迷宮の主

大秦頼太

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冬のあほうつかい

冬のあほうつかい 11

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「シミュラ様は弱い。魔物を上手く使えなかったり、敵に対して情けをかけたりするなんて迷宮の主としてあまりにも精神が弱すぎる。大陸を歩いてきた自分にはわかる。これから先、技術や魔法が進歩してくる。魔の迷宮を統べる者としてもっと強くなくてはその戦いを生き抜くことはできないだろう。そもそもこの地は厳しい自然環境や険しい山脈に囲まれている。他の地よりも随分と守りやすいはずだ。それなのにこれほど侵略者を招き寄せるのはシミュラ様が弱いからに他ならない。負けてしまえば僕らは殺されてしまう。僕の家族がまた殺されるなんてそんなことは許されることじゃない。シミュラ様が僕らを守れないのなら誰かが代わりにやるべきなんだ。シミュラ様は戦いに向いていない。そう。だから僕が代わりに厳しい決断をして戦いに勝たなきゃいけない」
 サースは夜空の星にそう誓った。
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