7人の大人~たとえばこんな白雪姫~

大秦頼太

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第一場

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●第一場
   魔女の館。暗転幕が使えれば暗転幕前で。
   妃(魔女の姿)で三面鏡に向かっている。一面は割れており鏡はない。
   ハサミが突き刺さっていても良いかもしれない。
   レグナンとマグナンが妃の相手をする。

妃  鏡よ鏡。教えておくれ。金持ち、独身、イケメン、子ども無し。この好条件に合う
  候補を教えなさい。
鏡マ ありません。
妃  ありませんじゃないよ! しっかり探しな! お前も割っちまうよ!
鏡マ それだけはお許しを! 少し条件をゆるめればいくつか候補がございます。
妃  そうだろう? まったく。ちゃんと仕事をするんだよ。レグナン、今日もわたしは
  美しいかい?
鏡  はい。とてもお美しいです。
妃  お前は本当に正直で使えるねぇ。それなのにお前の兄と来たら、簡単な検索もでき
  なくて嫌になるよ。マグナン! さっさと金持ちの情報をよこすんだよ!
鏡マ はい! ただいま!
妃  まったくグズでのろまでどうしようもないやつだよ。少し用事を片付けてくるから、
  それまでに答えを用意しておくんだよ。

   妃、上手に立ち去る。
   肩を落とすマグナン。レグなんが慰める。

鏡  兄貴、オイラも手伝うよ。
鏡マ すまないな。
鏡  マグナン兄貴は真面目だからな。
鏡マ こんな時一番上の兄貴だったらもっとやれてたのに!
鏡  それは言わない約束だろ。もういなくなった鏡のことは忘れるしか無いんだよ。
鏡マ 畜生、オラたちがいなきゃ何も出来ないくせに!
鏡  兄貴、落ち着くんだ。心を穏やかにしないと鏡が曇るぜ。
鏡マ そうだったな。
鏡  さあ、検索を続けようぜ。
鏡マ ああ。飛び切りの金持ちを見つけてやるさ。

   暗転。
   鏡の割れる音。
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