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第四場
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●第四場● お爺さんの家2 昼
作業を始めるお爺さん。
明るくなると、ビッキーが椅子に座らされている。
お爺さん 出来た! 完成だ! まばたきだってする素晴らしい人形だ! 大発明だ!
神様、どうかこの人形にあの子の魂を宿らせ下さい!
※まばたきだけが難しかったら、首振り機能をつける。
いきなりテルマが孫を連れて入ってくる。
テルマ お父さん! 随分ひどいじゃありませんか!
お爺さん おお、お前か。大丈夫か? 気落ちしていないか?
テルマ 気落ちどころか、私は怒ってるんですよ! この子が馬車に轢かれたって言う
のに見舞いのお金一つもよこさずに。一体どういうつもりなの? この子が可愛
くないの? まったく信じられないわ!
間。
お爺さん おお、マーゴット、生きていたのか! わしは、わしはてっきり……。
テルマ 生きていたのかだなんて、なんて冷たいんでしょうね。確かに足の小指の本の
先でしたけど、その後は驚いて泣きじゃくって、ああもう本当にかわいそうだっ
たのよ!
お爺さん 何? 足の小指だって? 馬車に轢かれて大怪我って、
テルマ 大怪我よ! もう少し前に出てたら死んでいたかもしれないのよ! 信じられ
ないわ! 本当にもう!
マーゴ お爺ちゃん。これなあに? お人形?
お爺さん ああ、お前が死んだと思って、お前そっくりの人形を作っていたんだ。
テルマ この子そっくりの人形って、全然似てないじゃないの。それになんだか本当に
人間みたいで気味が悪いわ。こんなものを作って遊んでたなんて、気持ち悪い。
お爺さん 別に遊ぶために作ったわけじゃないよ。この子の代わりになればと。
テルマ 何よこんな人形。うちの子のほうがよっぽど可愛いわ。
ビッキー (舌打ち)
テルマ 何か言った?
お爺さん いや。
マーゴ いいなあ、これちょうだい?
テルマ ダメよ。こんな大きな人形、乗ってきた馬車の中に入らないわ。余計な荷物を
載せて追加の料金を取られたら大変だわ。何でもお金で済まそうとして、嫌な世
の中だわ。
お爺さん とにかく無事でよかった。
テルマ 良くないわよ。この子の治療費にいくら掛かったと思っているのよ。心にも深
い傷を負ったのよ。自然に恵まれた環境で静養が必要なんですって。おお、かわ
いそうに。
お爺さん そうか。
テルマ そうかじゃなくて、少しでもすまないと思うんだったら、それ相応の見舞金く
らい出すのが祖父の役目でしょう? 違うかしら?
お爺さん そうだな。じゃあ、あっちで用意しよう。(マーゴに)このお人形さんは、まば
たきも出来るんだ。驚くんじゃないよ。
マーゴ うん。
お爺さんとテルマが去る。
マーゴがビッキーに近づく。
マーゴ こんにちは。お人形さん。私はマーゴット。マーゴって呼んで。あなたの名前
はなんて言うの?
ビッキー (無言)
マーゴ まだ、名前は無いの? だったら私がつけてあげるわね。気に入った名前があ
ったら、言ってちょうだいね。
ビッキー (無言でまばたき)
マーゴ あら、本当にまたたきをするんだわ! なんて賢い人形なのかしら。
ビッキー (何度もまばたき)
マーゴ じゃあ、名前をつけるわね。(実はマーゴのネーミングセンスは最低)ゴルベー
ザ! なんてどう。
ビッキー (まばたきの代わりに舌打ち)
マーゴ じゃあ……、ゴンザレス!
こんな感じで、2,3回くらい名付けと舌打ちが繰り返される。
マーゴ ビクトリアは?
ビッキー (妥協のまばたき)
マーゴ まばたきをしたわ! じゃあ、あなたの名前はビクトリア! 愛称はビッキー
よ。よろしくねビッキー。
お爺さんとテルマが帰ってくる。
お爺さん 気に入ったのかい?
マーゴ うん。とっても! ビッキーと私はお友達になったの!
お爺さん おや、この子に名前をつけてくれたのかい。
マーゴ そうよ。この子はビクトリア、それでビッキーって言うの。私のお友達なの!
ねえ、ママ~(おねだり調)。
テルマ でも、うちには持って帰らないからね。
マーゴ えー。
お爺さん じゃあ、このお人形のおうちはここだ。お前が時々遊びに来て上げればいいじ
ゃないか。
マーゴ この子はお人形じゃないの、ビッキーよ。
お爺さん そうだそうだ。ビッキーだね。わしがきちんと世話をするよ。
テルマ それはいいわね。いい考えだと思うわ。そうしたら生活費、じゃない、お爺ち
ゃんの様子も見に来れるもんね。じゃあ、お父さん。私、帰るわね。
お爺さん もう帰るのかい?
テルマ この子の家庭教師を選ぶのが大変なのよ。さあ、お爺ちゃんに挨拶をして。
マーゴ うん。また来るね、お爺ちゃん。
お爺さん ああ、またおいで。
テルマ 違うでしょ。よろしくお願いしますでしょ。しばらくここにお世話になるんだ
から。
お爺さん え?
マーゴ え?
テルマ え?
孫 こんな何も無いド田舎に置いて行かれたら、あたし退屈で死んじゃうわ!
お爺さん 聞いてないぞ、どういうことだ?
テルマ さっき言ったじゃないの。心に深い傷を負ったこの子には自然に恵まれた環境
で静養が必要だって。
お爺さん しかし、急にそんなことを言われても。
テルマ この子がかわいそうだと思わないの? なんてひどい人なのかしら?
マーゴ ママァ。
テルマ 大丈夫よ。どうせやること無いんだから、沢山勉強道具は持ってきたからそれ
をやっておきなさい。いいわね?
マーゴ ……はぁい。
マーゴ、肩を落とす。
テルマ じゃあ、お願いね!
テルマ、立ち去る。それを見送るお爺さん。
暗転。
作業を始めるお爺さん。
明るくなると、ビッキーが椅子に座らされている。
お爺さん 出来た! 完成だ! まばたきだってする素晴らしい人形だ! 大発明だ!
神様、どうかこの人形にあの子の魂を宿らせ下さい!
※まばたきだけが難しかったら、首振り機能をつける。
いきなりテルマが孫を連れて入ってくる。
テルマ お父さん! 随分ひどいじゃありませんか!
お爺さん おお、お前か。大丈夫か? 気落ちしていないか?
テルマ 気落ちどころか、私は怒ってるんですよ! この子が馬車に轢かれたって言う
のに見舞いのお金一つもよこさずに。一体どういうつもりなの? この子が可愛
くないの? まったく信じられないわ!
間。
お爺さん おお、マーゴット、生きていたのか! わしは、わしはてっきり……。
テルマ 生きていたのかだなんて、なんて冷たいんでしょうね。確かに足の小指の本の
先でしたけど、その後は驚いて泣きじゃくって、ああもう本当にかわいそうだっ
たのよ!
お爺さん 何? 足の小指だって? 馬車に轢かれて大怪我って、
テルマ 大怪我よ! もう少し前に出てたら死んでいたかもしれないのよ! 信じられ
ないわ! 本当にもう!
マーゴ お爺ちゃん。これなあに? お人形?
お爺さん ああ、お前が死んだと思って、お前そっくりの人形を作っていたんだ。
テルマ この子そっくりの人形って、全然似てないじゃないの。それになんだか本当に
人間みたいで気味が悪いわ。こんなものを作って遊んでたなんて、気持ち悪い。
お爺さん 別に遊ぶために作ったわけじゃないよ。この子の代わりになればと。
テルマ 何よこんな人形。うちの子のほうがよっぽど可愛いわ。
ビッキー (舌打ち)
テルマ 何か言った?
お爺さん いや。
マーゴ いいなあ、これちょうだい?
テルマ ダメよ。こんな大きな人形、乗ってきた馬車の中に入らないわ。余計な荷物を
載せて追加の料金を取られたら大変だわ。何でもお金で済まそうとして、嫌な世
の中だわ。
お爺さん とにかく無事でよかった。
テルマ 良くないわよ。この子の治療費にいくら掛かったと思っているのよ。心にも深
い傷を負ったのよ。自然に恵まれた環境で静養が必要なんですって。おお、かわ
いそうに。
お爺さん そうか。
テルマ そうかじゃなくて、少しでもすまないと思うんだったら、それ相応の見舞金く
らい出すのが祖父の役目でしょう? 違うかしら?
お爺さん そうだな。じゃあ、あっちで用意しよう。(マーゴに)このお人形さんは、まば
たきも出来るんだ。驚くんじゃないよ。
マーゴ うん。
お爺さんとテルマが去る。
マーゴがビッキーに近づく。
マーゴ こんにちは。お人形さん。私はマーゴット。マーゴって呼んで。あなたの名前
はなんて言うの?
ビッキー (無言)
マーゴ まだ、名前は無いの? だったら私がつけてあげるわね。気に入った名前があ
ったら、言ってちょうだいね。
ビッキー (無言でまばたき)
マーゴ あら、本当にまたたきをするんだわ! なんて賢い人形なのかしら。
ビッキー (何度もまばたき)
マーゴ じゃあ、名前をつけるわね。(実はマーゴのネーミングセンスは最低)ゴルベー
ザ! なんてどう。
ビッキー (まばたきの代わりに舌打ち)
マーゴ じゃあ……、ゴンザレス!
こんな感じで、2,3回くらい名付けと舌打ちが繰り返される。
マーゴ ビクトリアは?
ビッキー (妥協のまばたき)
マーゴ まばたきをしたわ! じゃあ、あなたの名前はビクトリア! 愛称はビッキー
よ。よろしくねビッキー。
お爺さんとテルマが帰ってくる。
お爺さん 気に入ったのかい?
マーゴ うん。とっても! ビッキーと私はお友達になったの!
お爺さん おや、この子に名前をつけてくれたのかい。
マーゴ そうよ。この子はビクトリア、それでビッキーって言うの。私のお友達なの!
ねえ、ママ~(おねだり調)。
テルマ でも、うちには持って帰らないからね。
マーゴ えー。
お爺さん じゃあ、このお人形のおうちはここだ。お前が時々遊びに来て上げればいいじ
ゃないか。
マーゴ この子はお人形じゃないの、ビッキーよ。
お爺さん そうだそうだ。ビッキーだね。わしがきちんと世話をするよ。
テルマ それはいいわね。いい考えだと思うわ。そうしたら生活費、じゃない、お爺ち
ゃんの様子も見に来れるもんね。じゃあ、お父さん。私、帰るわね。
お爺さん もう帰るのかい?
テルマ この子の家庭教師を選ぶのが大変なのよ。さあ、お爺ちゃんに挨拶をして。
マーゴ うん。また来るね、お爺ちゃん。
お爺さん ああ、またおいで。
テルマ 違うでしょ。よろしくお願いしますでしょ。しばらくここにお世話になるんだ
から。
お爺さん え?
マーゴ え?
テルマ え?
孫 こんな何も無いド田舎に置いて行かれたら、あたし退屈で死んじゃうわ!
お爺さん 聞いてないぞ、どういうことだ?
テルマ さっき言ったじゃないの。心に深い傷を負ったこの子には自然に恵まれた環境
で静養が必要だって。
お爺さん しかし、急にそんなことを言われても。
テルマ この子がかわいそうだと思わないの? なんてひどい人なのかしら?
マーゴ ママァ。
テルマ 大丈夫よ。どうせやること無いんだから、沢山勉強道具は持ってきたからそれ
をやっておきなさい。いいわね?
マーゴ ……はぁい。
マーゴ、肩を落とす。
テルマ じゃあ、お願いね!
テルマ、立ち去る。それを見送るお爺さん。
暗転。
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