8 / 11
第七場
しおりを挟む
●第七場
暗転幕前。
鏡の妖精レグナンが歩いて出てくる。
鏡 はぁ、オイラもう嘘をつくのに疲れちまったよ。おべっかを使ってもオイラには何
の得も無い。かと言って正直なことを言えば、兄貴みたいにオイラも割られてしまう。
割られてしまったら、この世にはいられなくなる。あぁ、生きるべきか死ぬべきか、
それが問題だ。本当に良い未来は来るのだろうか。はぁ……。
妃 レグナン! どーこだいレグナン!
鏡 はい! 御妃様、あなたの鏡はここでございます。
妃 こんなところにいたのかい。部屋を勝手に出たらダメだろう?
鏡 申し訳ございません。
妃 階段で転んで割れたりしたらどうするんだい。
レグナンは 割れる に過剰に反応する。
鏡 お許しを! どうかオイラを大事に使ってくださいまし、美しいお妃様。
妃 わかっているよレグナン。ところで、こないだ言っていたことだけど、今、どうな
っているか聞いてもいいかしら?
鏡 あのことですか?
妃 あのことよ。
鏡 大丈夫です。心の準備は出来ています。
妃 そうかい。では、鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰だい?
鏡 おお、神様、オイラの弱い心をお許しください。
妃 なんか言ったかい?
鏡 いえいえ、こちらの話。(咳払い)世界で一番美しいのはお妃様でございます
妃 本当かい?
鏡 本当でございます。
妃 嘘を言ったら、割ってしまうよ?
鏡 わ、わかりました。オイラの主観で言いますと、女優の〇〇さんが一番かと、いや、
□□も捨てがたい。あー、どうしよう! どうしよう! もっと大人で言うならば、
△△△か、○✕△、あぁ、アイドルもいた! いやご年配の方に向けて□●○と言う
べきか!(もう個人的な趣味でどんどん好きな名前を挙げてくればいい)
妃 こっちの世界の話だよ! 鏡の世界の話なんかしないでおくれ。
鏡 それは失礼いたしました。この世界で一番は、お妃様でございます。
妃 嘘じゃないね?
鏡 はい。今は何の一番か言ってないので嘘はついておりません。
妃 お前の兄のマグランは嘘をついてどうなったか覚えているかい?
鏡 覚えておりますとも。粉々になって分裂してどれが本当の自分なのか分からなくな
って、頭と心がおかしくなって死んでしまいました。
妃 お前もそうならないように気をつけるんだね。
鏡 わかっております。いつの世の正直者は早く死ぬのです
妃 あの小娘が死んだから、この城は私のものね。これであの男も始末できるわ。
鏡 いいえ。スノウ姫は生きております。
妃 なんだって?
鏡 森に住んでいる木こりたちと元気に楽しく暮らしております。
妃 木こりだって? あのバカども金貨が欲しくないのかね?
鏡 そりゃあ、欲しいでしょうねぇ
妃 それで、もう一人の方は? 狩人は今何をしてるんだい?
鏡 木こりたちにやっつけられて、熊のえさになってしまいました。
妃 何てことだろうね。
鏡 まったくですな。
妃 ところでレグナン。
鏡 はい。お妃様。
妃 お前、私に嘘をついてないだろうね?
鏡 滅相もございません。オイラは正直が売りの誠実な鏡でございます。
妃 このまま行くと将来、あの娘がこの世で一番美しくなるんだね?
鏡 そうでございます。それはそれはとても美しくおなりになります。
妃 それを聞くと、私の心が割れてしまいそうだよ。
鏡 (過剰反応)割れるなんて! そんなことはおっしゃりませんように!
妃 こうなったら、私が直接やるしか無いね。
鏡 オイラに考えがあります。この方法を使えばこの城はお妃様のものとなり、スノウ
姫をより苦しめることが可能です。どうでしょう?
妃 そんな方法があるのかい?
鏡 はい。ラヴラヴ毒りんご大作戦です。
妃 何だいそのいかがわしい名前は?
鏡 まずお妃様自ら木こりの家に乗り込んでスノウ姫に毒りんごを食べさせます。
妃 いいね。するとあの小娘はそれで死ぬんだね?
鏡 いいえ。全身が凍りつき死んだように眠りにつきます。
妃 なんだいダメじゃないかそんなの却下だね。
鏡 いえいえ、まだ続きがございます。この毒りんごの呪いは熱い口づけで目覚めるも
のなのです。
妃 目覚めちゃ意味がないだろ。
鏡 そこなんですよ。隣の国の王子をご存知でしょうか?
妃 ご存知も何もアイツが気持ち悪いからこっちの城を乗っ取ることにしたんだろう?
忘れたのかい?
鏡 忘れもしません。まさにアイツこそ、いわば兄マグナンの仇。ですから、スノウ姫
の口づけの相手にぴったりだと、思いませんか?
妃 なるほど。それは名案だね! えぇ!? レグナン!
鏡 はい。りんごはすぐにご用意いたします。
妃 結構。それと木こりの家の場所を教えなさい。
鏡 かしこまりました。
暗転。
暗転幕前。
鏡の妖精レグナンが歩いて出てくる。
鏡 はぁ、オイラもう嘘をつくのに疲れちまったよ。おべっかを使ってもオイラには何
の得も無い。かと言って正直なことを言えば、兄貴みたいにオイラも割られてしまう。
割られてしまったら、この世にはいられなくなる。あぁ、生きるべきか死ぬべきか、
それが問題だ。本当に良い未来は来るのだろうか。はぁ……。
妃 レグナン! どーこだいレグナン!
鏡 はい! 御妃様、あなたの鏡はここでございます。
妃 こんなところにいたのかい。部屋を勝手に出たらダメだろう?
鏡 申し訳ございません。
妃 階段で転んで割れたりしたらどうするんだい。
レグナンは 割れる に過剰に反応する。
鏡 お許しを! どうかオイラを大事に使ってくださいまし、美しいお妃様。
妃 わかっているよレグナン。ところで、こないだ言っていたことだけど、今、どうな
っているか聞いてもいいかしら?
鏡 あのことですか?
妃 あのことよ。
鏡 大丈夫です。心の準備は出来ています。
妃 そうかい。では、鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰だい?
鏡 おお、神様、オイラの弱い心をお許しください。
妃 なんか言ったかい?
鏡 いえいえ、こちらの話。(咳払い)世界で一番美しいのはお妃様でございます
妃 本当かい?
鏡 本当でございます。
妃 嘘を言ったら、割ってしまうよ?
鏡 わ、わかりました。オイラの主観で言いますと、女優の〇〇さんが一番かと、いや、
□□も捨てがたい。あー、どうしよう! どうしよう! もっと大人で言うならば、
△△△か、○✕△、あぁ、アイドルもいた! いやご年配の方に向けて□●○と言う
べきか!(もう個人的な趣味でどんどん好きな名前を挙げてくればいい)
妃 こっちの世界の話だよ! 鏡の世界の話なんかしないでおくれ。
鏡 それは失礼いたしました。この世界で一番は、お妃様でございます。
妃 嘘じゃないね?
鏡 はい。今は何の一番か言ってないので嘘はついておりません。
妃 お前の兄のマグランは嘘をついてどうなったか覚えているかい?
鏡 覚えておりますとも。粉々になって分裂してどれが本当の自分なのか分からなくな
って、頭と心がおかしくなって死んでしまいました。
妃 お前もそうならないように気をつけるんだね。
鏡 わかっております。いつの世の正直者は早く死ぬのです
妃 あの小娘が死んだから、この城は私のものね。これであの男も始末できるわ。
鏡 いいえ。スノウ姫は生きております。
妃 なんだって?
鏡 森に住んでいる木こりたちと元気に楽しく暮らしております。
妃 木こりだって? あのバカども金貨が欲しくないのかね?
鏡 そりゃあ、欲しいでしょうねぇ
妃 それで、もう一人の方は? 狩人は今何をしてるんだい?
鏡 木こりたちにやっつけられて、熊のえさになってしまいました。
妃 何てことだろうね。
鏡 まったくですな。
妃 ところでレグナン。
鏡 はい。お妃様。
妃 お前、私に嘘をついてないだろうね?
鏡 滅相もございません。オイラは正直が売りの誠実な鏡でございます。
妃 このまま行くと将来、あの娘がこの世で一番美しくなるんだね?
鏡 そうでございます。それはそれはとても美しくおなりになります。
妃 それを聞くと、私の心が割れてしまいそうだよ。
鏡 (過剰反応)割れるなんて! そんなことはおっしゃりませんように!
妃 こうなったら、私が直接やるしか無いね。
鏡 オイラに考えがあります。この方法を使えばこの城はお妃様のものとなり、スノウ
姫をより苦しめることが可能です。どうでしょう?
妃 そんな方法があるのかい?
鏡 はい。ラヴラヴ毒りんご大作戦です。
妃 何だいそのいかがわしい名前は?
鏡 まずお妃様自ら木こりの家に乗り込んでスノウ姫に毒りんごを食べさせます。
妃 いいね。するとあの小娘はそれで死ぬんだね?
鏡 いいえ。全身が凍りつき死んだように眠りにつきます。
妃 なんだいダメじゃないかそんなの却下だね。
鏡 いえいえ、まだ続きがございます。この毒りんごの呪いは熱い口づけで目覚めるも
のなのです。
妃 目覚めちゃ意味がないだろ。
鏡 そこなんですよ。隣の国の王子をご存知でしょうか?
妃 ご存知も何もアイツが気持ち悪いからこっちの城を乗っ取ることにしたんだろう?
忘れたのかい?
鏡 忘れもしません。まさにアイツこそ、いわば兄マグナンの仇。ですから、スノウ姫
の口づけの相手にぴったりだと、思いませんか?
妃 なるほど。それは名案だね! えぇ!? レグナン!
鏡 はい。りんごはすぐにご用意いたします。
妃 結構。それと木こりの家の場所を教えなさい。
鏡 かしこまりました。
暗転。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
人魚奇譚CLARISSA
大秦頼太
児童書・童話
人魚奇譚三部作CLARISSA・ISABELLA・SIRENAをまとめました。
皆さんが知っている人魚とは少しだけルールやなんかが違うと思います。
本来は脚本として使いながら仕上げるのですが、現在はそういった団体に属していないので細かい指示や諸注意などは書き込めておりません。
声劇などで使いたい場合は声をかけていただければ基本的にOKします。
●扉絵は舞台化する場合人魚の両足が使えるように片足がヒレで、もう一方が水や泡を表すというようなイメージ画です。
※海部守は脚本用PNです。
時期がズレて書いていたので、ちょっと繋がりがおかしいところもあるかもしれません。
ミズルチと〈竜骨の化石〉
珠邑ミト
児童書・童話
カイトは家族とバラバラに暮らしている〈音読みの一族〉という〈族《うから》〉の少年。彼の一族は、数多ある〈族〉から魂の〈音〉を「読み」、なんの〈族〉か「読みわける」。彼は飛びぬけて「読め」る少年だ。十歳のある日、その力でイトミミズの姿をしている〈族〉を見つけ保護する。ばあちゃんによると、その子は〈出世ミミズ族〉という〈族《うから》〉で、四年かけてミミズから蛇、竜、人と進化し〈竜の一族〉になるという。カイトはこの子にミズルチと名づけ育てることになり……。
一方、世間では怨墨《えんぼく》と呼ばれる、人の負の感情から生まれる墨の化物が活発化していた。これは人に憑りつき操る。これを浄化する墨狩《すみが》りという存在がある。
ミズルチを保護してから三年半後、ミズルチは竜になり、カイトとミズルチは怨墨に知人が憑りつかれたところに遭遇する。これを墨狩りだったばあちゃんと、担任の湯葉《ゆば》先生が狩るのを見て怨墨を知ることに。
カイトとミズルチのルーツをたどる冒険がはじまる。
忠犬ハジッコ
SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。
「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。
※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、
今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。
お楽しみいただければうれしいです。
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
守護霊のお仕事なんて出来ません!
柚月しずく
児童書・童話
事故に遭ってしまった未蘭が目が覚めると……そこは死後の世界だった。
死後の世界には「死亡予定者リスト」が存在するらしい。未蘭はリストに名前がなく「不法侵入者」と責められてしまう。
そんな未蘭を救ってくれたのは、白いスーツを着た少年。柊だった。
助けてもらいホッとしていた未蘭だったが、ある選択を迫られる。
・守護霊代行の仕事を手伝うか。
・死亡手続きを進められるか。
究極の選択を迫られた未蘭。
守護霊代行の仕事を引き受けることに。
人には視えない存在「守護霊代行」の任務を、なんとかこなしていたが……。
「視えないはずなのに、どうして私のことがわかるの?」
話しかけてくる男の子が現れて――⁉︎
ちょっと不思議で、信じられないような。だけど心温まるお話。

オオカミ少女と呼ばないで
柳律斗
児童書・童話
「大神くんの頭、オオカミみたいな耳、生えてる……?」 その一言が、私をオオカミ少女にした。
空気を読むことが少し苦手なさくら。人気者の男子、大神くんと接点を持つようになって以降、クラスの女子に目をつけられてしまう。そんな中、あるできごとをきっかけに「空気の色」が見えるように――
表紙画像はノーコピーライトガール様よりお借りしました。ありがとうございます。
魔王の飼い方説明書
ASOBIVA
児童書・童話
恋愛小説を書く予定でしたが
魔界では魔王様と恐れられていたが
ひょんな事から地球に異世界転生して女子高生に拾われてしまうお話を書いています。
短めのクスッと笑えるドタバタこめでぃ。
実際にあるサービスをもじった名称や、魔法なども滑り倒す覚悟でふざけていますがお許しを。
是非空き時間にどうぞ(*^_^*)
あなたも魔王を飼ってみませんか?
魔王様と女子高生の365日後もお楽しみに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる