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第八場
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●第八場● 草原1 昼
※子供たちが仲良くなる。子ども達と一緒に遊ぶビッキー。子羊がしゃべるよ。
ビッキーが一人で座っている。
ビッキー 空が高いわ。見上げているとなんだか吸い込まれていってしまいそう。
ビッキー自分の手を見る。
ビッキー 私の右手も左手も、まだ昨日のまま、まだ木のまま。どうしたら、どうしたら
人間になれるのかしら? いろんな本を読んでみても、分からないことばかり増
えて不安にさせる。
子供たちがやって来る。
マーゴ ビッキー! 呼んできたわ。
羊飼い妹 お話ってなあに?
子羊 メェー!
羊飼い兄 水汲みを頼まれてるから早くしろよな。
ビッキー じゃあ、自己紹介をしましょ。まずはマーゴから、
マーゴ うん。……私はマーゴット。フランクフルトに住んでいたの。ここには静養に
来ているの。マーゴって呼ばれてるわ。
羊飼い兄 なんだい? 静養って。
ビッキー お休みって言うことよ。体と心を休ませているの。
羊飼い妹 どこか悪いの?
マーゴ ううん。町で馬車に轢かれそうになって、驚いただけ。特にママが一番驚いて
いたわ。
ビッキー 次は、あなた。お名前は?
羊飼い兄 え? 俺? 俺はヤン。この村で羊の世話をしているんだ。
ビッキー よろしくね、ヤン。
マーゴ よろしくね。
羊飼い妹 私はロジーナ。この子の面倒をみてあげてるの。この子はアデーレよ。
子羊 メェー。
マーゴ ロジーナにアデーレね。二人(?)ともよろしくね。
ビッキー 私はビクトリア。ビッキーって呼んでね。えっと、それから、私はこれでも年
は樹齢500年は超えてて、人形だったのよ。妖精さんが話せるようにしてくれ
たの。
羊飼い妹 え? 本当に?
子羊 メェー。
ビッキー 本当よ。(子羊の鼻をつつく)こうやって、私の鼻におまじないをしてくれたの。
さぁ、自己紹介も済んだし、これで私たちはみんなお友達ね。
子羊 おなかがすいたメェ~。
マーゴ あら、アデーレもしゃべったわ!
羊飼い兄 すごい。どうやったの?
ビッキー よく分からないわ。これも妖精さんのおかげかしら?
羊飼い妹 妖精ともお友達なの?
子羊 おともだちなのメェー?
ビッキー うーん。よく分からないんだけどしゃべったり動けるようにしてくれたの。
羊飼い妹 優しい妖精さんなのね。
ビッキー でも、何か気になることも言っていたのよねぇ。
マーゴ 何か言われたの?
ビッキー 忘れちゃった。
羊飼い兄 じゃあ、大したことないんだよ。きっと。
羊飼い妹 そうかしら?
子羊 そうだメェ~。
子どもたち笑いあう。
羊飼い妹 ビッキーの手は堅いのね。
羊飼い兄 どうして?
子羊 メェー。
ビッキー 木から作られたからよ。
羊飼い兄 じゃあ、人間じゃないんだ。
羊飼い妹 人間よ。
マーゴ ロジーナと違って、ヤンは意地悪よね。
羊飼い兄 どうしてさ?
マーゴ そんなこと言ったら、ビッキーが傷つくと思わないの?
羊飼い妹 そうよ。ビッキーがかわいそうだわ。そんなこと言っちゃダメ。
子羊 ダメェー。
羊飼い兄 あ、そうか。ごめんね、ビッキー。
ビッキー 大丈夫よ。私、気にしないわ。(本当は気にしてる)
マーゴ ビッキーってすごいのよ。本に書いてあることをほとんど覚えちゃうんだもん。
私が教えることなんてもう何も無いわ。
ビッキー 私、もっといろんなことが知りたいの。知れば知るほどに自分が何も知らない
んだっていうことがわかるのよ。だから、もっと知りたくなるの。ねぇ、子羊さ
ん。
子羊 おなかがすいたメェー。
羊飼い兄 いけね! 俺、水汲みを頼まれてたんだった。
ビッキー そろそろ帰りましょうか。
羊飼い兄 また遊ぼうぜ。
子羊 あそぼうメェ~。
マーゴ うん。
羊飼い妹 ねえ、マーゴ、時々うちに来てお祖母ちゃんにご本を読んでもらっても良い?
マーゴ え?
羊飼い妹 私が字を覚えられるようになるまででいいから。
ビッキー マーゴ(背中を押す感じ)
マーゴ うん、わかったわ。じゃあ、ロジーナも一緒に勉強しましょ。
羊飼い妹 うん。
羊飼い兄 ずるいずるい、俺にも教えてよ。
マーゴ ヤンに覚えられるかしら?
羊飼い兄 なんだよ、マーゴも意地悪だなぁ。
マーゴ 冗談よ。みんなでいっぱい勉強しましょ!
羊飼い兄 いっぱいは嫌だなぁ。俺は少しだけでいいよ。
子ども達、笑いあう。
暗転。
※子供たちが仲良くなる。子ども達と一緒に遊ぶビッキー。子羊がしゃべるよ。
ビッキーが一人で座っている。
ビッキー 空が高いわ。見上げているとなんだか吸い込まれていってしまいそう。
ビッキー自分の手を見る。
ビッキー 私の右手も左手も、まだ昨日のまま、まだ木のまま。どうしたら、どうしたら
人間になれるのかしら? いろんな本を読んでみても、分からないことばかり増
えて不安にさせる。
子供たちがやって来る。
マーゴ ビッキー! 呼んできたわ。
羊飼い妹 お話ってなあに?
子羊 メェー!
羊飼い兄 水汲みを頼まれてるから早くしろよな。
ビッキー じゃあ、自己紹介をしましょ。まずはマーゴから、
マーゴ うん。……私はマーゴット。フランクフルトに住んでいたの。ここには静養に
来ているの。マーゴって呼ばれてるわ。
羊飼い兄 なんだい? 静養って。
ビッキー お休みって言うことよ。体と心を休ませているの。
羊飼い妹 どこか悪いの?
マーゴ ううん。町で馬車に轢かれそうになって、驚いただけ。特にママが一番驚いて
いたわ。
ビッキー 次は、あなた。お名前は?
羊飼い兄 え? 俺? 俺はヤン。この村で羊の世話をしているんだ。
ビッキー よろしくね、ヤン。
マーゴ よろしくね。
羊飼い妹 私はロジーナ。この子の面倒をみてあげてるの。この子はアデーレよ。
子羊 メェー。
マーゴ ロジーナにアデーレね。二人(?)ともよろしくね。
ビッキー 私はビクトリア。ビッキーって呼んでね。えっと、それから、私はこれでも年
は樹齢500年は超えてて、人形だったのよ。妖精さんが話せるようにしてくれ
たの。
羊飼い妹 え? 本当に?
子羊 メェー。
ビッキー 本当よ。(子羊の鼻をつつく)こうやって、私の鼻におまじないをしてくれたの。
さぁ、自己紹介も済んだし、これで私たちはみんなお友達ね。
子羊 おなかがすいたメェ~。
マーゴ あら、アデーレもしゃべったわ!
羊飼い兄 すごい。どうやったの?
ビッキー よく分からないわ。これも妖精さんのおかげかしら?
羊飼い妹 妖精ともお友達なの?
子羊 おともだちなのメェー?
ビッキー うーん。よく分からないんだけどしゃべったり動けるようにしてくれたの。
羊飼い妹 優しい妖精さんなのね。
ビッキー でも、何か気になることも言っていたのよねぇ。
マーゴ 何か言われたの?
ビッキー 忘れちゃった。
羊飼い兄 じゃあ、大したことないんだよ。きっと。
羊飼い妹 そうかしら?
子羊 そうだメェ~。
子どもたち笑いあう。
羊飼い妹 ビッキーの手は堅いのね。
羊飼い兄 どうして?
子羊 メェー。
ビッキー 木から作られたからよ。
羊飼い兄 じゃあ、人間じゃないんだ。
羊飼い妹 人間よ。
マーゴ ロジーナと違って、ヤンは意地悪よね。
羊飼い兄 どうしてさ?
マーゴ そんなこと言ったら、ビッキーが傷つくと思わないの?
羊飼い妹 そうよ。ビッキーがかわいそうだわ。そんなこと言っちゃダメ。
子羊 ダメェー。
羊飼い兄 あ、そうか。ごめんね、ビッキー。
ビッキー 大丈夫よ。私、気にしないわ。(本当は気にしてる)
マーゴ ビッキーってすごいのよ。本に書いてあることをほとんど覚えちゃうんだもん。
私が教えることなんてもう何も無いわ。
ビッキー 私、もっといろんなことが知りたいの。知れば知るほどに自分が何も知らない
んだっていうことがわかるのよ。だから、もっと知りたくなるの。ねぇ、子羊さ
ん。
子羊 おなかがすいたメェー。
羊飼い兄 いけね! 俺、水汲みを頼まれてたんだった。
ビッキー そろそろ帰りましょうか。
羊飼い兄 また遊ぼうぜ。
子羊 あそぼうメェ~。
マーゴ うん。
羊飼い妹 ねえ、マーゴ、時々うちに来てお祖母ちゃんにご本を読んでもらっても良い?
マーゴ え?
羊飼い妹 私が字を覚えられるようになるまででいいから。
ビッキー マーゴ(背中を押す感じ)
マーゴ うん、わかったわ。じゃあ、ロジーナも一緒に勉強しましょ。
羊飼い妹 うん。
羊飼い兄 ずるいずるい、俺にも教えてよ。
マーゴ ヤンに覚えられるかしら?
羊飼い兄 なんだよ、マーゴも意地悪だなぁ。
マーゴ 冗談よ。みんなでいっぱい勉強しましょ!
羊飼い兄 いっぱいは嫌だなぁ。俺は少しだけでいいよ。
子ども達、笑いあう。
暗転。
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