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第4章 更なる戦い

第469話 ゲーム会場へようこそ109

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「ヒナ・・・」
 ヒナから逃れるように、奥の部屋へと引きこもったカヤもまた、かつての幼い頃のヒナとの関係に思いを馳せている真っ最中だった。
 幼い頃は、本家分家の区別なく、ほとんど姉妹同然の関係で育った二人ー尤も、それは本人達は気が付かなかったというだけで、その頃から周りの大人たちはヒナとカヤに本家・分家の後継者としての姿を投影していたはずだ。ただ、幼さゆえに、自分たちが置かれていた立場を理解できなかったにすぎない。
 さすがに、小学校に上がるくらいの年齢になった時には、周りの大人たちもヒナとカヤに本家と分家の立場の違いというものを認識させるべく、そのように教育していったのだった。
 その結果が、もはや戻ることのできない今の関係なのであった。
「私は、アンタを必ず超えてみせる・・・私が本家に成り代わる」
 刷り込みのように教育された結果、カヤには後戻りはできなくなっていたーそれがどれだけ愚かしく、時代に適応できない古臭い大人たちが押しつけてきたものであるとわかっていたとしても。
 今は、かつてのような戦国の世の中ではない。かつて、自分たちの祖でもある風魔小太郎が後北条家に仕えていた時とは全く異なるのだ。
 それでも、周りはその時代錯誤な対抗心、家中心の考え方をヒナとカヤに押しつけてきた。ヒナもカヤも、本心では愚かしいと思いながらも、それに抗うことができないでいた。
「・・・あと一歩のはず」
 カヤは、今まで一度とてヒナに勝ったことはなかった。それを単純に、本家と分家という「血統性」に求めるつもりはない。
 ヒナ自信が語っていた通り、ヒナの実力に肉薄した時もある。
 ヒナには、カヤにはない甘さがある。それは、カヤから言わせれば幼さともいうべきものかもしれない。
 ゆえに、いずれはヒナを乗り越えられると確信している。必ず、ヒナを跪かせて、自分たちの方が本家に相応しいということを世に示す。
 それしか、自分に道はない。
 ヒナが普段から言っていた「普通の家」という言葉に、憧憬の念を抱かなかったかと言えば、それは嘘になる。自分だって、ごく一般的な普通の家庭の娘として、そして、ヒナと本当の姉妹として生まれてきていれば、このような無用な苦しみなど背負うことはなかっただろう。
 だが、自分はここに生まれてきてしまった。何度も家から離れようとしても、周囲がそれを許さず、さらには社会のどこにも自分たちの受け入れ場所はないのだ。
 一度、逃れようとしたこともあるが、結局は見つかり、その後は激しい折檻が待っていただけだった。
 ヒナは倒す。だが、ヒナを倒し、その実力を示した後はー
「・・・最後には、私の代で風魔を終わらせる」
 そう独り言ちるカヤの瞳に昏い輝きが宿った。殺意の対象は今だ時代の流れに沿うこともできずに過去を引きずる愚かな「家」そのものにも向けられていたのだった。
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