百合斬首~晒しな日記~

ミケとポン太

文字の大きさ
上 下
460 / 499
第4章 更なる戦い

第459話 ゲーム会場へようこそ99

しおりを挟む
「そう言えば、不思議よね・・・まあでも、ゲームの中なんだし、そこら辺のところは結構ゆるいのかも」
 明子たちは、念のため拾ってきたアイテムを活用して何とかここまで逃げてこられたのだ。
 おそらくだが、このゲームを開催しているあのメイドさんも、参加者があっさりとやられたりしたらまずいということで、ところどころにアイテムを用意しておいているのだろう。
 さすがに参加者全員がいなくなってしまえばゲームどころの話ではないはずだ。それはメイドさんにとっても都合が悪いのだろう。
 あのメイドさんも大会参加者であり、大会運営側ではないのだが、こういったゲームを開催することで彼女に何らかのメリットがあるというのなら、なおのことである。
「でも、このアイテムはさらに不思議なんですよね・・・火をおこすのではなく熱を発生させる効果になっているので」
 火をおこすというのならまだ話は分かる。RPGに限らず、ゲームの世界では炎による攻撃など当たり前のことだからだ。あまりにもありふれ過ぎていて、逆にそれがない場合が思いつかないくらいである。
 ただ、熱となると話は別だ。ずいぶんとニッチな効果だと言える。
「まあ、考えてても仕方ないじゃん・・・とりあえず、さっそく使ってみようよ・・・汗はもう流したけど、服はずぶ濡れの状態じゃ、さすがに風邪ひいちゃうよ」
 明子の言葉に、美羽が微笑しながら、
「そうですね・・・ちょうどアイテムは2つありますし、まずは私達3人が使用して、その後水浴びが終わった桐原さんと戸隠さんのために使いましょう」
 さっそく美羽は、各人が取得したアイテムを収納するための空間にアクセスした。いうまでもなく、この空間はこのゲームだけの仕様のものであり、そこに多数のアイテムを収納できる仕組みになっている。収納できるアイテム数に上限があるのかどうかは不明だが、仮に上限があるにしても、今のところはそこまで達していない。
「ペカペカペカーン、熱発生装置~」
 なんとも楽しそうな口調で美羽が取り出したのは一つのバッジの形をしたアイテムだった。取り出すと同時に、アイテムの説明文が目の前の空間に投影される仕組みとなっている。
 その名の通り、熱を発生させる効果があるアイテムだった。
 ただそれだけーと言ってしまえば、確かにただそれだけである。少なくとも、通常の戦闘時に役に立つとは到底思えない代物だった。
 だが、今はこのアイテムがかなりありがたい。これで3人の服を乾かすことができるからだ。
「多分、こういう事態を見越した上で、あのメイドさんもこのアイテムを用意したのかな・・・?」
 明子の何気ない言葉に、優菜と美羽が苦笑した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

赤い部屋

山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。 真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。 東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。 そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。 が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。 だが、「呪い」は実在した。 「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。 凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。 そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。 「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか? 誰がこの「呪い」を生み出したのか? そして彼らはなぜ、呪われたのか? 徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。 その先にふたりが見たものは——。

処理中です...