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第4章 更なる戦い
第429話 ゲーム会場へようこそ69
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「・・・うー、何か納得いかないわ」
北条と別れて、屋敷の中から一旦外に出ることにした荒谷。
あそこまで言いたい放題言われてそのまま引き下がるというのもなんだか悔しい気もしたがー
「だけど・・・確かに私にはそこまでの自信がないのよね」
村の周辺でうろついている魔物を見た時でさえ、怖気づいていた荒谷である。洞窟で手に入れた「ステルスコート」のおかげで何とかここまで来られたものの、もしこれを入手できていなかったら、果たしてこの村まで来ることができただろうか・・・?
「そう言えば、村の周囲って、今どうなってんだろ?」
先ほどまでは犬型の魔物が闊歩していたが、今はどうなっているだろうか。
時間の経過とともに、魔物の行動パターンが変わるというのは、洞窟の中で魔物たちと接触した時に何となく気が付いた事柄である。
おそらくは、外にいる魔物も洞窟の中のそいつらと変わらないだろう。
「・・・ちょっとだけ、様子を見に行ってみるかな」
荒谷は再び「ステルスコート」を羽織り、村の外へと向かった。
穏やかな風に揺れる小麦畑は、見ているだけで忘れて久しい田舎の風景を思い出させ、なんともノスタルジックなものに思えてきた。
荒谷にとって、田舎は幼い頃に家族で何度か訪れた程度で、ほとんど印象は残っていない。しかも、当然、小麦畑などなく、その代わり、瑞々しい稲穂が垂れ下がるのどかな田園風景だった。
その田舎では、毎年のお祭りで「田んぼアート」と称して、なんと水田の稲を使って一つの絵を表現するイベントが行われていたのだった。もちろん、それは高い場所から俯瞰しなければそのアートを鑑賞することはできないが、その出来栄えは見事なもので、近くの公民館の上からそれを見た時には幼いながらにため息が出たほどだった。
ー・・・どうすれば、こんなことができるんだろうー
幼い頃に何度か訪れた程度だったとはいえ、さすがに印象深い光景は記憶から抜け落ちることはなかったようだ。
できるなら、もう一度だけ見てみたいという欲求に駆られたこともあったが、祖父母がなくなって以来、あの田舎には行っていない。
ーもう二度と見れないよねー
荒谷は軽くため息をつくと、村の外に繋がる木製の門からそっと外を見回してみた。
のどかなのは田舎と変わらないが、相も変わらず犬型の魔物が闊歩しており、危険なことこの上ない場所だった。また、犬型の魔物ばかりではなく、他にはやたらと大きな図体の食虫植物みたいなのが地面を這いずり回りながら、獲物を求めて触手を振るっている。多分、あれも魔物の一種なのだろう。
魔物たちは、様子を窺う荒谷の姿には気が付いていないようだった。
「・・・かなり手ごわそうだけど、でも・・・」
ここで生き残るためならば、戦って実力を身につけなくてはならないー
荒谷は、意を決して「ステルスコート」を脱ぎ去った。
北条と別れて、屋敷の中から一旦外に出ることにした荒谷。
あそこまで言いたい放題言われてそのまま引き下がるというのもなんだか悔しい気もしたがー
「だけど・・・確かに私にはそこまでの自信がないのよね」
村の周辺でうろついている魔物を見た時でさえ、怖気づいていた荒谷である。洞窟で手に入れた「ステルスコート」のおかげで何とかここまで来られたものの、もしこれを入手できていなかったら、果たしてこの村まで来ることができただろうか・・・?
「そう言えば、村の周囲って、今どうなってんだろ?」
先ほどまでは犬型の魔物が闊歩していたが、今はどうなっているだろうか。
時間の経過とともに、魔物の行動パターンが変わるというのは、洞窟の中で魔物たちと接触した時に何となく気が付いた事柄である。
おそらくは、外にいる魔物も洞窟の中のそいつらと変わらないだろう。
「・・・ちょっとだけ、様子を見に行ってみるかな」
荒谷は再び「ステルスコート」を羽織り、村の外へと向かった。
穏やかな風に揺れる小麦畑は、見ているだけで忘れて久しい田舎の風景を思い出させ、なんともノスタルジックなものに思えてきた。
荒谷にとって、田舎は幼い頃に家族で何度か訪れた程度で、ほとんど印象は残っていない。しかも、当然、小麦畑などなく、その代わり、瑞々しい稲穂が垂れ下がるのどかな田園風景だった。
その田舎では、毎年のお祭りで「田んぼアート」と称して、なんと水田の稲を使って一つの絵を表現するイベントが行われていたのだった。もちろん、それは高い場所から俯瞰しなければそのアートを鑑賞することはできないが、その出来栄えは見事なもので、近くの公民館の上からそれを見た時には幼いながらにため息が出たほどだった。
ー・・・どうすれば、こんなことができるんだろうー
幼い頃に何度か訪れた程度だったとはいえ、さすがに印象深い光景は記憶から抜け落ちることはなかったようだ。
できるなら、もう一度だけ見てみたいという欲求に駆られたこともあったが、祖父母がなくなって以来、あの田舎には行っていない。
ーもう二度と見れないよねー
荒谷は軽くため息をつくと、村の外に繋がる木製の門からそっと外を見回してみた。
のどかなのは田舎と変わらないが、相も変わらず犬型の魔物が闊歩しており、危険なことこの上ない場所だった。また、犬型の魔物ばかりではなく、他にはやたらと大きな図体の食虫植物みたいなのが地面を這いずり回りながら、獲物を求めて触手を振るっている。多分、あれも魔物の一種なのだろう。
魔物たちは、様子を窺う荒谷の姿には気が付いていないようだった。
「・・・かなり手ごわそうだけど、でも・・・」
ここで生き残るためならば、戦って実力を身につけなくてはならないー
荒谷は、意を決して「ステルスコート」を脱ぎ去った。
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