Vicky!

大秦頼太

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ミュージカル版

第三場

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●第三場● 森1
1.△プロジェクター………P003_「遠くの森」(5秒程度表示)
(表示が消えたら)
2.■音響………003_森のざわめき(FI)
3.□照明………4_ホリ緑(森林) + 11_前明かり + 1_ピアノ(FI)
4.■音響………003_森のざわめき(FO)

   一人の若者(木の精)が上手から歩いてくる。
   上手奥にミミズクが座っている。

木の精  どなたか、僕の妹を知りませんか? 僕の妹を知りませんか? ああ、こんな
    真夜中に森にやってきて、木こりが僕の妹を切り倒して行った。僕の妹はどこに
    連れ去られたんだ。神様、こんなひどいことってありますか? 朝が来たら枝を
    揺らして朝露をどっちが遠くへ飛ばせるか競争しようって約束をしたのに。森の
    木々の皆さん。僕の妹がどこに連れて行かれたのかご存知ありませんか?
ミミズク 知ってるよ。

♪ミミズクの歌
ミミズクズクズク 四六時中 ネズミをたらふく頬張りたい
まるまる太ったネズミを探しに 飛んで行きたい
こんな小さな森なんて 退屈つくつくため息つくのさ さあ!
ミミズクズクズク 四六時中 ネズミをたらふく頬張りたい

木の精  誰? あなたは誰? 何の木ですか?
ミミズク ミミズクだよ。木じゃなくて悪かったね。
木の精  ミミズクさん、お願いです。僕の妹がどこに連れて行かれたのか教えてくださ
    い。
ミミズク 代わりに何をくれるんだい? ただじゃあ、教えて上げられないよ。そうだ。
    美味しい木の実をくれよ。それを餌にして山ネズミを捕まえてやるんだ。
木の精  木の実を上げたいけれど、僕は木の実を持ってないんだ。
ミミズク 何だい、つまらない奴だな。
木の精  妹はあと10年もすれば木の精になれたんです。それなのにこんなことってあ
    んまりだとは思いませんか?
ミミズク 運が悪かったと思ってあきらめるんだね。今頃、薪になって暖炉の中さ。
黒豹   いい加減なことを言うんじゃないよ。(下手奥から飛び出す)
ミミズク 黒豹だ! こいつは怖い奴がいた。オイラは退散するとしよう。

   ミミズク、上手袖奥へ飛び去る。

♪黒豹の歌
ヒョウヒョウ ウヒョヒョヒョヒョー ヒョウヒョウ ウヒョヒョヒョヒョー
今日も明日も パトロール 森の中を悪者探しだ
犬にだって負けないこの鼻が自慢さ
淑女様の命ならば どこまでも行くぜー
ヒョウヒョウ ウヒョヒョヒョヒョー ヒョウヒョウ ウヒョヒョヒョヒョー
今日も明日も パトロール 森の中を悪者探しだ

木の精  誰?
黒豹   誰でもいいだろう。今はお前の妹の話さ。
木の精  どこに行ったかご存知なんですか?
黒豹   いいや。でも、お前がどこに行けばいいかは知っている。この森のずうっと奥
    に住んでいる湖畔に棲む淑女カステヘルミ様を訪ねるといいだろう。あの方なら
    きっとお前を助けてくれるはずさ。
木の精  湖畔に棲む熟女カステヘルミ様ですね。分かりました。森の奥ですね。行って
    きます。ありがとう。
黒豹   待ちな。熟女じゃ無くて淑女ね。心配だからアタシもついていってやるよ。

□照明………暗転(FO)

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