び込んだ先で三人がビクンと震えた後すぐに動かなくなる。
「狙撃じゃない!」
パチン。
立ち上がった男が、膝から床に崩れ落ちる。
残されたのは猫背男だけだった。
「何が起きてる?」
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パチン。
片足がもつれてドアに激突する。
パチン。
ドアノブにかけた右手がだらりと力なく落ちる。ドアを背に振り返ると、テルハがシュウジの背中にまたがるようにして縄を切っている。
「何だ?」
手足が自由になると、シュウジは二度指を鳴らした。そして、猫背男の首を掴むとソファーまで引きずっていった。猫背男は芋虫のように身をよじるが抵抗は空しいだけだった。
「和也を殺したのはお前だな?」
「何のことだ?」
「そうよ」
「嘘をつくな女!」
「嘘つきはあんたよ」
「俺がもっと早くお前たちを殺してたら、和也は死ななかったのにな」
シュウジは猫背男を見つめる。
「不思議なもんだよな。それが運命って言うのか」
「俺をどうするつもりだ?」
「殺してやりたいけど、どうしようかな」
「あいつの携帯なら、そのデカブツが持ってるぞ」
シュウジは、色黒男を振り返る。その重そうな体をひっくり返し、ポケットをまさぐる。三度目にして和也の携帯を見つける。
「捨てろって言ったんだがな。電源を切れば大丈夫だとかぬかしやがって、後でなんかを入れ替えるって言ってたぞ」
携帯の電源を入れてみる。電源は入らない。壊れている。
「違う違う。多分充電が切れてるだけだと思う」
「俺を助けてくれたら、お前らが来ることを教えてくれた奴の話をしてやってもいいぜ」
「何?」
「必要ない。あの男よ。白石って奴」
「何であいつが?」
「わかんないけど、あいつに関わるのはやめよう」
「あいつにも責任があるのに?」
「逆恨みだよ」
「嫌だね。あいつが何か知っているなら、あいつにも罰を与える」
「君は、自分が許せないのを人のせいにしてるだけだ!」
「違う!」
「そうだね」
「……違う」
「君は悪くない」
「知ってるよ。そんなこと」
「じゃあ、俺も助けてくれ」
シュウジとテルハがあわせて向く。
「ダメ。僕たちをどう殺そうか考えてるもの」
「じゃあ無理だな」
パチン。
シュウジが指を鳴らすと、猫背男の歯が床にボロボロと落ちていく。筋肉の支えを失った下顎がだらりと下がる。口の中の舌も消えてなくなっていた。露出した骨が奇妙な存在だった。血は流れてこない。猫背男が喉から出る空気で抗議の音を出す。
「話せないあんたが、この状況をどう説明するか、見物だな」
「放っておくの?」
もう何も出来ないさ。
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