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第4章 更なる戦い

第438話 ゲーム会場へようこそ78

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「その・・・戸隠さん?」
「む・・・」
 薄暗く鬱蒼とした謎の森の中で、大樹の幹に背を預ける形で休憩していた桐原と戸隠。
 桐原は、段々間が持たなくなってきたのか、少し話題を変えてみようとして戸隠に尋ねてみた。
「戸隠さんって、その、他の方とはかなり変わっていらしているように見えるのですが・・・その、日本にいた頃はどのような生活をなされていたのですか?」
 聞いてしまってから、不躾な質問だったことに気が付き、しまったという顔つきになる桐原。
 だが、問われた戸隠の方は小首を傾げるだけで、別に不愉快だとは思っていないようだった。
「お気を悪くされたのなら謝ります」
 焦っているのは桐原だけで、戸隠は少し目を丸くしてから、ふっと相好を崩した。
「何も気に障るようなことなど聞いておらぬだろう・・・そうだな、某は確かに、ごく一般的な女子高生とは違うやもしれぬ」
 戸隠の言葉に少しだけ驚く桐原。どうやら、戸隠自信も他の女子高生と自分とは違うという自覚はあるようだった。そのことが少しだけ意外だったのだ。
「あの・・・本当に、無理にお話にならなくてもいいですから」
「いや・・・某としては、自分の過去を誰かに聞かれたとしても問題ない。特に、このような場所で今となってはな」
 戸隠は桐原から目をそらすと、どこか遠い場所を思い浮かべるような表情で語り出した。
「ただ・・・某の過去は、あまりにもお主らとはかけ離れているが故、もしかしたら聞いたお主の方が気を悪くすることになるやもしれぬが、構わぬか?」
「え・・・?」
 聞いた自分の方が気分を悪くするというのはどういうことだろう?ますます、戸隠という少女のことがわからなくなってきた。
「お主は、日本にもまだ暗部と呼べるべき組織があることを知っておるか?」
「え・・・?」
 どんな国にも暗部というものは少なからず存在するだろう。それは、世界一平和とされる日本のような国でも例外ではなかった。
「某の家系は、暗殺を生業としておるのだ」
「あ、暗殺・・・?」
 暗殺という物騒な言葉に、思わず息を呑んでしまう桐原だった。
「某は、幼いころから殺しの技術だけを学ぶことを強要されてきた。昔の戦国期から続く暗殺者の家系ーそれが我が戸隠一族なのだ」
 そう語る戸隠の表情は、先ほどまでとは打って変わって変化の乏しいものとなっていた。
 その表情を見て、桐原は、戸隠の本当の顔はむしろこちらではないかーそう思った。
 暗殺者として育てられた少女ーなるほど、それであれば、森の前で自分を助けてくれた時のあの身のこなしが応身離れしていたことにも説明がつく。生まれた時から戦闘訓練を受けてきたのであれば納得できる動きだった。
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