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第4章 更なる戦い
第465話 ゲーム会場へようこそ105
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「・・・?」
「・・・どうしたんですか、戸隠さん?」
それまで桐原と一緒に水浴びをしていた戸隠だったが、何かに気が付いたようににわかに顔を上げて辺りを見回した。
「・・・物の怪の気配が・・・より強くなったような気がする」
「え・・・?」
戸隠の言う物の怪とは言うまでもなく魔物のことを示す。その気配が強くなったということはー
「それは・・・魔物たちがさらに強くなったってことですか?」
桐原の問いかけに、軽く頷く戸隠。その表情は硬く、それゆえにいかに危険な状況が迫っているのかがよくわかった。
「何やら、先ほどから風向きが変わったとは思っておったのだが・・・こういうことだったとは」
「お~い」
岩陰から明子たちの呼ぶ声が聞こえてきた。
「お主たちも気が付いたか、先ほどから、瘴気が濃くなってきたということに」
戸隠の問いかけに、優菜が顔を強張らせながら応えた。
「あんたもやっぱり気が付いたのね・・・」
「周囲の魔物たちの様子がおかしいですね」
優菜だけでなく、美羽も緊張感を隠さず油断なく周囲を見回している。普段から落ち着いていて、どこか余裕があるように見える彼女にしては珍しい態度だった。それゆえに、今起こっている状況がかなり胡乱であることがよくわかった。
ただ、明子と桐原はいまいちぴんと来てなかったようだ。
「あたしは・・・よくわかんなかったけどさ・・・やっぱり熟練者にしかわからない気配とかあるのかな?」
「私も・・・戸隠さんに言われるまで気が付きませんでした。魔物の力が強くなったって聞きましたが・・・」
戸惑いがちな二人の言葉に、優菜が顔を強張らせながら改めて説明する。
「おそらくだけど・・・あの性悪メイドが、このゲームの難易度を上げやがったのよ・・・ったく、やんなっちゃうわね!」
苛立ちを隠し切れない優菜に対し、美羽はどことなくおっとりとした口調で、
「そう言えば、前のゲームの時にもありましたよね、優菜さん。あのメイドさんによる、ゲームの急な難易度変更」
どうやら、既にゲームに2回参加した経験のある二人にとってはおなじみの事らしかった。
優菜は美羽の言葉にため息をつきながら、
「あの性悪メイド、あたしらに何の警告も注意もなしに勝手にそれをやるのよね・・・いい性格してるわよ」
「ほほう・・・優菜殿と美羽殿はこういったことは経験済みか」
今回初参加の戸隠だったが、いち早く異変に気が付くことができたのは、さすがだと言えよう。生まれつき、危機を察知する能力が高いことを示していた。
「ええ、まああの性悪メイドのやり口なんてわかってるつもりだけど・・・それにしても、今回はちょっと早い気もするわね」
優菜の愚痴に、美羽が唇に人差し指を当て、思案顔になりながら、
「ひょっとして、私たちがあの恐竜タイプの魔物を倒したのが原因でしょうか・・・存外早く、強敵を倒しちゃったので、メイドさんも早めに手を打ってきたというか」
「・・・あたしたちのせいか・・・」
優菜が額に手を当て、盛大にため息をついた。
「・・・どうしたんですか、戸隠さん?」
それまで桐原と一緒に水浴びをしていた戸隠だったが、何かに気が付いたようににわかに顔を上げて辺りを見回した。
「・・・物の怪の気配が・・・より強くなったような気がする」
「え・・・?」
戸隠の言う物の怪とは言うまでもなく魔物のことを示す。その気配が強くなったということはー
「それは・・・魔物たちがさらに強くなったってことですか?」
桐原の問いかけに、軽く頷く戸隠。その表情は硬く、それゆえにいかに危険な状況が迫っているのかがよくわかった。
「何やら、先ほどから風向きが変わったとは思っておったのだが・・・こういうことだったとは」
「お~い」
岩陰から明子たちの呼ぶ声が聞こえてきた。
「お主たちも気が付いたか、先ほどから、瘴気が濃くなってきたということに」
戸隠の問いかけに、優菜が顔を強張らせながら応えた。
「あんたもやっぱり気が付いたのね・・・」
「周囲の魔物たちの様子がおかしいですね」
優菜だけでなく、美羽も緊張感を隠さず油断なく周囲を見回している。普段から落ち着いていて、どこか余裕があるように見える彼女にしては珍しい態度だった。それゆえに、今起こっている状況がかなり胡乱であることがよくわかった。
ただ、明子と桐原はいまいちぴんと来てなかったようだ。
「あたしは・・・よくわかんなかったけどさ・・・やっぱり熟練者にしかわからない気配とかあるのかな?」
「私も・・・戸隠さんに言われるまで気が付きませんでした。魔物の力が強くなったって聞きましたが・・・」
戸惑いがちな二人の言葉に、優菜が顔を強張らせながら改めて説明する。
「おそらくだけど・・・あの性悪メイドが、このゲームの難易度を上げやがったのよ・・・ったく、やんなっちゃうわね!」
苛立ちを隠し切れない優菜に対し、美羽はどことなくおっとりとした口調で、
「そう言えば、前のゲームの時にもありましたよね、優菜さん。あのメイドさんによる、ゲームの急な難易度変更」
どうやら、既にゲームに2回参加した経験のある二人にとってはおなじみの事らしかった。
優菜は美羽の言葉にため息をつきながら、
「あの性悪メイド、あたしらに何の警告も注意もなしに勝手にそれをやるのよね・・・いい性格してるわよ」
「ほほう・・・優菜殿と美羽殿はこういったことは経験済みか」
今回初参加の戸隠だったが、いち早く異変に気が付くことができたのは、さすがだと言えよう。生まれつき、危機を察知する能力が高いことを示していた。
「ええ、まああの性悪メイドのやり口なんてわかってるつもりだけど・・・それにしても、今回はちょっと早い気もするわね」
優菜の愚痴に、美羽が唇に人差し指を当て、思案顔になりながら、
「ひょっとして、私たちがあの恐竜タイプの魔物を倒したのが原因でしょうか・・・存外早く、強敵を倒しちゃったので、メイドさんも早めに手を打ってきたというか」
「・・・あたしたちのせいか・・・」
優菜が額に手を当て、盛大にため息をついた。
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