Vicky!

大秦頼太

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第十一場

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●第十一場● 村の風景1 朝
   上手側が村人Aの家。下手側が村人Bの家。
   家の中から村人Aが現れる。空の様子を見る。

村人A  おや、夕方から荒れそうだね。

   マーゴが駆けて来る。

マーゴ  こんにちは、イルメラおばさん!
村人A  こんにちは。すっかり元気になったんだね。この村には慣れたかい?
マーゴ  あたし、この村大好きよ。町になんか帰りたくないわ! ずっとここにいる!
村人A  おやまぁ、

   マーゴ、村人Bの家の前に立つ。

マーゴ  こんにちは! ヤンとロジーナはいる?

   中から村人Cが出てくる。

村人C  いらっしゃい。二人はまだ羊の世話から帰ってないのよ。ごめんなさいね。
マーゴ  じゃあ、また来るわ!
村人C  あ、ねえ。もし良かったら、またお祖母ちゃんにご本を読んであげてくれない
    かしら? 二人ももう戻ってくるだろうからさ。
マーゴ  いいわよ!

   マーゴ、村人Bの家に中に入っていく。

村人A  あんな子だったっけ?
村人C  まぁ、いいじゃないか。
村人A  まぁ、そうだね。
村人C  あの子、まだいるんだろ? 町に帰さないでヨーゼフさんが育てたらいいのに。
村人A  ははは。そんなことをしたら、あの子の母親が怒鳴り込んでくるよ。すごい剣
    幕でさ。

   マーゴ本を持ち、村人Bの手を引いてやって来る。

村人B  少し風が冷たくなってきたね。そろそろ冬がやって来るのね。
マーゴ  まだ日差しはこんなに温かいのに?
村人A  ここは少しばかり高い所にあるからね。冬は町より早く来て、春はずっと遅く
    やってくるのさ。長い冬が来たら、町が恋しくなるよ。
マーゴ  お家の中で過ごすなら、町よりもここの方が良いわ!

   大人たち驚きながら顔を見合わせる。
   暗転。

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