上 下
496 / 499
第4章 更なる戦い

第495話 ゲーム会場へようこそ135

しおりを挟む
「次の一撃で・・・決めて見せるわ」
 カヤの宣言に、エリカが口角を釣り上げた。
「さっきも言いましたガ、そう簡単に私は倒せマセンヨ」
 リードを取られたとはいえ、エリカに焦りは感じられなかった。むしろ、今の状況をより楽しんでいるようにも見える。
 追い込まれることで自分を奮い立たせるタイプなのかもしれない。
 対するカヤもどこか楽し気だーヒナ以外に、ここまで自分と互角にやり合った相手だからかもしれない。
 カヤとエリカが再び戦場を駆け回る。生粋の暗殺者であるカヤの動きに、負けじとエリカもついてきている。エリカの天性の才能もあるだろうが、擬体の能力自体も高いのだろう。擬体破損率が高くなっていても、エリカの身体能力にほとんど変わりはなかった。
「言っとくけど・・・」
 カヤがエリカに斬り込みながら、
「ある人を除いて、私に傷を負わせられた人間はいないわ・・・当然、この大会でも、今まで私の擬体を破損させた人間はいなかった」
「なら、私がカヤサンの擬体を破損させた最初の一人にナリマショウ!!」
 エリカはカヤの刃を滑らせるようにして受け止め、鍔迫り合いに持ち込んだ。凄まじい火花に加え、激しい闘気の奔流が、先ほどと同じように二人を覆っている。
 ー今度こそ、勝負を決める!!ー
「ハアアア!!」
「やあああ!!」
 二人の喊声が夜の闇の中で木霊していた。

 ー最終的に勝ったのは、やはりカヤの方であったー
 それは予測できた結果と言えばそうである。カヤは生粋の暗殺者ーそれに対して、エリカの出自は普通の家庭である。
 だがー
「・・・まさか、本当に私の擬体を破損させるなんて・・・信じられない」
 エリカの擬体破損率は、わずか5%程度のものだったが、それでも自分がダメージを受けてしまったことに、少なからずショックを受けていた。
 ダメージを受けてしまった自らの不徳を痛感する一方で、見事擬体を破損させたエリカに対し、呆れ半分関心半分といったところであった。
 そのエリカはと言うと、地面に大の字になって横たわっている。これから、自分が殺される運命にあるというのに、その表情には清々しささえ浮かんでいたのだった。
「ハアハア・・・」
 荒く息をしながら、しかし何かをやり遂げたような達成感のある表情をカヤに向けた。
「ドウデスカ、カヤサン・・・宣言通り、あなたの擬体を見事破損させましたヨ」
 そんな彼女に、カヤは半ばあきれた様子で、
「あなたの執念は認めるけど・・・これからあなた、私に首を斬られるのよ。勝たなければ意味がないわ」
 カヤの言葉に、エリカはどこか寂寥感のある笑みを浮かべた。
「あなたに・・・最初にダメージを与えた。そういう意味で、私はあなたにとって「特別な存在」にナッタノデス」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

あなたのサイコパス度が分かる話(短編まとめ)

ミィタソ
ホラー
簡単にサイコパス診断をしてみましょう

処理中です...