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第4章 更なる戦い
第435話 ゲーム会場へようこそ75
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「どうじゃ、某とともに、この森の中を探ってみないか?」
戸隠美鈴からの誘いに乗る形で、桐原真澄は湖近くの鬱蒼とした森の中へと足を踏み入れることになった。
「うわあ・・・」
森に入って早々、桐原は顔をしかめながら辺りを見回した。
森の中は、その厚い樹冠のおかげで陽光すらあまり差し込まない薄暗い空間だった。そのうえ、足元には地面から浮き出た大樹の根っこなどがあるため、かなり足場も悪く、前に進むにしろやっとという有様であった。
時折、獣とも魔物ともとれるような奇声が森の中に木霊する。それを聞くたびに、桐原は身を縮めて首を竦めていた。
視界の悪さと異形の生物の鳴き声が相まって、なんとも言えぬ不安を掻き立てられる。
だが、桐原の前を歩いている戸隠は涼しい顔をしながら、悪い足場もものともせずに進んでいく。対して、桐原は何度も堆積して湿った落ち葉のために転倒しそうになっていた。
「うーむ」
ふいに、前方を歩いていた戸隠が立ち止まった。何やら思案顔で顎に指先を当てて辺りを見回している。そうしている姿は、どこにでもいる普通の女子高生そのものだった。
「なんとも面妖な森だ」
戸隠は、近くの大木に手を触れながら独り言ちた。
「・・・そうですね。それに、何か怖い感じがします」
戸隠に何とか追いつき、相槌を打つ桐原。
この森の中は、湖周辺とは異なり湿度が高く、さらには気温もなかなかのものである。長時間、この森の中を彷徨い歩けば、それこそいつ熱中症になってもおかしくないくらいに思われた。
「お主も感づいたか」
戸隠が、額の汗を拭っている桐原を一瞥しながら問いかける。対して、不思議なことに戸隠自信は全く汗をかいているようには見えなかった。
体の作りが常人とは異なるのだろうかと訝しむ桐原だった。
ーそういや、この人、結構胸とかでかいよね・・・重そうだし、歩いたりするのに結構体力使うんじゃないかと思うんだけど・・・それでも平気なのかしら?ー
そんな不埒なことを考えている桐原に対し、
「・・・どうしたのだ、お主?」
小首を傾げる仕草をしながら、戸隠が問いかけてくる。その仕草一つとっても人を引き付ける魅力が十分にあるのだが、彼女の独特な言葉使いがせっかくの魅力を半減させているように、桐原には思われた。
ー可愛いけれど、何か「残念な人」・・・なのかしらー
「い、いえ、何でもないです。ちょっと疲れてしまっただけですから、お気になさらないでください」
あまり不埒なことばかり考えていると戸隠に見透かされて幻滅される可能性もある。とりあえず、戸隠の体のことについては、それ以上は考えないようにした。
「ふむ・・・確かに、ここは環境がよくないな。お主が疲れるのも無理からぬことだろう」
戸隠は得心したように頷いた。そして、手を桐原に差し伸べてきた。
「某がいつでも支えになるから、無理はせぬようにな」
にこりと白い歯を見せて笑う戸隠の姿に、胸の高鳴りを覚える桐原だったー
戸隠美鈴からの誘いに乗る形で、桐原真澄は湖近くの鬱蒼とした森の中へと足を踏み入れることになった。
「うわあ・・・」
森に入って早々、桐原は顔をしかめながら辺りを見回した。
森の中は、その厚い樹冠のおかげで陽光すらあまり差し込まない薄暗い空間だった。そのうえ、足元には地面から浮き出た大樹の根っこなどがあるため、かなり足場も悪く、前に進むにしろやっとという有様であった。
時折、獣とも魔物ともとれるような奇声が森の中に木霊する。それを聞くたびに、桐原は身を縮めて首を竦めていた。
視界の悪さと異形の生物の鳴き声が相まって、なんとも言えぬ不安を掻き立てられる。
だが、桐原の前を歩いている戸隠は涼しい顔をしながら、悪い足場もものともせずに進んでいく。対して、桐原は何度も堆積して湿った落ち葉のために転倒しそうになっていた。
「うーむ」
ふいに、前方を歩いていた戸隠が立ち止まった。何やら思案顔で顎に指先を当てて辺りを見回している。そうしている姿は、どこにでもいる普通の女子高生そのものだった。
「なんとも面妖な森だ」
戸隠は、近くの大木に手を触れながら独り言ちた。
「・・・そうですね。それに、何か怖い感じがします」
戸隠に何とか追いつき、相槌を打つ桐原。
この森の中は、湖周辺とは異なり湿度が高く、さらには気温もなかなかのものである。長時間、この森の中を彷徨い歩けば、それこそいつ熱中症になってもおかしくないくらいに思われた。
「お主も感づいたか」
戸隠が、額の汗を拭っている桐原を一瞥しながら問いかける。対して、不思議なことに戸隠自信は全く汗をかいているようには見えなかった。
体の作りが常人とは異なるのだろうかと訝しむ桐原だった。
ーそういや、この人、結構胸とかでかいよね・・・重そうだし、歩いたりするのに結構体力使うんじゃないかと思うんだけど・・・それでも平気なのかしら?ー
そんな不埒なことを考えている桐原に対し、
「・・・どうしたのだ、お主?」
小首を傾げる仕草をしながら、戸隠が問いかけてくる。その仕草一つとっても人を引き付ける魅力が十分にあるのだが、彼女の独特な言葉使いがせっかくの魅力を半減させているように、桐原には思われた。
ー可愛いけれど、何か「残念な人」・・・なのかしらー
「い、いえ、何でもないです。ちょっと疲れてしまっただけですから、お気になさらないでください」
あまり不埒なことばかり考えていると戸隠に見透かされて幻滅される可能性もある。とりあえず、戸隠の体のことについては、それ以上は考えないようにした。
「ふむ・・・確かに、ここは環境がよくないな。お主が疲れるのも無理からぬことだろう」
戸隠は得心したように頷いた。そして、手を桐原に差し伸べてきた。
「某がいつでも支えになるから、無理はせぬようにな」
にこりと白い歯を見せて笑う戸隠の姿に、胸の高鳴りを覚える桐原だったー
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