491 / 499
第4章 更なる戦い
第490話 ゲーム会場へようこそ130
しおりを挟む
絶頂を迎えた二人に待ち受けるのは、お互いの首を懸けた戦いのみであるー
ホテルの一室で、淫靡な宴を行った後に、二人は近くの公園へと移動した。
日本の公園を模倣した公園は、見た目だけなら普通のものと変わりない。ただ、人が使用したという痕跡は、当然のことながらなかった。住人がいないこの島では、公園に限らず当たり前のことで、ゆえに無機質な清潔感に溢れていたりする。人の営みが環境にいかなる影響を与えているか、比較してみるのも面白いー
「ふう・・・」
腰まで届く、金色の長い髪を揺らしながら、エリカは軽く息を吐いた。カヤとの情事で火照った体を冷やすのに、夜の公園の清涼さは実に適していると言えた。月明かりに照らし出されたエリカの金髪は、見ようによっては燃え上がる焔のようにも見える。
美しさの中にも苛烈さを秘めているーそれがエリカなのだった。
対して、カヤは生粋の日本人ーその黒髪は、周囲の闇に溶け込んでおり、エリカのように目立つことはない。カヤは闇の世界で生きてきた少女である。先ほどまで着用していた制服を脱ぎ、いつの間にか黒を基調とした忍者装束に着替えていたカヤは、暗殺者に相応しいいで立ちと言えた。
「さて・・・お楽しみのあとは、しっかりとお仕事しないとイケマセンネ」
エリカが構えている擬体化装備は、刀身部分が湾曲した三日月刀だ。エリカに似合っているのかと言われると、そうとも言えるし、そうとも言えないーそんな不思議な感想をカヤに抱かせた。
「フフン・・・カヤサン、あなたも早く獲物をみせてクダサイ」
自慢げに、三日月刀の切っ先をカヤに向けながら、カヤに擬体化武器の実装を促すエリカだった。
その態度には、どこか余裕すらある。
もともと、エリカという少女は自信家でもあるのだろう。恵まれた体型やどこか人を食ったような態度ーしかし、それでいて相手に不快感を与えることのない、他人とうまく付き合う術を心得ている魅力的な少女ー
「・・・これを見たからにはもう戻れないわよ」
カヤは、エリカの挑発に応じるかのように自らの擬体化武器ー忍者刀を取り出した。
もともと、風魔一族の末裔ーその分家として、日本の暗部で暗躍してきたのがヒナとカヤだ。現代を生きるくのいちーそれがヒナとカヤでもあるのだ。
カヤの武器を目にして、エリカは興味津々といった様子でその大きな瞳を輝かせる。
「オオウ・・・さすが、ジャパニーズ忍者というやつデスネ」
「ジャパニーズ忍者って・・・忍者って日本にしかいないでしょ」
カヤが苦笑しながら応じる。
「うーん、他の国にも、過去に忍者と似たような集団はいたヨウデスガ」
唇に人差し指をあてがいながら、少し思案顔になってエリカが言った。その仕草一つとっても絵になる少女である。
もちろん、諸外国にも古くから忍者に相当するような、間諜や暗殺など、裏の仕事を専門にする集団は存在する。古代ペルシャにも存在したサトラップなどは、国王の目として各地の領主の行動を環視していた記録が残っている。日本で言えば「草」と呼ばれる集団ー忍びなのだがー幕府の命令で各大名の動きを環視していたりした。
どこの国でも、事情は大差ないということだ。
ーこれから殺し合うというのに、緊張感のない人ねー
心の中で苦笑するカヤであった。
ホテルの一室で、淫靡な宴を行った後に、二人は近くの公園へと移動した。
日本の公園を模倣した公園は、見た目だけなら普通のものと変わりない。ただ、人が使用したという痕跡は、当然のことながらなかった。住人がいないこの島では、公園に限らず当たり前のことで、ゆえに無機質な清潔感に溢れていたりする。人の営みが環境にいかなる影響を与えているか、比較してみるのも面白いー
「ふう・・・」
腰まで届く、金色の長い髪を揺らしながら、エリカは軽く息を吐いた。カヤとの情事で火照った体を冷やすのに、夜の公園の清涼さは実に適していると言えた。月明かりに照らし出されたエリカの金髪は、見ようによっては燃え上がる焔のようにも見える。
美しさの中にも苛烈さを秘めているーそれがエリカなのだった。
対して、カヤは生粋の日本人ーその黒髪は、周囲の闇に溶け込んでおり、エリカのように目立つことはない。カヤは闇の世界で生きてきた少女である。先ほどまで着用していた制服を脱ぎ、いつの間にか黒を基調とした忍者装束に着替えていたカヤは、暗殺者に相応しいいで立ちと言えた。
「さて・・・お楽しみのあとは、しっかりとお仕事しないとイケマセンネ」
エリカが構えている擬体化装備は、刀身部分が湾曲した三日月刀だ。エリカに似合っているのかと言われると、そうとも言えるし、そうとも言えないーそんな不思議な感想をカヤに抱かせた。
「フフン・・・カヤサン、あなたも早く獲物をみせてクダサイ」
自慢げに、三日月刀の切っ先をカヤに向けながら、カヤに擬体化武器の実装を促すエリカだった。
その態度には、どこか余裕すらある。
もともと、エリカという少女は自信家でもあるのだろう。恵まれた体型やどこか人を食ったような態度ーしかし、それでいて相手に不快感を与えることのない、他人とうまく付き合う術を心得ている魅力的な少女ー
「・・・これを見たからにはもう戻れないわよ」
カヤは、エリカの挑発に応じるかのように自らの擬体化武器ー忍者刀を取り出した。
もともと、風魔一族の末裔ーその分家として、日本の暗部で暗躍してきたのがヒナとカヤだ。現代を生きるくのいちーそれがヒナとカヤでもあるのだ。
カヤの武器を目にして、エリカは興味津々といった様子でその大きな瞳を輝かせる。
「オオウ・・・さすが、ジャパニーズ忍者というやつデスネ」
「ジャパニーズ忍者って・・・忍者って日本にしかいないでしょ」
カヤが苦笑しながら応じる。
「うーん、他の国にも、過去に忍者と似たような集団はいたヨウデスガ」
唇に人差し指をあてがいながら、少し思案顔になってエリカが言った。その仕草一つとっても絵になる少女である。
もちろん、諸外国にも古くから忍者に相当するような、間諜や暗殺など、裏の仕事を専門にする集団は存在する。古代ペルシャにも存在したサトラップなどは、国王の目として各地の領主の行動を環視していた記録が残っている。日本で言えば「草」と呼ばれる集団ー忍びなのだがー幕府の命令で各大名の動きを環視していたりした。
どこの国でも、事情は大差ないということだ。
ーこれから殺し合うというのに、緊張感のない人ねー
心の中で苦笑するカヤであった。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる