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迷宮の主
迷宮の主 33
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33
「ひどいよひどいよ。おいらの出番がこれで終わりだなんて、ひどいよひどいよ」
床に転がりながら全力で駄々をこねるレフスをガリクソがなだめる。
「帰ったら相手をしてあげるから」
「何で上から目線? 上から言われると超むかつくんですけど、みたいな!」
ガリクソはレフスの頭を殴りつける。
ゴン。
「痛い! 殴られたら痛い!」
ネジフがそれを見て笑っている。
「あいつら、道化師みたいだな。うけるよ」
「確かに面白いですなぁ」
柱の陰から出て来れないモンテールもそのやり取りが楽しかったようだった。
「じー」
カーナがそのモンテールの側にやって来て両手を広げて、モンテールの頭をはたく。
「フサフサ!」
「痛い!」
モンテールは柱の影から躍り出て、カーナを追いかける。
「コラ! 大人の頭を叩いちゃいけません」
逃げるカーナと追いかけるモンテールを見てネジフとウイカが叫んだ。
「髪、髪!」
ハモった言葉に気がついて指を指された頭をモンテールが両手で押さえるとモンテールは歓喜した。
「生えてる!」
モンテールの頭にカーナの手形の形に髪の毛が生えてきたのだ。
「でも、アレはないな」
「ないな」
ナサインはネジフと笑う。モンテールは飛び跳ねてカーナをまた追いかける。
「もっとやってください!」
シビトがそれを見て甲高い声で笑う。
「フフフ。これでハゲは一人か」
ネジフがそれを聞いて目を見開いて怒鳴る。
「俺は禿げてねえよ。剃ってるだけだって、何度言えばわかるんだこの野郎」
シミュラがナサインの前にやってくる。
「次に会うときは、本当に敵同士かしら?」
「あんたのところは最後にするさ」
「楽しみに待ってるわ」
シミュラは微笑んだ。冷たくゾッとするほどの美しさだった。
「シモンズ王、今度はワタクシとも踊っていただけるかしら?」
「シビトで結構。踊りでも戦いでも何でもお受けしますよ」
シミュラはウイカには視線を送っただけで何も言わなかった。振り返るとカーナを追いかけ続けるモンテールをにらみつけた。
「それ以上カーナを追いかけたら消すよ!」
その言葉に一瞬でモンテールは逃げ去った。
カーナは息を切らしながらシミュラの元にかけてくる。
「もう帰る」
シミュラは優しく微笑むとうなずいた。
「ええ、帰りましょう」
シミュラは長大な杖を振り、軽やかに舞うと床に杖の先を付いた。すると、透き通る推奨の扉が床から盛り上がってくる。
「それでは」
扉を開くと真っ先にレフスが飛び込んでいく。
「こんなところ誰が二度と来るもんかー」
そして、ガリクソが頭を下げて扉をくぐる。
「どうもスミマセンでした」
シミュラはカーナを押すように扉に入れる。
「またねー」
シミュラはナサインたちを振り返る。
「それではまたお会いしましょう」
「ひどいよひどいよ。おいらの出番がこれで終わりだなんて、ひどいよひどいよ」
床に転がりながら全力で駄々をこねるレフスをガリクソがなだめる。
「帰ったら相手をしてあげるから」
「何で上から目線? 上から言われると超むかつくんですけど、みたいな!」
ガリクソはレフスの頭を殴りつける。
ゴン。
「痛い! 殴られたら痛い!」
ネジフがそれを見て笑っている。
「あいつら、道化師みたいだな。うけるよ」
「確かに面白いですなぁ」
柱の陰から出て来れないモンテールもそのやり取りが楽しかったようだった。
「じー」
カーナがそのモンテールの側にやって来て両手を広げて、モンテールの頭をはたく。
「フサフサ!」
「痛い!」
モンテールは柱の影から躍り出て、カーナを追いかける。
「コラ! 大人の頭を叩いちゃいけません」
逃げるカーナと追いかけるモンテールを見てネジフとウイカが叫んだ。
「髪、髪!」
ハモった言葉に気がついて指を指された頭をモンテールが両手で押さえるとモンテールは歓喜した。
「生えてる!」
モンテールの頭にカーナの手形の形に髪の毛が生えてきたのだ。
「でも、アレはないな」
「ないな」
ナサインはネジフと笑う。モンテールは飛び跳ねてカーナをまた追いかける。
「もっとやってください!」
シビトがそれを見て甲高い声で笑う。
「フフフ。これでハゲは一人か」
ネジフがそれを聞いて目を見開いて怒鳴る。
「俺は禿げてねえよ。剃ってるだけだって、何度言えばわかるんだこの野郎」
シミュラがナサインの前にやってくる。
「次に会うときは、本当に敵同士かしら?」
「あんたのところは最後にするさ」
「楽しみに待ってるわ」
シミュラは微笑んだ。冷たくゾッとするほどの美しさだった。
「シモンズ王、今度はワタクシとも踊っていただけるかしら?」
「シビトで結構。踊りでも戦いでも何でもお受けしますよ」
シミュラはウイカには視線を送っただけで何も言わなかった。振り返るとカーナを追いかけ続けるモンテールをにらみつけた。
「それ以上カーナを追いかけたら消すよ!」
その言葉に一瞬でモンテールは逃げ去った。
カーナは息を切らしながらシミュラの元にかけてくる。
「もう帰る」
シミュラは優しく微笑むとうなずいた。
「ええ、帰りましょう」
シミュラは長大な杖を振り、軽やかに舞うと床に杖の先を付いた。すると、透き通る推奨の扉が床から盛り上がってくる。
「それでは」
扉を開くと真っ先にレフスが飛び込んでいく。
「こんなところ誰が二度と来るもんかー」
そして、ガリクソが頭を下げて扉をくぐる。
「どうもスミマセンでした」
シミュラはカーナを押すように扉に入れる。
「またねー」
シミュラはナサインたちを振り返る。
「それではまたお会いしましょう」
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