百合斬首~晒しな日記~

ミケとポン太

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第4章 更なる戦い

第451話 ゲーム会場へようこそ91

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「戸隠さん・・・とにかく、その桐原さんのところに案内してくれないかしら?」
 優菜からの申し出に静かに首肯する戸隠だった。
「先ほど水を飲ませて少しの間は調子がよかったのだが・・・すぐにまた倒れこんでしまってな・・・某も困っていたところだ」
 案内役の戸隠を先頭に、優菜、美羽、明子の順番で小川を下っていく。すると、小川の近くの岩陰に、横たわっている少女の足が見えた。
「あ、あれか!」
 明子が岩の正面に回り込む。
 そこには岩に背を持たれかけて目を閉じている一人の少女の姿があった。先ほど見た脚は、そのまま投げ出されたような恰好だった。
 大会参加者である以上、その少女が美形なのは当然だがー
 ーうわ、綺麗な人だ・・・ー
 その美貌に思わず見とれてしまう明子だった。
 実際に、その寝顔は多くの人を惹きつけてやまない魅力を有していた。どこか憂いを帯びたような表情も彼女の不可思議な魅力を引き立たせている。
「桐原殿・・・まだ目覚めぬか」
 戸隠が、眠れる美少女を前にして落胆のため息を漏らした。
 戸隠は暗殺のスペシャリストではあるが、傷病者に対してどう対処すればいいのかわからなかったようだ。
「ちょっとごめん」
 優菜が自分の額に右手を当てつつ、桐原の額にも左手を添えた。
「・・・やっぱり、熱があるわね」
「熱・・・?」
「美羽、確か、この森で拾ったアイテムに病気を治すものがあったじゃない?ソレ貸してもらえるかしら?」
「ありましたね、ここに」
 美羽は、優菜に言われて収納袋から「万能薬」という名前のアイテムを取り出した。入手した際の説明文によると、このゲーム世界で病にかかった場合、これでほぼ治療することが可能らしい。どんな病にも効くという触れ込みだ。さすがにゲームの世界だけあって、こういう「なんでも治しちゃう」アイテムはアリなのだろう。
「これがあればすぐに治るはず・・・さあ、試してみてください」
「かたじけない」
 戸隠は美羽から「万能薬」を譲り受けると、それを桐原の口元に含ませる。
 桐原は若干苦しそうな喘ぎ声を上げるものの、すぐに吐息が穏やかなものとなっていった。
「これで、あと少し待てばよくなると思います」
 美羽の言葉通り、桐原の顔色は先ほどよりも赤みが増して良くなっている。
「あ、熱の方もだいぶ下がってきた」
 桐原の額に手を当てていた優菜も喜色を浮かべた。
 どうやら、桐原は無事快方に向かいつつあるようだ。
「かたじけない、3人とも・・・某一人ではどうしようもなかった」
 桐原が快方に向かったのを見て、改めて頭を下げて礼を述べる戸隠。そんな彼女に、対する3人も笑みを浮かべた。
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