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シャイロック 9
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「にいちゃん!」
シュウジはその高い声にどきりとして、橋の下を飛び出す。今年中学に上がったマサコと、マサコの弟ヒロキが駆けてきた。ヒロキがシュウジに飛びつく。
「ここには来るなって言ってるだろ。和也は……」
施設との連絡は和也を間に入れろと話していた。一週間前に和也を殴ってから、次を誰がやるのかを決めていなかった。背骨の端が嫌な予感を受信する。それを無視するようにヒロキの頭をなでてやる。マサコはシュウジのことを瞬きもせずにじっと見つめている。
「なんだよ。入学祝の文句か?」
シュウジはマサコを見る。マサコの目から大粒の涙が落ちる。
「病院に来て」
「おばさんになんかあったのか?」
マサコは首を振った。ヒロキのことを気にしているようだった。
「違うの。カズが……」
「和也が、どうかしたのか?」
「母さんが中央病院で待ってるから、一緒に来て」
シュウジの服をつかんでマサコは河川敷を上っていく。シュウジもされるがままに歩き出す。
側道にタクシーが停まっていた。
中央病院に着くとマサコはくしゃくしゃの千円札一枚と小銭を取り出して運転手に渡す。運転手は明らかに迷惑そうな顔をした。
「お札無いの?」
「すみません。これしか……」
「これだから子どもを乗せるのは嫌なんだよ」
タクシーを降りると、シュウジはタイヤに向かって指を鳴らす。タクシーはそのまま走り去っていった。
「……ダメか」
「こっち」
もはや荷物と化した完全脱力状態で眠っているヒロキを抱えながらマサコの後をついていく。入り口から中に入ると、沢山の人間が同じ方向を向いて何かを待っている。
異様な光景だ。マサコが戻って来て、腕をつかむ。迷路のような院内を進むと、人気の無い通路の先にマサコの母ヨシエが座って待っていた。手に持ったハンカチで目を押さえる。
「おばさん。久しぶり」
立ち上がったヨシエが下唇を噛む。シュウジの手からヒロキを受け取ると感情を押し殺すようにゆっくりとしゃべりだす。。
「シュウちゃん。カズが……」
「和也がどうしたんだよ」
ヨシエは廊下の奥の扉を振り返る。
「ご挨拶してきて」
「挨拶?」
扉を恐る恐る開く。車輪のついた細いベッドの上に白いシーツがかけられていた。誰かが寝ているようだ。その誰かの顔に布が乗せられている。部屋の外を振り返る。マサコたちは下を向いている。
「和也は?」
ヨシエがシュウジを見返す。ヒロキをぎゅっと抱きしめる。
「そこで寝ているわ」
ソコデネテイルワ。
変な言葉だった。フランス語なんて聞いたことがないけれど、フランス語のような響きだと思った。
ソコデネテイルワ。
そうか。俺が白いハンカチに手をかけたら、和也が俺の手をつかんで驚かせるつもりなんだ。そんな古い手で俺を驚かせるつもりなんだ。そうは上手く行かないぞ。俺はもう気がついたからな。和也にこう言ってやる。バカヤロウ。くだらねえことしてないで、まともなクズを探して来い。俺がやる気を失くさないくらい飛びぬけた悪党をぶっ殺してやろうぜ。確かに俺は嫌になってたよ。終わらないゴミ掃除をするのは、本当に疲れるもんだからな。ゴミを一つ拾っても、二つ捨てる奴がいればゴミは積もっていくんだぜ。三つ捨てられたら、あっという間にゴミは積もっていくんだ。だが、そこでゴミ拾いをやめてしまったら、ゴミは永久に無くならない。それじゃあ、ダメだよな。だから、今まで通りお前がゴミを探して、俺がゴミ箱に捨てる。そうだろう。
シュウジは布の角をつまむ。
ほら、起きろよ。起きて俺を驚かすんだろ。
布の角をゆっくりと引き上げる。
驚いてやるからよ。タイミングは今が一番だぜ。
布を取ると、和也が静かに寝ていた。顔面には紫色の斑点が浮かび、ところどころ変色し陥没していたが、それは間違いなく和也だった。
「冗談やめろよ」
シーツをめくる。和也の裸身が現れる。青。紫。黄色。緑。青白い体には、様々な色の痣が浮き出ていた。胸も腹も上下をしていない。息をしていない。
息をしていない。息をしていない。それはなんだか繰り返されるたびに決定的な一言へと変わって行く。
生きていない。
風が吹いている。入り口を開けたままにしてたからだ。
オマエガコロシタ。
入り口を振り返る。ヒロキを抱えたヨシエがマサコを抱きしめている。
俺か?
オマエダ。
風はシュウジの胸の穴から流れていた。シュウジの呼吸が速くなる。風の音も大きくなっていく。膝が落ちる。額に汗がにじむ。
風の音がやむと同時に胸の穴が傷む。視線を落としたシュウジの目が固まる。
小さな穴から指が一本突き出ている。指は、穴の内側からシュウジの胸を掻いた。
「誰がやった!」
床に汗が飛び散る。指が穴の奥に消え去り、穴も掻き消える。
ヒロキが泣き声を上げる。その声はすぐに遠くなっていく。後ろでマサコがシュウジを非難する。
「おにいちゃん!」
振り返ると、マサコが顔を覆っている。ヨシエがヒロキを遠ざけたようだ。
「悪い」
シュウジはシーツを拾い上げると、和也の上にかぶせる。そしてゆっくりと部屋を出て扉を閉める。
中に入ったら、すぐに閉めればよかった。そうすればよかった。
「和也は誰にやられたんだ?」
マサコは首を振った。
「わかんない」
「そうか……」
二人は迷路のような廊下を戻る。少し進んだ先で、ヨシエが待っていた。ヒロキはもう泣き止んでいる。ヨシエが口を開く。
「シュウちゃん。帰ってきなさい」
「おばさん。俺……」
「ダメよ。そんなことしても何もならないわよ」
ヨシエはマサコにヒロキを預ける。財布から小銭を取り出すと、マサコに握らせる。
「二人で何か飲んで来なさい」
「うん」
楽しそうなヒロキを連れて、マサコは歩いていった。それを見送りながらヨシエが口を開く。
「あなたまで殺されちゃうわ」
「やっぱり、和也は殺されたんだね」
そうでなければ体中にあんなに痣ができるわけが無い。
「誰がやったんだ?」
「わからないわ」
シュウジは思い出す。和也は写真を撮りに行った。そして、そいつらに殺されたんじゃないのか。
「おばさん。和也の携帯は?」
ヨシエは小さく首を振る。
「持ち物は何も無かったのよ。六本木の繁華街のゴミ置き場にあのままの姿で放置されてたって……」
シュウジは拳を握り締める。こんなことなら店の名前ぐらい聞いておけばよかったんだ。手がかりは何一つ無い。
ヨシエはそっとシュウジの肩を抱いた。シュウジの目から涙が零れ落ちた。
「家に帰りましょう」
「和也の友達は、このこと知ってるのかな?」
「多分知らないと思うわ。でも、お通夜をしないといけないわね」
「じゃあ、俺が連絡するよ。連絡帳みたいのあるかな?」
「名簿とか連絡網はないわね。あの子、中学を途中でやめちゃったでしょ、だから卒業アルバムも……、そうだわ。小学校のならあるわ」
「それでいいよ。後で取りに行くよ」
「じゃあ、手続きしてくるわ」
走っていくヨシエをみながら、シュウジはつぶやく。
「ごめんなおばさん。あんたみたいにいい人を巻き込むわけには行かないからさ」
廊下の奥を振り返る。
「俺のせいだな。俺が悪いんだ」
シュウジの声を吸い込んだ暗がりから返事が聞こえてくることは無かった。
「にいちゃん!」
シュウジはその高い声にどきりとして、橋の下を飛び出す。今年中学に上がったマサコと、マサコの弟ヒロキが駆けてきた。ヒロキがシュウジに飛びつく。
「ここには来るなって言ってるだろ。和也は……」
施設との連絡は和也を間に入れろと話していた。一週間前に和也を殴ってから、次を誰がやるのかを決めていなかった。背骨の端が嫌な予感を受信する。それを無視するようにヒロキの頭をなでてやる。マサコはシュウジのことを瞬きもせずにじっと見つめている。
「なんだよ。入学祝の文句か?」
シュウジはマサコを見る。マサコの目から大粒の涙が落ちる。
「病院に来て」
「おばさんになんかあったのか?」
マサコは首を振った。ヒロキのことを気にしているようだった。
「違うの。カズが……」
「和也が、どうかしたのか?」
「母さんが中央病院で待ってるから、一緒に来て」
シュウジの服をつかんでマサコは河川敷を上っていく。シュウジもされるがままに歩き出す。
側道にタクシーが停まっていた。
中央病院に着くとマサコはくしゃくしゃの千円札一枚と小銭を取り出して運転手に渡す。運転手は明らかに迷惑そうな顔をした。
「お札無いの?」
「すみません。これしか……」
「これだから子どもを乗せるのは嫌なんだよ」
タクシーを降りると、シュウジはタイヤに向かって指を鳴らす。タクシーはそのまま走り去っていった。
「……ダメか」
「こっち」
もはや荷物と化した完全脱力状態で眠っているヒロキを抱えながらマサコの後をついていく。入り口から中に入ると、沢山の人間が同じ方向を向いて何かを待っている。
異様な光景だ。マサコが戻って来て、腕をつかむ。迷路のような院内を進むと、人気の無い通路の先にマサコの母ヨシエが座って待っていた。手に持ったハンカチで目を押さえる。
「おばさん。久しぶり」
立ち上がったヨシエが下唇を噛む。シュウジの手からヒロキを受け取ると感情を押し殺すようにゆっくりとしゃべりだす。。
「シュウちゃん。カズが……」
「和也がどうしたんだよ」
ヨシエは廊下の奥の扉を振り返る。
「ご挨拶してきて」
「挨拶?」
扉を恐る恐る開く。車輪のついた細いベッドの上に白いシーツがかけられていた。誰かが寝ているようだ。その誰かの顔に布が乗せられている。部屋の外を振り返る。マサコたちは下を向いている。
「和也は?」
ヨシエがシュウジを見返す。ヒロキをぎゅっと抱きしめる。
「そこで寝ているわ」
ソコデネテイルワ。
変な言葉だった。フランス語なんて聞いたことがないけれど、フランス語のような響きだと思った。
ソコデネテイルワ。
そうか。俺が白いハンカチに手をかけたら、和也が俺の手をつかんで驚かせるつもりなんだ。そんな古い手で俺を驚かせるつもりなんだ。そうは上手く行かないぞ。俺はもう気がついたからな。和也にこう言ってやる。バカヤロウ。くだらねえことしてないで、まともなクズを探して来い。俺がやる気を失くさないくらい飛びぬけた悪党をぶっ殺してやろうぜ。確かに俺は嫌になってたよ。終わらないゴミ掃除をするのは、本当に疲れるもんだからな。ゴミを一つ拾っても、二つ捨てる奴がいればゴミは積もっていくんだぜ。三つ捨てられたら、あっという間にゴミは積もっていくんだ。だが、そこでゴミ拾いをやめてしまったら、ゴミは永久に無くならない。それじゃあ、ダメだよな。だから、今まで通りお前がゴミを探して、俺がゴミ箱に捨てる。そうだろう。
シュウジは布の角をつまむ。
ほら、起きろよ。起きて俺を驚かすんだろ。
布の角をゆっくりと引き上げる。
驚いてやるからよ。タイミングは今が一番だぜ。
布を取ると、和也が静かに寝ていた。顔面には紫色の斑点が浮かび、ところどころ変色し陥没していたが、それは間違いなく和也だった。
「冗談やめろよ」
シーツをめくる。和也の裸身が現れる。青。紫。黄色。緑。青白い体には、様々な色の痣が浮き出ていた。胸も腹も上下をしていない。息をしていない。
息をしていない。息をしていない。それはなんだか繰り返されるたびに決定的な一言へと変わって行く。
生きていない。
風が吹いている。入り口を開けたままにしてたからだ。
オマエガコロシタ。
入り口を振り返る。ヒロキを抱えたヨシエがマサコを抱きしめている。
俺か?
オマエダ。
風はシュウジの胸の穴から流れていた。シュウジの呼吸が速くなる。風の音も大きくなっていく。膝が落ちる。額に汗がにじむ。
風の音がやむと同時に胸の穴が傷む。視線を落としたシュウジの目が固まる。
小さな穴から指が一本突き出ている。指は、穴の内側からシュウジの胸を掻いた。
「誰がやった!」
床に汗が飛び散る。指が穴の奥に消え去り、穴も掻き消える。
ヒロキが泣き声を上げる。その声はすぐに遠くなっていく。後ろでマサコがシュウジを非難する。
「おにいちゃん!」
振り返ると、マサコが顔を覆っている。ヨシエがヒロキを遠ざけたようだ。
「悪い」
シュウジはシーツを拾い上げると、和也の上にかぶせる。そしてゆっくりと部屋を出て扉を閉める。
中に入ったら、すぐに閉めればよかった。そうすればよかった。
「和也は誰にやられたんだ?」
マサコは首を振った。
「わかんない」
「そうか……」
二人は迷路のような廊下を戻る。少し進んだ先で、ヨシエが待っていた。ヒロキはもう泣き止んでいる。ヨシエが口を開く。
「シュウちゃん。帰ってきなさい」
「おばさん。俺……」
「ダメよ。そんなことしても何もならないわよ」
ヨシエはマサコにヒロキを預ける。財布から小銭を取り出すと、マサコに握らせる。
「二人で何か飲んで来なさい」
「うん」
楽しそうなヒロキを連れて、マサコは歩いていった。それを見送りながらヨシエが口を開く。
「あなたまで殺されちゃうわ」
「やっぱり、和也は殺されたんだね」
そうでなければ体中にあんなに痣ができるわけが無い。
「誰がやったんだ?」
「わからないわ」
シュウジは思い出す。和也は写真を撮りに行った。そして、そいつらに殺されたんじゃないのか。
「おばさん。和也の携帯は?」
ヨシエは小さく首を振る。
「持ち物は何も無かったのよ。六本木の繁華街のゴミ置き場にあのままの姿で放置されてたって……」
シュウジは拳を握り締める。こんなことなら店の名前ぐらい聞いておけばよかったんだ。手がかりは何一つ無い。
ヨシエはそっとシュウジの肩を抱いた。シュウジの目から涙が零れ落ちた。
「家に帰りましょう」
「和也の友達は、このこと知ってるのかな?」
「多分知らないと思うわ。でも、お通夜をしないといけないわね」
「じゃあ、俺が連絡するよ。連絡帳みたいのあるかな?」
「名簿とか連絡網はないわね。あの子、中学を途中でやめちゃったでしょ、だから卒業アルバムも……、そうだわ。小学校のならあるわ」
「それでいいよ。後で取りに行くよ」
「じゃあ、手続きしてくるわ」
走っていくヨシエをみながら、シュウジはつぶやく。
「ごめんなおばさん。あんたみたいにいい人を巻き込むわけには行かないからさ」
廊下の奥を振り返る。
「俺のせいだな。俺が悪いんだ」
シュウジの声を吸い込んだ暗がりから返事が聞こえてくることは無かった。
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